elf
日本最大の休火山、富士山も昔は噴火したそうですが・・・
なにぶん昔の話ですから。
体験した方々はもう皆お亡くなりです。

 
     

 

同級生
1992
恋愛SLG/ゲームA+/精液C
キーワード:同時攻略できすぎ

甘酸っぱい話。

説明不要の”NANPA”。俺、亜子さんが好きなんだよ。変わってるだろ。このゲーム、射精シーンあったっけ?

 

 

同級生(WIN)
1999
恋愛SLG/ゲームA+/精液C+(顔0:口1)
キーワード:案の定、エンディングの改変は好評だそうで・・・。

やっぱり甘酸っぱい話。

何で今頃?という「同級生」のWIN版。まさか出るとは思わなかった。何しろ、92年のゲーム。マトモなオープニングも無いような代物を、竹井正樹の新原画が期待できない状況で作るとは・・・。どういうモノになるの?というわけで、早速やってみた。サターン版はやってないから本当に久々の「1」や。

お、たくろうくんがマックユーザーになってるぞ!

いきなりCGに殺される。すげ〜よ、これは。キャラ、背景ともに息が止まりそうなほどに美しい。発売前は「グレーがかってる」とか「前と印象が変わった」だの言われてちょっと不安もあったけど、これほどの出来のCGを見せられたらもう「昔の方が良かった」とは口が裂けても言えない。特に髪の毛、もう圧倒的。

声優も非っ常にいい。オレが今までやったエロゲのなかでは一番レベルの高いボイスやと思う。美沙がちょっとイメージと違うなあというぐらい(もっと前に出てくる声かと思った。でも、いつものこおろぎさとみでしょ?)で、あとはキャラにも良く合ってるし、濡れ場でも見事。

でも、ゲームそのものはあんまり変わってない。追加のCGも多少あるんやろうけど、イベントの数もほぼ同じ感じやし。ややエンディングの発生条件が変わってるみたいだが、まあそれでも2、3回プレイしたらコンプだろう。やってるフィーリングは昔と同じやわ。システムが今のゲームにしてはかなり不便なのは気になるけどね。フルスクリーンのみの起動とか、ボイスのオン/オフ切替ができないとか、省略または高速の移動できないとか、ないないづくし。「同級生2」より更に悪くなってるやん。ま、それでもDOS版に比べたら山陰線の鈍行と0系ひかりぐらいの差はあるけど。

それにしても・・・めちゃめちゃオモロイな、これ。当時はあまりにも簡単に攻略できちゃったせいか「同級生2」に比べてあんまりやり込まなかったので意識しなかったけど、 この会話はスゴイよ。とにかく会話が聴きたくって、そこらじゅうマウスクリックしまくった。特に序盤のたくろうくんの飛ばしぶりは面白いの通り過ぎて、もはや狂人。全ての会話に何か仕掛けてくる。おバカ。しかも下ネタ多すぎ。たくろうくんのみならず、街角の脇役達も「まさいの・・・くんこがまさいの・・・」とご丁寧にフルボイスでスネークマンショーばりのアダルトギャグ乱れ打ちでっせ。街ぐるみ怒野ボツ子。昔の18禁ゲームっぽいわ〜。最高や。

さすがにDOS版のままではテキストが弱すぎると思ったのか、シナリオの主要部分はほとんど書き下ろしみたい。ということは、先にいった下ネタギャグもかなりリテイクが入ってると言う訳だ。新ネタでも当時と全く同じノリの蛭田氏には、感心するというか呆れますわ。亜子さ〜ん、チェ〜〜ック!!とか言い回しが古くさいところも多々見受けられるのはご愛敬。

そのギャグにかこつけて言うわけじゃないけど、この「同級生」は大人のテイスト溢れるゲームだったということを今回初めて気付いた。

まあ、「恋愛ゲームの始祖鳥」と言われるだけあって、基本は今のカウンセリングゲームに近いノリはあるわけだが。このゲーム、既に恋人がいる、もしくは恋愛に関してはすれっからしであるという女性が半数を超えてるのだ。それだけに、恋愛や肉体関係に関しての精神的なハードルが低い(誰とでも寝るということではなく)。それに加えて深刻になりそうなところを茶化してみたり、後を引かないイベントシーンとかも相まって、全体的に洒脱感があるぞ。男も女もとりあえず繋がりたい、細かいことはそれから考えるというのはこのゲームの出自が「女撃墜ゲーム」であるが故にできた人間関係だが、図らずもこのゲームの美点になっているような気がする。一生を約束するまでは股を開かん今の恋愛ゲームの風潮のなかではこういうの新鮮。オレは好きだ。

