デザート・サン
2010年3月13日
ロジャー・フェデラー / ピート・サンプラス組、ジュスティーヌ・エナン / マルチナ・
ナヴラチロワ組が勝利する
文:Drew Schmenner




金曜日の夜を待ちわびる期待は明らかだった。

賑わうインディアンウェルズ・テニスガーデンの周りには、人々の行列がうねっていた。ファンは売り切れとなったハイチ救援エキシビションで、前例のない事を目撃するのだと理解していた。

テニス界で最も成功を収めたスター達が、1月12日の地震で被災したハイチの人々への義捐金と理解を募るため、一堂に会したのだ。この地震によって約23万人が死亡し、100万人が家を失った。

BNP パリバス・オープン大会のオーナーで、オラクル社の最高経営責任者でもあるラリー・エリソンは、 イベントを組織し、さらに100万ドルの小切手をアメリカ赤十字社に寄贈した。同じくその晩、合計で94のグランドスラム・タイトルを獲得した選手たちによる2試合のダブルスが大々的に行われた。

マルチナ・ナヴラチロワ / ジュスティーヌ・エナン組はリンゼイ・ダベンポート / シュテフィ・グラフ組に8-6で勝利し、続く試合では、ロジャー・フェデラー / ピート・サンプラス組がラファエル・ナダル / アンドレ・アガシ組に8-6で勝利した。

しかしテニスは、金曜夜の多大な使命のための手段にすぎなかった。使命とは、地震の被災者を援助するため、アメリカ赤十字社への義捐金を募る事。

フェデラーは1月にオーストラリアン・オープンで同様のチャリティを組織したが、今夜のイベントを広い視野で捉えていた。

「僕は恵まれた立場にいて、このように大がかりな形で援助する事ができる。とても嬉しいよ」とフェデラーは語った。「恵まれた人間は、誰もが何かしらのお返しをすべきだろう。時間であれ、お金であれ、あるいは励ましであれ、とても重要な事だと思う。世界の大多数の人々は、厳しい状況で生きているのだから」

特に61歳のキム・バトラーと59歳のキャロリン・ギボンズにとって、イベントは心に強く訴えるものだった。ソルトレークシティーに住む2人は、NPO法人「Healing Hands for Haiti Foundation」のボランティアとして、ハイチで活動してきたのだ。障害を持つハイチ人に医療とリハビリテーションを提供する団体である。

2人は財団とともに都市のクリニックや田舎の村を訪問した。そこでは大勢のハイチ人が医療を待ちわびていた。彼女たちは10月にハイチへ戻りたいと考えている。

地震がハイチを襲った時、バトラーはパナマ運河のクルーズで骨休めしていた。彼女はすぐさま、ポルトープランスに本拠地を置く財団本部の事を心配した。多くの建物が倒壊したが、職員の死亡がなかった事を知ってバトラーはほっとしたのだった。

バトラーとギボンズは財団のTシャツを着て、お気に入りの選手たちから4列目の場所に座っていた。

バトラーは熱心なテニスファンである。彼女は20年間にわたって BNP パリバスオープンを訪れていたが、このイベントはどんな試合とも異なり、心を打つものだった。

「言葉では言い表せません」とバトラーは語った。

ハイチ救援イベントが告知された時、彼女は喜んだが、女子ダブルスが加えられると、有頂天になった。

バトラーはグラフ、22回のグランドスラム・チャンピオンの大ファンであり、もはやグラフはめったにテニスコートに現われない事を承知している。

「彼女がハイチのためのイベントに参加するのは、私にはとても意義深い事です。それは私がとても愛する事だからです」と、彼女の心に触れたバトラーは語った。


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