ASAP スポーツ
2009年7月14日
ロサンジェルス・テニスオープン記者会見
ピート・サンプラス


ピート・ホルターマン:皆さん、ようこそ。私はピート・ホルターマンと申します。ファーマーズ保険グループが主催する L.A. オープンの広報部長です。現在ピート・サンプラスと電話が繋がっています。彼は大会初日夜のエキシビション・マッチに登場し、マラト・サフィンと2000年USオープン決勝戦の再戦を行うのです。
まずは、トーナメント・ディレクターのボブ・クレーマーを ご紹介させていただきます。

ボブ・クレーマー:こんにちは。我々にとって、そして私個人にとっても特別な機会です。この電話記者会見に参加なさる皆さんを、心より歓迎いたします。これはファーマーズ保険グループが主催する L.A. テニスオープンの幕開けです。今回で83回目となる大会が始まろうとしています。今朝の会見だけでなく、我々の大会にもピート・サンプラスを迎えられる事は、何にもまさる興奮であり栄誉と申し上げます。

これは大会にとって特別な幕開けであり、ここ UCLA(カリフォルニア大学ロサンジェルス校)で開催する25周年記念でもあります。ピートは当キャンパスと、少しばかり繋がりがあります。史上最高の選手と私が考えるプレーヤーを迎える、非常に特別な機会です。それについては、我々は永遠に討論する事もできます。

しかしピートは2度、我々の大会で優勝しました。当然、史上最高の南カリフォルニア・チャンピオンの1人と申せます。その彼が戻ってきて、 マラト・サフィンと2000年の決勝戦をリプレイするのです。

ピート、ようこそ。テニスに対して、ロンドンへの旅行に対して、お礼を申し上げます。

ピート・サンプラス:どういたしまして。僕を招いてくださり、ありがとうございます。ウィンブルドンへ行き、ロジャー(フェデラー)が僕の記録を破るのを見るのは素晴らしい経験でした。少しばかりほろ苦くはありましたが、かの地で(ロッド)レーバー、(ビョルン)ボルグ、(マヌエル)サンタナ等のチャンピオンと共に過ごせたのは楽しい事でした。

僕は L.A. でプレーする事にワクワクしています。しばらくこの地域でプレーしていませんでしたから。UCLA のコートを常に楽しんできました。あなたが言われたように、僕は2度あそこで優勝しました。マラトとの対戦については、彼は友人で、たしか今年の終わりに引退します。彼との試合は胸躍るものです。自分が良いプレーをでき、ファンの皆さんが楽しんでくれる事を願っています。

ピート・ホルターマン:それでは、質疑応答を始めましょう。

引退は早すぎたと考える時はありますか?

ピート・サンプラス:
いいや。ないよ。キャリア最後の2年ほどは、かなり疲れ果てていて、タイトルも取っていなかった。ウィンブルドンの2番コートで敗れた時が、どん底だったと思う。それからカムバックしてオープンで優勝した。もうタンクには何も残っていなかったよ。感情的に何も残っていなかった。肉体的には、続ける事もできただろう。恐らく、そこそこ上手くはやっただろう。だが精神的には疲れ切っていたんだ。辞めるべき時だった。

自分が再びプレーしたいと望むかどうかを知るために、8カ月かけた。翌年にウィンブルドンの時期が来て、そして過ぎていって、自分が次の段階へと進むべき時だと知ったんだ。容易な決断ではなかったが、正しい決断だった。

マラトとの試合について、どのくらい競技的に捉えていますか? あなたにとっては、言わばあの決勝戦を戦った旧き日々を再び体験する素晴らしい機会です。彼に勝つつもりで臨みますか、それとも楽しむつもりで臨みますか?