とはいえ、14人のヒロイン中11人同時攻略可能という恐ろしいゲームなんで、イヤでもウソもつかないといかんし心苦しいこともあるけどな。それでも女の子達がたくろうくんを許してくれるのが泣ける。何か、女性が皆強いぞ。むしろたくろうくんが女性達との交流を通じて、人を愛するということのレッスンを受けているような感じだ。特に真子やかおり、やよいのような大人の女性達のセリフが印象的。経験豊かな彼女らの言葉が、やりまくりのゲーム世界のなかで良いアクセントになっている。

これに比べると「同級生2」では大人の存在がかなり希薄になってしまった気がする。これはやはり美沙のブレイクによって「2」がおままごと路線というか、同世代傾向を強めていった結果とも言えるな。そう思うと、「同級生」から「同級生2」、更には「下級生」「Piaきゃろ」「東鳩」とこの手のゲームがどんどん子どもっぽくなってきていることがよくわかる。別に良い悪いの問題じゃないけど、今改めてやってみた「同級生」はその無節操さや非現実感にもかかわらず、時にめっちゃ深い。これは渋いですわ。

今やっても充分面白いゲームやと思う。むしろ、ゲームとしての洗練度では遙かに負けている「同級生2」よりも、そのパワーや味わいにおいては勝っている部分も。「1」を「2」より上に置く人の気持ちがようやくわかったわ。しかも、こっちの方が遙かにエロいし。これは買いやね。

と、こういう感じでレビューも終わるはずだった。

しかーしっ!これは書いておきたい。何でエンディングがDOS版から変わってるんやぁ? 「同級生」と言えば、あのエロエロENDやろうが。 舞ちゃんの「根本までしゃぶって含んで全部飲んであげる」ENDや くるみの「木馬で漏れちゃう」END、ちはるの「揉みすぎて爆乳」END、 全て無し!まだ見てないけど、この分じゃあ美沙のあのステキな「口射即尺スーパーフェラテク」ENDもないんやろうなあ。なんじゃい、これは。な〜んや訳わからんぬっるいENDがついとるで、ホンマ。「世界で一番、大切な人・・・」ってゲーム中に散々聞いてんねんから、もうエエねんて。 「同級生」はエンディングの落差が良かったのになあ。最後のCGが一番エロいのに全部オクラ?もったいないよ〜!

この改変は許せないな。感動路線では「同級生2」や「Kanon」とかに敵うわけないんや。変に日和って同じ土俵に立ってしまったら、先に言った「1」の持ち味が無くなるやんか。このゲームを今の世の中に出すんやったら、むしろあのエンディングを敢えて残した方が、よっぽど価値があったと思うんやけど。

まあそれでも、このゲームはやっぱり傑作だということは再確認した。これが「99年の新作」だとしても、充分ベスト・ゲーム・オブ・ザ・イヤー候補や。DOS版「同級生」ファンのみんなは愛深き故に、もう時代遅れだったらどうしよう?という不安を持っているようだが、古いゲームやから時代のコンテキストからは逃れられないのは当然。しかしね、このゲーム性、世界観やキャラの作り、マウスクリック会話の楽しさには、今の安っぽい感動ADVが1万個束になっても敵わないよ。凡人の大作は天才の落書きに如かず。「同時攻略ができすぎて恋愛ゲームとして不完全」とか「ストーリーが希薄」とか「オープニングがない」とかいう理由でこのゲームを貶すのは「ギターバンドはもう流行らない」といってビートルズを門前払いにしたデッカのプロデューサーと同じでっせ。やはり、蛭田マジックはすごい。このゲーム、全てのエロゲーマーにやってもらいたい

・・・というレビューしか書けない自分に、逆に限界を見てしまうオレ。 結局、このゲームをやってみて感じる気持ちが、エロゲ世代のリトマス試験紙になるんではなかろうか?ど〜せオイラは初代ガンダム至上主義や。ふん。

 

