不明(何かの男性雑誌とか?)
1991年4月号?
MC Front Line:データでスポーツを観る
有明コロシアムのサントリー・ジャパンは2倍楽しめそう。
文:宮本恵造


テニス・シーズン到来! 開閉型の有明コロシアムでサントリー・ジャパンが開催される。
ところで今年は新旧交代の年になりそうだ。優勝カップは誰の手に?

'90年のUSオープンで優勝したピート・サンプラス。昨年末のグランドスラム・カップでも優勝し、急に頭角をあらわした19歳のプレイヤーは、サーブ、ストローク、ネットプレー共に欠点がない。世界のナンバーワンになる日は近いかも。

もう春である。コートに出て半ソデのポロで心地よくプレーできるシーズンだ。4月には新装開店の有明コロシアムでサントリー・ジャパンも開催される。開閉型のコロシアムということだけでも見に行く価値は充分にある。当然それだけではなく世界No. 1のエドバーグ、今でも実力的にNo. 1といわれるレンドル、史上最強のプレイヤーといわれるマッケンロー、それにチャンやクリックステイン、日本の松岡修造と顔ぶれも超豪華だ。

開閉型のコロシアムというのも見ものだ。晴れた空の下、気持ち良くプレーしていたと思ったら、突然たちこめる雨雲、大つぶの雨がコートを濡らす。と今度はガーッという音と共にコートを屋根がおおう。一転して室内コートになるわけだ。春先の天候からすると充分に想像できるシチュエーションだけに、今年のサントリー・ジャパンはなにやら2倍の楽しみを味わえそうである。

ところで今年のテニスはどんな展開になるのだろうか? 女子は大混戦。女王グラフが勝ちすぎからか、勝負に対しての集中力がなくなった。まだ怖いもの知らずにがむしゃらに打ち込むセレス。メジャーを取って自信をつけたサバティーニ。天才少女カプリアッティ。この4人が飛び抜けている。まだセレスは勝つ事を知らない。ただ彼女はそのひたむきさが武器になる。今年は昨年以上の成績とNo. 1の座も夢ではないと思う。但しケガという敵も彼女は充分予知しなくてはいけないと思う。女子は多分どのメジャー・トーナメントを見てもこの顔ぶれだろう。それにまだ健在ぶりを示すナブラチロワが加わると見ていい。

新しいスターの登場でおもしろい女子であるが、男子と比べ層の厚さがあまりにも違いすぎる。男子は相変わらずレンドル、エドバーグ、ベッカーが3強として残っている。ただ彼らにしても100位前後のプレイヤーに撃破されることもたびたびある。男子の場合、正直いって誰がでてくるなんて全く想像ができないのが事実である。

でも今年はやや新旧交代的な年になりそうである。筆頭はUSオープン・チャンピオンのピート・サンプラス。年末のグランドスラム・カップで優勝して、優勝賞金2億6千万円を手にした19歳である。一昨年まではあまり注目もされていなかったプレイヤーだ。マイケル・チャン、ジム・クーリエと3人でアメリカの三羽ガラスと呼ばれていたが、ジュニア時代にはチャンに一度も勝った事がなかったほどだ。ところが昨年急成長、USオープンに勝ち、いきなりトップにでてきてしまった。昨年のテニスを見る限り、彼は早くて今年の末、もしくは来年には世界のNo. 1になってしまいそうである。レンドルのようなストロークを打ち、ベッカーのようなサーブ、エドバーグのネットプレーと欠点が見えないのである。無論まだ精神的なムラや攻撃的なプレイヤーにありがちな好不調の波の大きさはあるが、自信と共に波の幅も小さくなるはずだ。レンドルよりもボレーがうまい、だからウインブルドンでも勝てる。ベッカーよりもフットワークがいいし、ストロークのスピードがある。エドバーグのフォアハンドよりは数段いい。となるとどのコートでも世界のトップ3より上に行ける可能性がある。3年前は1000位ぐらいだった彼がもうすぐ頂点に立ちそうである。

それにたち向かいそうなのが先輩のアガシとユーゴスラビア(現クロアチア)のイワニセビッチである。二人とも彼らの得意とするコートでならかなり勝てるチャンスがあるが、総合得点でサンプラスの勝ちという気がする。ウインブルドンではイワニセビッチが、USオープンではアガシが最大のライバルになるのではという気がする。それに日本の松岡修造もメジャーで何か金星をあげてくれそうな気配もある。ニュースターと日本のスターの活躍で、今年のテニス界は久びさに活気溢れる一年になりそうである。



ピート・サンプラス
モニカ・セレス
年度
1989
1990
1989
1990
ATP/WTA
ランキング
81



勝率
(パーセンテージ)
18勝19敗
(0.486)
47勝17敗
(0.730)
33勝8敗
(0.805)
54勝6敗
(0.900)
大会優勝数




準優勝数




準決勝進出回数




準々決勝進出回数




賞金
$157,615
$900,057
$239,361
$1,628,725


*ピートの躍進は、記事を書かれた宮本氏の予想ほどには順調に進みませんでしたが、2年後の1993年にはナンバー1になり、長くその座を維持したのですから、やはり氏は慧眼の持ち主と言えるかな?

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