ピート・サンプラス:
両方が少しずつと考えているよ。我々はいささか楽しみ、気軽な試合にしたい。同時に、彼は競争心が強いし、僕も競争心が強い。彼は40歳近い者に負けたいとは望まないよ。現役の選手たちと対する時には、僕は良いプレーをしたいと思う。ばつの悪い思いはしたくないよ。1セットでも取れたら、有頂天だ。もし試合に勝つ事ができたら、さらに素晴らしいね。

いま言えるのは、僕は週に3〜4日ヒッティングをしているが、かつてほど良くはないという事だ。動きも前ほど良くないよ。4カ月に1試合ほどしているが、それだと少し不安定だ。何も増してはいないよ。願わくば第1セットで自分のゲームを見いだして、そこからどうなるかを見られたらいいな。

試合は競技的だが、我々は楽しみも味わうんだ。ポイントが始まれば、僕はそのポイントを勝ち取りたいと望むだろう。

ピート、長年のマラトとの関係について話してもらえますか。あなたは彼を友人だと述べました。ツアーの誰と今でも連絡を取っているのでしょうか。そして彼との関係は、どんなものなのでしょう。

ピート・サンプラス:
そうだなぁ、我々が対戦していた頃、マラトと僕は常にとても良い関係だった。彼は本当にいい奴で、素晴らしい選手だ。特にあの年のUSオープンで、彼には何ができるかを披露した。僕を上手く扱ったよ。彼はコートでは表情豊かな男で、感情を見せる。オフコートでは、楽天的な男だ。僕はプレーする時には、かなり感情を内に秘めていた。どういう訳か、彼と僕はとても上手くいくようだった。よく一緒に練習をしたよ。

彼はチャンピオンだ。ナンバー1にもなった。メジャー大会でも優勝した、たしか2大会でね。彼が辞めるのは悲しい事だ。彼は多くのものをスポーツにもたらしたと思うからね。彼と連絡を取り続けてきた訳ではない。だがきっと、彼に会えば、我々の試合について話をするだろう。ポール(アナコーン)(ティム)ヘンマンのコーチをしていた頃、ピートはどうしている?と、彼はよくポールに尋ねていたんだ。彼は魅力的な男で、本当にいい奴だ。そして僕は常に彼ととても上手くやっていたよ。

現在のツアーで、他に誰か連絡を取り合っている人は?

ピート・サンプラス:
そうだね、メール交換をして、直接話をしなくても連絡を取り合うのは簡単だよ。ロジャーと僕はこの2年くらいで、とても良い友人になれた。ジェームズ・ブレイクとも少しばかりメール交換をしている。アンディ(ロディック)には敗戦の後、メールを送ったよ。引退組も何人かいる。(ジム)クーリエとは連絡を取り続けているし、アンドレ(アガシ)とも時折ね。携帯電話とメール機能で、誰とでも連絡を保ちやすくなったよ。アレックス・オブライエン、彼はロスに住んでいるし、ジャスティン・ギメルストブとも。かつて競い合った多くの男と、今でも連絡を取り合っている。

ウィンブルドン決勝戦の後に、あなたのコメントを聞きました。この事を訊かれたかどうか分かりませんが、(ラファエル)ナダルに対するフェデラーの対戦成績は、どの程度あなたの意見に影響しますか? あなたはとても多くの様々な人々から史上最高と称され、主要なライバルのアンドレに対して、優勢な対戦成績を持っていました。

ピート・サンプラス:
非常に良い質問だし、答えるのが難しい質問だね。史上最高である事についての議論は理解している。自分の世代でリーダーであらねばならない。彼はナダルに対して負け越している。その論点は分かる。

答えるのは難しいよ。どう答えるべきか分からない。まだ終わった訳じゃない。ロジャーのキャリアはまだ終わっていないんだ。彼はこれから何年もの間に、ナダルと何回も対戦する。そして彼を負かさなければならない。メジャーの決勝戦で彼を負かさなければならない。彼が史上最高かという事に関しては、僕の意見では確かにそうだ。だが彼はこの若者に対する解決法を見つけ出さなければならない。彼を倒さなければならない。彼には何回も敗れてきた。自分の世代のリーダーになる事ができるか。彼は確かに彼の世代のリーダーだ。ただナダルへの解決法は見つけ出さねばならない。

あなた自身の事として、少し語ってください。あなたが引退した時、もしアンドレに対してそういった対戦成績で、メジャー大会でも劣勢だったとしたら、あなたは満足していましたか。「僕は引退する。14回の優勝を遂げた。アンドレは数々の素晴らしい試合で僕を負かしたが、大して重要な事ではない。とにかく僕が最多タイトルを獲得したのだから」と言う事ができたでしょうか?