 

ドラゴンナイト4
1994
SLG/ゲームA+/精液B−(顔1:口1)
キーワード:エルフ・アホギャグ

戦略SLGの名作(ストーリー一言で説明できない・・・)。

ちょっと感動。この展開はわかってても楽しめちゃう。次作「同級生2」のブレイクを予感させる出来。WIN移植を早く進めて欲しい。ま、エロはあんまりやけど。ドラゴンナイトシリーズはこれしかやったこと無いけど、かなり評判いい。でも「4」以外は竹井正樹原画じゃないから手を出さない俺だった。

 

 

同級生2
1995
恋愛SLG/ゲームAAAAA/精液B(顔2:口1)
キーワード:「カウントダウン」の方に「SINPLAN」投稿版レビュー有(こちら

さらに甘酸っぱい話。

歴史的オープニング。オープニングだけで、今までのエロゲを全てぶっとばした。俺がエロ抜きでもやりたいと思う唯一の作品だ。いずみ最高。WIN版の声は好きじゃないが。しかし、蛭田氏は「年上の女は口射」「同年代の娘は顔に」とか言うポリシーでもあるのか?

 

 

遺作
エルフ(1995)
ADV/ゲームA+/精液B+(顔1:口1)

学校旧校舎に閉じこめられた高校生達とサイコ用務員との頭脳ゲーム。エルフ作品の中では異色なダークさを持つ傑作。

これはかなりおもしろい。
ストーリー、CG、ゲーム性、エロ全てすばらしい。音楽もいい。もう不気味すぎる。俺は夜プレイできなかったぞ。エルフでは初めての横田守原画でH度もエルフでは最高クラス。WIN版でのリファインも出来がいいらしく、おすすめだね。しかし、この作品を最後にエルフって徐々に下降線のような・・・。「○作」タイトルシリーズ化ってなあ、そんなんどうでもいいから早くオリジナルの新作出さんかい。恋愛モノで。

 

 

下級生
1995
かけもち恋愛SLG/ゲームA+/精液B(顔7:口4)
キーワード:「2」は期待薄。

怪物シリーズ「同級生」の姉妹作。1年間の期間を通じて繰り広げられる、女の子たちとの甘酸っぱい思い出作りというエルフの十八番ノリで大ヒット。誰でも知ってるから説明するのめんどくさいなあ。

「クローンドール」と並んで、最近俺のなかで再評価著しい一作。
コラムで書いた、エロゲに必要なキャラ・エロ・ゲーム性が全て揃っていて、しかも純愛。恋愛成就後もゲームが続く甘美さも、「とらハ」より前に既に装備している(くっついた後の涼子の態度豹変は白眉)。更に汁付き。ある意味、理想のラブ汁ゲームだと言えるかも知れない。
これで原画さえ門井亜矢じゃなかったらなあ。

以前のレビューは以下。

(2001.4.26)


これもメジャーゲーム。竹井正樹原画だったら「同級生2」より売れたに違いない。とりあえずエルフのゲームはどれ選んでも面白いんですが。なぜ「同級生2」じゃなく「下級生」かというと、これがエルフのゲームのなかで一番精液度が高いから(こういうところでこのランキングのバイアスを見せとかないと。へへへ)。

確かに下級生の原画の門井さんは竹井氏に比べてちょっと、いやかなりインパクトが落ちる。でも首から下に関してはむしろいい感じの体を描くんだよね〜。しかし、あれだけ柔らかい身体が描けるのになんで顔は・・・・。ま、いいか。(と、思っていたら先日新情報が!この作品、門井さんは顔だけしか描いてなくて、身体は別の人間が描いているとのこと!うわ〜ダマされたぁ!!!)

