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2010年9月15日
テニス特別版:ピート・サンプラス、キング・オブ・スイング
文:Christopher Mayers


テニスファンには、ピート・サンプラスを前もって紹介する必要はない。彼はほぼ誰にでも知られている。ピート・サンプラスは、テニス界で最も偉大な選手の1人と見なされている。彼はアメリカの元テニス選手で、同じく元世界ナンバー1である。1993年から1998年まで、新記録となった6年もの間、テニスチャートのトップに君臨した。オープン時代になってから、サンプラスは最多週ナンバー1在位記録、そして最多連続年世界ナンバー1在位記録を有している。

この素晴らしい選手は、ピーター・サンプラスとして1971年8月12日にワシントンDCで生まれ、1988年に16歳でプロツアーにデビューした。サンプラスは非凡なキャリアの後に、USオープンで最後のメジャー優勝を遂げて、2003年に引退した。彼が打ち立てた記録の幾つかは、いまだに破られていない。彼はウィンブルドンで優勝を遂げた、最後のアメリカ男子テニス選手である。サンプラスはまた、ゲームを他の何よりも優先してきたと評価されている。かつて彼は「結局のところ、大切な事は名声や金ではない。それは僕がゲームでしてきた事、そしてメジャー大会で優勝する事だ」と語った。

「キング・オブ・スイング」と呼ばれたピート・サンプラスは、3歳の時にテニスを始めた。ごく幼い頃から、途轍もない運動能力の兆候を示していたが、自宅の地下室でテニスラケットを見つけ出したのは1974年の事だった。彼はすぐさまそれに惹きつけられ、壁に向かって何時間もボールを打つようになった。彼の最大のアイドルはロッド・レーバー(7年連続で世界ナンバー1にランクされたオーストラリアのテニス選手)で、11歳の時に出会い、一緒にプレーした事がある。彼の最初のコーチはピーター・フィッシャーだった。フィッシャーは小児科医であり、テニス狂だった。ジャック・クレーマー・クラブでサンプラスを見つけ出し、目を見張るような才能に着目したのだ。フィッシャーはまた、ウィンブルドンに備えて、サンプラスを両手バックハンドから片手打ちに変えさせた事でも認められている。

ピート・サンプラスは2003年に引退するまで、15年間にわたってプロテニスをした。14のグランドスラム・シングルスタイトルを獲得し、その記録は2009年にロジャー・フェデラーによって破られた。サンプラスは15年以上にわたり、52回のグランドスラム大会に出場し、241試合を戦った。このうち敗戦は38回だけで、勝敗記録は203勝38敗である。

プロキャリアを通して、キング・オブ・スイングは7回のウィンブルドン・シングルス優勝を遂げた。これはオープン時代の偉業で、イギリスのウィリアム・レンショーの記録に並ぶ。同じく5つのUSオープン・タイトルを獲得し、元世界ナンバー1、アメリカのジミー・コナーズ、今大会の第2シード、スイスのロジャー・フェデラーと並ぶ記録である。さらに ATP 世界ツアー最終戦で5回優勝し、アメリカのイワン・レンドルとこの記録を共有している。

キング・オブ・スイングは、自らの攻撃的プレースタイルによって、対戦相手を守勢に回らせた事で知られている。彼の武器の中でも最高の動きは恐らく「ランニング・フォアハンド」だろう。それが適切に実行される時、彼は走り抜けながらフォアハンドを打つ事で、ワイドに切れていくショットを捕らえる能力を披露した。それによって多くのポイントを無条件に勝ち取るか、あるいは攻撃の主導権を握る事ができた。同じく「スラムダンク」も人気が高かった。彼はジャンプして、空中でスマッシュを叩き込んだのだった。彼の弱点は、もし挙げるとすれば、バックハンドだった。彼はそれを補い、バックハンドを回り込んでフォアハンドショットを放つ事で、ひどい結果を避けた。

ピート・サンプラスは2000年にアメリカ人女優ブリジット・ウィルソンと結婚し、彼女と2人の子供と共にロサンジェルスで暮らしている。ブリジット・ウィルソン - サンプラスは、かつて夫に「これを覚えていてちょうだい。あなたは今までにテニスラケットを握った真に最高のテニスプレーヤーよ」と記したと伝えられる。

サンプラスは2003年に引退した。彼が最後に出場したメジャー大会は2002年USオープンで、決勝戦の相手は長年のライバル、アンドレ・アガシだった。アーサー・アッシュ・スタジアムは、彼が最初と最後のグランドスラム優勝を遂げた場所となった。感動的な引退セレモニーの終わりに、サンプラスはUSオープン・トロフィーの代わりに赤ん坊だった息子のクリスチャンを腕に抱いて、最後となる栄光のコート1周を行った。彼は762の勝利と64のタイトルを獲得して引退した。そして、これまでにテニスコートを飾った最も忘れ難い選手の1人であり続ける。


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