ピート・サンプラス:
まあ、何というか、あなた自身が考えを語っているんじゃない?(笑)

そうです。

ピート・サンプラス:もし僕がメジャー大会でアンドレに負け越していたら、苦にしただろう。受け入れがたい事だっただろう。それは僕が史上最高か、あるいはそうでない事を意味したか? 分からない。史上最高については論議がある。我々はどうしても誰かにそれを決定づけたがる。数字を考えると、ロジャーにその称号を贈るべきだ。ナダルとの対戦成績を考慮すると、そうだね、贈らないかも知れない。

つまり、もし僕がアンドレに対して7勝15敗で終えたとしたら、僕が自分の世代のリーダーであったとは言いがたい。彼が僕に勝ち越していたからだ。だが先ほども言ったように、物語はまだ終わっていない。恐らくもう3〜4年、この2人は競い合っていくだろう。もし何かあるとすれば、ナダルはロジャーがナンバー1に返り咲いたのを見て、今やさらにハングリーになっていくと思う。

まだ終わっていない時に、決定的な答えを出すのは難しいよ。ロジャーはこの若者への解決法を見つけ出さねばならないと承知しているだろう。厳しい、タフな好敵手だ。ナダルは自分がロジャーより優っていると考える数少ない男の1人だ。

ワイルドカードを貰いたいという思いに駆られる事はありますか? あなたはエキシビションでロジャーと対戦しました。もしワイルドカードを与えられたなら、大会でプレーしようという思いに駆られる事はありますか?

ピート・サンプラス:
いいや、ないよ。現在している事は、僕にとって充分だ。体調を保たせてくれる。時折プレーする事を今でも楽しんでいる。現役の選手たちに張り合おうという気はないよ。時折その事を尋ねられるが、答えはノーだ。

アンドレとのエキシビション準備はどんな具合ですか?

ピート・サンプラス:
我々は今年の後半にマカオで1試合プレーする事にしたんだ。彼は少しプレーするつもりでいると耳にしている。アンドレと対戦するのは楽しみだ。我々が共にプレーするのを見に来るあつらえむきの機会だよ。来年もさらにできたらと願っている。僕は受け入れ可能だ。アンドレがその気になるかどうかだね。

今年は1回行う。それがどう運ぶか見てみよう。すべてはそこからだ。

USオープン・シリーズについての質問です。あなたの現役時には、存在していませんでした。現在はカレンダーの中に組み込まれています。そのフォーマットについて、どう考えますか?

ピート・サンプラス:
正直に言うと、その種の事は知らないんだ。それが―――どういうものか、よく分からない。だから意見を述べる事はできないよ。何大会かのシリーズで、そこでポイントを得て、シリーズの終了時か何かには、さらに賞金を手に入れるというようなもの?

その通りです。

ピート・サンプラス:
分からないよ。その手の事に関わっていないから。僕はオープンを見るよ。それ以外には、それがテニスにとって良いか悪いかとか、シリーズについて意見を述べる事はできない。

ナンバー1順位に関してですが、明らかにロジャーには今年をナンバー1で終えるチャンスがあります。年末のナンバー1順位を失って、後にそれを取り戻すのは、これまでかなり稀な事でした。

ピート・サンプラス:
それはいつだって起こる事だよ。

年末のナンバー1です。1年をナンバー1で終える事です。年末をナンバー1で終えて、翌年にそれを失い、それからその座を取り戻したのは、これまで1人だけでした。80年代にイワン・レンドルがしました。1年をナンバー1で終える事について、話しているのです。

ピート・サンプラス:
なるほど。

あなたは6年連続で年末ナンバー1となり、その座を失ってからは、取り戻す事はありませんでした。あなたの優先事項が転じたのだと思いますが。なぜそれは稀な事態だったと思いますか?

ピート・サンプラス:
まあ、ナンバー1になり、ナンバー1の座に留まるには、多くの努力を要すると思う。ひとたびその座を失うと、取り戻すのは難しいと思うよ。特に何年もその座にいたのならね。僕の場合は、疲れたよ。僕には他の優先事項があった。だが一方でロジャーは、彼はデビスカップでプレーしていない。もっと多くの大会に出場してポイントを得るための時間とエネルギーを得た。

それはナンバー1の座を取り戻そうという彼の決意の表れだ。チャンピオンである彼が、1位の座に戻るという事。彼は恐らくナンバー1で終えるだろう。なぜあまり起こらないか? それを失うと、取り戻すのは難しいのだと思うよ。特に年齢を重ねてくると。僕がそうだったようにね。

合衆国のハードコート・シーズンは下り坂にあると思いますか? それはゲームにとって良い事でしょうか、あるいは望ましくない事でしょうか?