このゲーム結構Hだよ。デートを重ねるごとに色々パターンが増えるのって好き。女の子もたいがいの娘に顔射が用意してある。顔射、口射CGがないのは・・・真歩子と、ティナ(この娘はH自体ないけど)だけか。これはエルフでは例外的だねえ。「同級生2」では顔射って2、3人ってとこでしょ。しかも脇役ばっかだよ。オバハンとバスガイド(これは口射か)とあとは友美だろ。これじゃ〜な〜(メガネっ娘が好きな人ゴメン)。ヒロイン級の娘の顔射は「遺作」ぐらい。あの鬼畜な「臭作」でも射精はおざなりだったなあ(口内射精の時の「声」はめちゃいいのに何考えてんだろ〜)。エルフは精液オリエンテッドなブランドじゃないからしゃあないけど、それだけに「下級生」のHさは貴重と言える。 エルフだけにゲームとしての出来は当然いいし、みんな買おう!!!!ってみんなもってるか、もう。

ちなみに俺は涼子とみこちゃんがお気に入りだ。・・・エルフのソフトってなんか「俺は○○が好みだ」って言いたくなるんだよなあ。俺みたいなエロゲーマーでもはまってしまう。これがエルフゲームの魅力なんですかねえ。でも最近移植オンリーじゃないか。そんなだから、最近の若い連中に「To Heartは同級生を越えた」とか言われるんだよ。

(ここから下、長文、しかも愚痴。)

大体、「東鳩」が「同級生2」より優れてる訳ないだろう。確かに俺も「To Heart」はやったよ。かなり面白いと思った。でもなんか、あれがいいって言っちゃうと蛭田氏に失礼じゃないか?ま、最近恋愛ゲームはかなりの数出てるが、主人公どいつもこいつもいいやつというかTPOに合わせて口当たりのいい言葉を並べる優柔不断な奴ばっかりでいわばノッペラボウだ。それにストーリーも判で押したような感動物。「ウリナリ」じゃあるまいし。

「下級生」とか「同級生」の世界観の方が料理が難しいんだぞ。蛭田作品はその内部にとてつもない異常さを内包しているでしょ。みんなどことなく変だ。とりわけ主人公のあのエキセントリックさ。あんなやつ実際いたらかなりの変人だ。学校ではなんかモテてる設定みたいだが、それはないだろう。しゃべり方も変だし、やることも寒いし、セクハラするし、ギャグだってボーダーすれすれ。こんなランスが制服着たような奴にまともなラブストーリーをやらせる。それをテレ東アニメみたいに敷居の高いものにしないで、ここまでにうまくまとめられるのはひとえに蛭田氏の技量に他ならないと思う。特に会話が素晴らしい。世界観の構築は9割がた会話に左右されると俺は思ってる。蛭田氏の書く会話は一見壊れてる。が、これが段々マトモに見えてくる。主人公の寒いギャグが面白く思えてくる。それどころかこの世界が何だかとてつもなく居心地のいい世界のように思えるんだ。

変なものばかり集めているが、これが普通に思える瞬間、虚構が「理想的現実」に昇華される。下級生発売時に「下級生=うる星やつら」という説が一部で言われていたけど、これは頷ける。(そういえば、うる星の映画でしのぶがあたるのことを「いいかげんで、怠け者で、いやしくて、女好きで、インランで、浮気性でエゴイストで・・・そりゃまあ善人ではあるけれど・・・」というところがあったけどこれってまさに蛭田主人公)。そう思うと高橋留美子は蛭田氏の師匠格ともいえる存在だ。もっとも留美子先生は蛭田氏でもティナで失敗した非常識宇宙人の日常化(ラムちゃんだっちゃ)という難問をクリアしたと言う点で蛭田氏以上のタレントといえる。その天才けも先生でも「らんま」の後半以降、そして「犬夜叉」とボタンの掛け違いが続いている。一歩間違うと「単に変」になってしまふ。かように厳しいフィールドなのだ。

しかし、こういうアブノーマルな世界観は一旦構築してしまうと正調ストーリーへ移行したときに臭み消しになり、破壊力を増すという魅力がある。俺は今年タイタニックを見に行ったがそれは嘲笑の対象にしかならなかった。しかし、何の期待もしなかったクレヨンしんちゃんの映画では「ぶりぶりざえもん」にホロホロしてしまったのだ。エルトンジョンがいまさら大バラードを唄ったところで大したニュースにもならんが、コミックバンドと思われていたサザンが「いとしのエリー」を唄うとそれは昭和の名曲となるのだ。蛭田氏のシナリオの肝はまさにその振幅にある。「あと5分で感動」とかアホな道案内しなくても、リラックスした人間の心にすっと入りこむ術を氏は心得ているのだ。こういうやり方だと感動に免疫がつきまくっているすれっからしの連中も思わずジュンっと濡れてしまうんです。いやらしいねえ。最近は「感動」が巷に溢れかえっているから、こういう感覚は大事だと思う。

