ディス・イズ・ローカル・ロンドン
2000年7月13日
サンプラスの鍼治療


ピート・サンプラスは日曜日(7月9日)に、記録となる7回目のウインブルドン・
シングルス・タイトルを獲得したが、その陰にはNew Maldenの中国人鍼医師
による手助けのあった事が、今週明らかになった。


ジャスティン・ギメルストブと対戦する3回戦の前夜、真夜中少し前に、悩めるワールドチャンピオンは Yujuan Sun 医師から腱炎の治療を受けるために、New Malden の High Street へと車で向かった。

彼女を勧めたのは元ウインブルドン・チャンピオンのパット・キャッシュだった。彼は7年前から彼女の治療を受けていたのだ。

サンプラスは Sun 医師の鍼治療の効果を認め、ウインブルドンの重大な最終週の間に、さらに5回通った。

時にチャンピオンは夜遅くに鍼医師を訪ね、彼女は彼のため特別に、日曜日にクリニックを開けてさえくれた。

38歳の Sun 医師が初めてサンプラスに会った時、「彼は青ざめ、困った様子で、びっこを引いていました」

だがサンプラスの左脚の腱炎に Sun 医師の鍼はとても効果があったので、翌朝試合が延期になると、彼はさらなる治療を受けにきた。

古代中国の技術のおかげで、サンプラスは決勝戦でパット・ラフターと対戦する事ができた。彼の鍼医師も、心配そうに見守っていた。

「決勝戦の間、私は彼の左脚を見てばかりいました。彼はもう一方の選手ほど上手く走れていませんでしたから、多分まだ痛みがあったのでしょう。私はとても神経質になったので、(手を握り締めすぎて?)今日でもまだ手が痛いくらいです」

しかし、彼女が心配する必要はなかった。サンプラスは時速130マイル以上のサーブを炸裂させ、弾丸リターンをラフターに浴びせかけて、記録となる勝利を勝ち取ったのだから。

その後、彼は「鍼治療が助けてくれたのだと思う」と語ったそうである。




2000年ウインブルドンの優勝秘話?です。大会中、ピートは怪我の状態や治療に
ついて語るのを好みませんでしたが、どこからか聞きつけてきた記者が
「Witch
doctor(呪術医)にかかってるのかい?」と冗談を言うにおよび、鍼治療を受けていると明かしました。

94年全豪では、伊達公子の「置き鍼」が有名になりましたが、西洋世界においては、東洋医術はまだミステリアスなんでしょうかね。日本人でも鍼は怖がる人も多いし、ピートも「おっかなびっくりながら、藁にでもすがる」思いだったんでしょうか。

実際は試合前に痛み止めの注射も受けていました(これは翌年まで明かさなかった)。決勝は長い中断があったために効果が消えてしまい、再開前にもう一度注射するかどうか医師に相談したものの、度々するのは好ましくないと言われ、痛みを抱えたままでプレーに臨んだそうです(ホロリ)。

それはともかく、パット・キャッシュいい人だ〜! たしか彼はこの年、マッケンローと共にBBCの解説をしていた筈ですが、マックが隣でピートの怪我への疑いを喋りちらすのは、たしなめられなかったのね。って、誰にもマックの暴走は止められないか……。(笑)
上の写真は、ひょっとしたら Sun 治療院の壁にでもかかっているのかしらん。



パット・キャッシュ
チェッカーフラッグ柄のバンダナがトレードマークの伊達男。
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