ピート・サンプラス:
どんな具合に下り坂なの?

かつてはハードコート・シーズンは長いシーズンでした。誰もが出場しました。2つのマスターズシリーズ。インディアナポリスはしばらく前に、階級をいくらか下げられました。ヨーロッパの選手の中には、USオープン・シリーズへの出場について、限定的参加を表明する者もいます。

ピート・サンプラス:
それは良い論点だね。誰がゲームを支配しているかを見ると、ロジャー、ナダル 、(ノバク)ジョコビッチ、(アンディ)マレー、ヨーロッパ人だ。彼らが早めに来るのは難しいよ。オープンまでとなると、彼らは2カ月間ここにいる事になる。楽な事ではないよ。

ロジャーの立場だと、彼はオープンへの準備が上手くいくよう何大会かでプレーして、それで切り上げる。L.A. のような大会、早い時期に開催される大会は割を食う。確かにロディックやブレイクといった合衆国にいる選手は、それらの大会を支えるだろう。それでもトップの選手たちは欠ける。

残念な事だ。だが彼らに2カ月間いろというのは厳しい要求だよ。僕がモンテカルロからウィンブルドンか何かまで、ぶっ通しで出場するようなものだ。長い期間だ。家に帰りたくなる。それで槍玉に上がる。彼らが早めに来るのは難しいよ。

USオープン・シリーズはあまり上手くいかないだろうと思う。早い時期にはトップ選手をここで掴まえられないからだ。大会が多すぎるんだ。

ロジャーが15回目のグランドスラム優勝を果たすのを見たのは、どれほど特別な事だったか、コメントしてくれますか。

ピート・サンプラス:
歴史的な瞬間だった。その場にいられて嬉しかったよ。かなりの旅だったが、それだけの価値はあった。あそこに座って2人の男が勇壮な試合を戦うのを見守り、レーバー、ボルグ、サンタナと一緒だったんだ。我々はロジャーのために喜んだが、同時に―――アンディには気の毒に感じていたと思う。彼は勝ってもおかしくないほどの良いプレーをしたのだからね。彼はしばらくの間、この敗戦を引きずる事になるだろう。

素晴らしい結末だった。ロジャー、レーバー、ボルグと一緒にいて、トロフィーと共に写真を撮った。こういう事はスポーツではあまりない事だ。その一員でいられたのは、嬉しかったよ。

試合の後、ボルグやレーバーとどんな話をしましたか?

ピート・サンプラス:
大した話はしていないよ。サンタナの隣に座っていた時に、少し言葉を交わした。下に降りてからは―――レーバーにいくつのメジャーで優勝できただろうかとか、ボルグには、もし続けていたら何回くらい優勝できただろうかとか尋ねたりしていたよ。ちょっとした好奇心だ。ただお喋りをしていたんだ。ロジャーとは試合について少し話した。アンディのサーブを受けるのはどのくらい困難だったかとか、アンディがどれほど良いプレーをしたかとかね。ざっとそんなところだ。短い時間だったからね。

サフィンとの対戦では、あなたのチャンスはどの程度でしょう?

ピート・サンプラス:
試合に勝つという見込みはあまりないね。彼は大いにプレーしている。毎日プレーしている。僕は時々しかテニスをしていない、それが難しいところだ。4カ月ごとのプレーだと、自信を感じるのも自分のリズムを見いだすのも、簡単ではないよ。それらを試合の中で見つけ出さなければならない。容易い事ではない、僕の全盛期の頃でさえね。

僕は良いプレーをして、かつては可能だった事をしたいと思う。だがもちろん、以前ほどシャープではないよ。

トレーニングはしてきましたか?

ピート・サンプラス:
うん、若干のヒッティングをしてきたが、この先2週間はそれを増やして、試合に臨むつもりだ。

シニアツアーに参加する可能性は?