大体、世の中感動感動ってゆーけど、実際そういう体験って年に何回もないもんなんだ。まあ俺は恋愛ものが好きだけど、別に感動を待ち望んでる訳ではない。TVにせよゲームにせよ「既成事実としての感動」に満ち満ちてるからな。「感動したい」受け手と、「手法としての感動」を濫発する作り手側の、終わりのない焼き畑農業は見てて吐き気がする。大体感動ってのはふと、心を捉えるもんであって、偶然の産物でしかないと思う。それをルーティン化しようとすると悲惨なことにしかならないぜ。モーニング娘が試練を与えられ、それを乗り越え泣く。不幸話を延々と聞かされて涙を流す島田紳助。タレントのトークにいちいち大げさなリアクションを返す観客。こんなマッチポンプはうんざりだ。

感動ともらい泣きを一緒くたにしてはいけない。しかしゲームの世界でも、もらい泣きを感動に錯覚させてしまうやり方が横行している(と断言できるほどやってないけど)。特にRPGでよくある「戦友の死」「愛する人の不幸」なんかがそうだ(と断言できるほどやってないけど)。「死」は演出手法としては最終兵器。一番効果的で、それゆえ一番短絡的なやり方でもある(物語に手っ取り早くヤマ場を作れるが見てる側に耐性が付きやすい。インフレが進みすぎて「宇宙戦艦ヤマト」のように屠殺場さながらになってしまったものもある)。「死」を簡単に取り上げるのは、クリエイティヴィティの腐敗に繋がりやすいのだ。

俺が「DESIRE」を絶賛しながらも、「EVE」を無視するのは、まあエロがないってのが一番の理由だけど、剣乃氏に感動インフレが起こってるのでは?と思ったからだ。彼ほどのライターなら同じ容器に水をさらにつぎ足すようなやり方ではなく、もっと違う入れ物を用意して欲しかった(ぜいたくかな?)。さっきほめたとこだけど蛭田氏も「同級生2」の桜子シナリオでやってるんだよなあ。まあ、沢山のストーリーのなかの一つだからいいんだけど、それをあんまり沢山の人が支持したりするとあれれ?って思うんだよ。なんか見え透いてないかい?中学生ならともかく、18才以上(だろ?)の立派な方々なのにみんな無垢な感性もってんだ。いや、イヤミじゃなく。

・・・ここまで来たら、俺が何で「To Heart」より「同級生」「下級生」の方を上に持ってくるのかわかるだろう。それは、

俺、「マルチ」シナリオ全然たのしめなかったんだああああ!
それをみんな大絶賛するから悔しいんだあああああ!!

あ〜あ、俺は不感症になってもうた。

(以上、愚痴でした。)

エルフよ。いくらなんでもこのままじゃスーファミ時代の「ドラクエ」みたいに後発にやられっぱなしだぞ。はよ「同級生3」だせよ。竹井氏の絵が遅れてるんだったら横田守原画でやったらいいじゃんか。わたしゃそっちの方がみたいぞ、むしろ。 たのむで。(制作再開とのこと。これは楽しみ。)

 

 

この世の果てで恋を唄う少女 YU−NO
1996
ADV/ゲームA/精液B−(顔0:口2)
キーワード:パンチラ・生殺し

エルフの98DOS最終作。エルフ+剣乃ゆきひろ最初で最後の夢のジョイント。時間と空間を大きく行き来する渾身の力作(だよね?)。

(2002.1.12 リライト↓)

やるゲームがあんまりにもないので、久々(97年以来!)に完全リプレイしてみました。

相変わらず面白い。

今のWINゲームまとめてかかってきても、負けてるのは色数のみ、という感じ。これだけの作品にもかかわらず、このゲームはプラットフォームが9801DOS、サターン、限定販売CD同梱のみ、というわざわざ渋ゲーム志願しとりますんで、最近のエロゲーマーのなかには全く知らないって人もいるかも知れないですねぇ。なので、ややバイヤーズガイド風にレビューし直します。

まーこれはいわゆる「パラレルワールド」ものでして。剣乃ゆきひろが「DESIRE」、「EVE」とシーズウェアと取り組んできた、複数視点で一つの物語を進めるという「マルチサイトアドベンチャー」、その形式を更に進めて、今度は「一つの物語を複数のパラレルワールドから見ていく」という非常に複雑な形式になっています。

