マーキュリー・ニュース.com
2009年2月10日
「老いた男」サンプラスは、観客に求められている
文:Darren Sabedra


サンノゼ――それはハイレベルな試合というよりは、ハーレムの世界漫遊家という雰囲気だった。しかし月曜日の夜、HP パビリオンに来場した観客には、さほど失望している様子はなかった。

ピート・サンプラスは SAP オープンの初日に、1時間以上の楽しみを提供した。そしてそれが肝心な事であった。

サンプラスと対戦する予定だったジェームズ・ブレイクが、背中を痛めてプレーできないという知らせも、意気を低下させる事はなかった。トミー・ハースは2年連続で、怪我をした選手(昨年はマラト・サフィンが棄権した)のピンチヒッターとなり、そして今回はテニスの偉人を負かした。

笑い、ファンとのハイタッチ、電撃的なウィナーが盛り込まれたエキシビションで、ハースと14回のグランドスラム・チャンピオンは、2セットを分け合った。ハースが第1セットを7-6(7-4)で取り、サンプラスは第2セットを6-4勝ち取った。

それから試合を決するタイブレークに突入し、ハースが12-10で勝利した。

37歳のサンプラスは、ハースが「今夜の観客のために一肌脱いでくれた」事に対して、「気高い行為」と讃えた。ハースは1時間前に1回戦を戦い、同僚であるドイツのラーズ Poerschke をストレートセットで下していた。

「今晩はみんなピートを見に来たのだから、誰が相手かは大した問題じゃなかったと思うよ」とハースは語った。「僕は昨年もここで彼と試合をした。それで今回は、彼に恐らくもっと良いショー、もっと良い試合を提供できると思ったんだ」

ブレイクは月曜日のダブルスの試合で背中を痛めたが、水曜夜に予定されているヴィンス・スペイディアとのシングルス1回戦への出場は、可能性を残している。月曜日のエキシビションの少し前に、ブレイクは大会ディレクターのビル・ラップと共にコートへ現れ、観客にその知らせを告げた。

「申し訳ありません」とブレイクは語った。「今夜、僕は登場してベストを尽くす事ができません。戻ってトレーナーを訪ねるつもりです。水曜日にはコートに立てるよう望んでいます」

エキシビションの印象的な見ものは、終わり近くに起こった。タイブレークでサンプラスが10-9リードとしたところで、ポイントを取ろうとした彼のシューズが文字どおり脱げたのだ。

「あんな事は初めてだよ」とサンプラスは語った。

サンプラスはあお向けに倒れ、ポイントはやり直しとなった。そしてハースがそのポイントを取り、さらに次の2ポイントを取って試合を締めくくった。

「奇妙な―――不運だった」とサンプラスは語った。「どちらかと言えば、僕がポイントをコントロールしていたからね」

試合の終了後、サンプラスはカムバックを考慮するかと尋ねられた。昨年のように、観客はその言葉にどよめいたが、サンプラスは「それはない」と答えた。

「僕の呼吸は、老いた男のようにぜいぜいしていたよ」とサンプラスは語った。「25歳でナンバー1になるのも大変なんだ。ましてや37歳で試みるのは、言うまでもないよ」

エキシビションの何が気に入っているかを尋ねられて、サンプラスは答えた。「僕が現役選手たちと渡り合うのは挑戦だ。彼らは日々それをしている。僕は月に1度だ。動き回り、幾つかのポイントから回復するのはより厳しくなっている。だがそれは体調を保たせてくれる。僕には良い事だよ。こういう場に出場して楽しみ、良いプレーをする以上の事は求めていない」

オーストラリアン・オープン決勝戦でロジャー・フェデラーがラファエル・ナダルに敗れた事について―――その結果、フェデラーがサンプラスのグランドスラム最多優勝記録に並ぶ事は阻止された―――サンプラスは語った。「もし僕がロジャーだったら、もう少し中へ詰めようとするだろう。特に自分のサーブでは。彼は落胆しているだろう。彼は素晴らしいプレーをしている。ラファはアニマルだ。彼は1日じゅうプレーできる、何時間も高いレベルでプレーできるんだ」

「(ロジャーに)同情したよ。彼は挫折感を感じている。それほど求めているんだ。ぎりぎりの状態にいる事は、僕が考えたよりも彼に影響を与えているんだ」

月曜日の早い時間帯には、第4シードで昨年は決勝へ進出したチェコのラデク・ステパネクが、ドイツのドミニク・Meffertに7-5、3-6、6-1で逃げ切った。アメリカ人同士の対戦では、テイラー・デントが1時間ちょっとでボビー・レイノルズに6-3、6-4で勝利した。

ロシアの第7シード、イゴール Kunitsyn がベルギーのクリストフ・ロクスに6-2、7-6(9-7)で敗れたのが、本日唯一の番狂わせだった。ロクスは2回戦でハースと対戦する。


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