ピート・サンプラス:
すでに参加しているよ。今年はあちらこちらで2大会ほど出場した。クーリエのシニア大会で2回プレーしたよ。

引退後はどんなプロジェクトに関わっていますか?

ピート・サンプラス:
それほどは。時折あちこちでプレーしたり、ゴルフゲームに取り組んだりだね。2人の息子がいて、彼らと一緒に過ごしているよ。そんなところだ。

将来、コーチをしてみたいという希望はありますか?

ピート・サンプラス:
自宅から携帯電話でならね(笑)。自分自身がツアーに帯同して旅行するとは思わないよ。絶対にないとは言わないけれど。コナーズだって、まさか自分がコーチをするとは考えもいなかっただろう。50歳になって、どんな事が待ち受けているかなんて分からないよ。僕は自宅にいて、何人か若い子供たちの手助けをするのがいいな。だが旅はしたくない。

これまで、息子さん達のコーチをしてきましたか?

ピート・サンプラス:
コーチングというよりは、言うことを聞かせるという感じだね。息子たちは時折プレーする。僕は彼らに規則を守らせ、きちんと振る舞うようにさせているだけだ。それ以上のものではないよ。だがもし彼らが成長するにつれて、テニスに打ち込むようになったら、ステキだね。

あなたを困らせますよ。ロッド・レーバーはウィンブルドンの記者会見で、フェデラーかサンプラスかと尋ねられました。爆発力、ビッグサーブ、ボレー等の能力に基づいて、彼はあなたを選びました。ロジャーのゲームには弱点がないと思うかどうか、あるいは、あなたが芝のコートでもたらし得たパワーレベルに対しては、ロジャーには脆さがあるかどうか、コメントできますか?

ピート・サンプラス:
まあ、この数年間、ロジャーが芝生で遭遇していない1つのものは、真のサーブ&ボレーヤーだと思うよ。前へ詰めてプレッシャーをかけ、そして彼にパスを打たせる、リターンを打たせる事をいとわないような選手だ。ビッグサーブだけでは、彼に脅威を与えられると思わない。僕のゲームはロジャーを少し居心地悪くするだろう。僕ならファースト・セカンドサーブとも前に出て、彼のバックハンドにプレッシャーをかけ、まあそこから始めるだろう。

僕が彼を負かすかどうか? 芝生でベストのプレーしていると思う時は、負け知らずのように感じたよ。特に90年代半ば頃はね。僕を破るのは難しかった。バックコートからでも上手くプレーしてチャンスを掴んだ。そして動きも良かった。

レーバーのコメントは喜ばしいものではあるよ。僕の全盛期にはロジャーを倒す事ができたと思うか? きっとね。全盛期に芝生で僕を倒せる者がいたとは思わない。現在のロジャーのようにね。彼は負けないと感じているよ。

僕のゲームは彼を居心地悪くするだろう。彼にステイバックするのではなく、ポイントでは自分で道を切りひらくようにさせるだろう。僕は言わばプレーの主導権を握るだろう。だが、彼をブレークするのは難しいよ。特に決勝戦でのように、50本ものエースを打っているとね。素晴らしい好敵手同士になっただろう。

ここ地元で少しばかり聞かれる批判に、答えてくれますか。あなたは育った街へ、スポーツへ、地元の人が望むほどには応えてこなかったのではないかというものです。あなたは UCLA での大会やイベントなどに来ませんでした。

ピート・サンプラス:
まあ、今年は来ているよ。スポーツから引退すると、それまでの緊張を解いて、距離をおくためには数年が必要だと理解してほしい。僕はこの2年くらいは、この辺りでプレーしたし、近くにいた。僕は現役時、自分にできる事はしてきた。引退してからも、自分にできる事はしてきた。僕は家にいるのが好きなんだ。今回ここ、L.A. でプレーする機会を得た。数年前にはアナハイムでエキシビション・マッチをした。

ここの若者たちに手を貸しているよ。若干の事について、USTA(合衆国テニス協会)に提言もしてきた。何も生み出されなかったようだけどね。だが僕は自分にできる事はしてきたよ。多分、年を取るにつれて、さらにもう少しするだろう。

立ち寄って、手を振って挨拶してほしい、と言う人々がいると知っていますか? 地元がどのように感じているかも知れないか、承知していますね?

ピート・サンプラス:
誰に手を振るの?

UCLA に来るファンにです。式典といった類の場で。

ピート・サンプラス:
式典には出ない。僕はそういうタイプの人間ではないんだ。これまでもずっとね。僕はプライベートな生活を送っている。プレーする事が好きだ。人々の前でプレーする。だが出掛けていって手を振る、僕はそういう事をするタイプじゃないんだよ。かなり人見知りな男なんだ。あまりに多くの事をするのは苦手なんだ。

だが今年はあそこへ行く。招待を慎んで受けて、あそこへ行くよ。

UCLA での試合については、どう考えていますか。楽しいものになりますか?

ピート・サンプラス:
楽しみにしているよ。サフィンは素晴らしい選手だ。彼は今年引退する。我々は良い戦いをしてきた。オープンでは、彼は僕を負かした。翌年には、僕が彼を負かした。ボールをハードに、そして上手く打つ。彼は優れたアスリートだ。僕はここで全力を尽くすよ。良い準備をして、上手くプレーしたい。

あなたは体形を保っているように見えますが。

ピート・サンプラス:
そう努めているよ。トレーニングをして、食事にも気を配っている。年齢を重ねるにつれて、脂肪をつけないでいる事は難しくなってくる。僕は体調を保ってきた。プレーするとなれば、自分にきまり悪い思いはさせたくないからね。良いプレーをして、自分のサービスゲームをキープしたいよ。

現実的には、現役の男との対戦で勝つのは難しい。だが、良いプレーをしたいとは思うよ。ところどころで幾つかの事を上手くやれたら、満足だよ。

ロディックがこの5カ月間で進歩した事について、話してもらえますか。彼は20〜30%ほど向上したように見えました。

ピート・サンプラス:
彼のプレーを見たが、動きがとても良くなっている。少し体重を落として、それで動きが良くなっているのだと思う。もちろんロジャーの方が、動きは良いけれどね。彼らが互いに動き回ると、ロジャーが勝つ。だがロディックは進歩している。ドライブ系のバックハンドがラインを捉えるようになっている。スライスも少し良くなっている。ゲームに変化を付ける事も、上手くこなしている。6-5のセットポイントで見たように、まだ少しぎこちないけれど、上達しているよ。

セカンドサーブでサーブ&ボレーをするのも見た。ロジャーはスライスで返球するだけだからね。何かを彼の頭に植え付けるんだ。

彼は大いに向上してきたよ。サーブも強烈で、動きも良くなっている。ナダルやロジャーと競い合うには、動きを良くしなければならないと、彼は実感したのだと思う。彼らの動きは素晴らしいからね。だからロディックは正しい道を進んでいる。この敗戦が精神的に、彼から多くを奪わないよう望むよ。少しはそうなるかも知れない。これは全盛期にあのコートでロジャーを倒し、初のウィンブルドン・タイトルを獲得する大きなチャンスだった。彼は今でもそう感じているだろう。

あの経験から得るべきなのは、彼にはチャンスがあったという事だ。彼は進歩している。そしていつか、あのトロフィーに自分の名前を刻めるといいね。

USオープンの時期までには、彼は立ち直れると思いますか?

ピート・サンプラス:
そう思うよ。彼がこの夏に出場する最初の1〜2大会では、スロースタートになるかも知れない。オープンでは、彼は準備ができているだろう。何かあるとすれば、彼は人々からさらに多くの支持を得た事だ。彼はそのエネルギーを感じて、誰とでも競い合えると感じていくだろう。

同時に、あの敗戦を克服するためには、数週間かかるとも思うよ。とにかく前進あるのみで、あまり過去を引きずらないでほしい。もちろん、彼は頭の中で何本かのポイントをリプレーしているだろう。スポーツは残酷なゲームだ。不幸にして、彼は今それを感じているんだ。だがオープンまでには、彼は大丈夫だと思うよ。

ピート・ホルターマン:時間をさいて下さった皆さん、特にピート、ありがとうございました。これで終了いたします。

ボブ・クレーマー:あなたをこの大会に再び迎え、素晴らしい思い出を呼び起こす事ができるのは光栄です。テニスに対するあなたの献身に感謝します。あなたは多くのものを返してくれました。我々はそれに感謝しています。

ピート・サンプラス:ありがとうございます。


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