選択肢によって違うイベント・結末を選んでいくADVという形式はもともとパラレルワールドを含んでいるんだけど、この作品はそういう潜在的な構造を自覚的に取り上げ、「運命を自分でねじ曲げて、必要な運命を自分で揃えていく」というADVの「手法」自体を「目的」にリアレンジしています。例えば、ある場面で「ロープ」が必要だと言うときは、もっと前から違う行動を取って、そこまでと異なる「並列世界(ゲーム内でのパラレルワールドの呼称)」を旅してロープをゲットしに行かないといけない。そのために、主人公はリフレクターという全ての「事象の流れ(要するにフラグ)」がマップになって表示され、しかも複数パラレルワールド間を移動できる道具を持たされています。主人公はゲーム開始の時点では真っ白な事象マップを埋め、様々なパラレルワールドに隠されたイベントやアイテム、そして最重要要素である「宝玉」を集めなければ行けません。

紙芝居ADVではルーティンワークになってしまっているフラグつぶし自体がADVになっているという、メタ構造。元ネタがあったのかも知れないけど、これは当時超斬新なアイデアで、それでいてこのアイデアを「ADMS」というゲームシステムによって具現化させたエルフのスーパー技術力に驚いたものです。実際はメイビーソフトと同じように場所をたらい周しにされているだけなのに、その余りの洗練度にやってる方は気づかないんだなぁ。

そして、そのゲームシステムにまけず劣らずストーリーの方もなかなか意欲作でして・・・。

「なんだかわかんないけど、すごいことが起こってるかも!」という、伏線張りまくりで1を100にしてみせる剣乃ゆきひろのペンが冴え渡るその理系SF世界。「パラレルワールド」って言ったらしまいのところを、わざわざ「並列世界」と言い換えて量子力学で説明。大風呂敷広げさせたらスゴイな、ホント。とかくこの作品は、パラレルワールドのあっちこっち飛んでいく形式のせいでストーリーが見えにくい。自分が何のためにゲームをやっているのかがはっきりしない。にもかかわらず、ゲームを進める推進力は衰えないんです。「ドラマの見えない部分を使ってドラマを作る」大家・剣乃ゆきひろじゃないと一気に退屈になってしまうでしょうねぇ。しかも剣乃氏なのに妙にテキストがエルフっぽい軽さがあるのもいいんですよ、個人的には。現代世界編の女の子が主人公に惚れていてそれを隠そうとして隠せないところとか、蛭田昌人がダイアログライターとして参加してんじゃないの?と思えるぐらい。

そんでもって意欲作といえば、今やって気づいたのがその寝取られ度の高さ。前半・日常世界編に出てくるメイン女性で、何と処女は一人しかいません。それどころか、どいつもこいつも主人公の心をかき乱すような所行を連発。さすが「DESIRE」のシナリオライター。

有馬亜由美(主人公の若い義母)→主人公と失踪した夫を未だ愛しながらも、腹黒い部下の色男の甘言に踊らされ、主人公の前で大股開きで籠絡寸前に。
波多乃神奈(綾波レイタイプの転校生)→主人公の並列世界での悪さでできた娘。おとなしい外見とは裏腹に、売春で生活費を捻出。
一条美月(学長の秘書)→主人公が昔付き合っていた女性だが、心の奥では常に年上の学長に惹かれている。研究室のロッカーに主人公が隠れていることも知らずに、その眼前で学長と感激SEX。
朝倉香織(人気女子アナ兼産業スパイ)→主人公を逆レイプしつつ、失踪した主人公の父親とも関係。

しかもねー、寝取られる相手がことごとくゲス。すごいっすなあ。後半・異世界編でも、主人公が4年連れ添った妻・セーレスは兵隊に手ごめにされ、舌を噛みきって自害。ひどすぎる〜。全体的に女性陣は不幸でハードボイルド度高し。しかし主人公も大したもんで、長年飼っていた人型動物を砂漠で食料にするし、神奈&ユーノの実の娘2人とネンゴロになっちゃうしと、モラルクラッシュ一直線。なんというか・・・・意欲作ですわ。

しかし、そういうアダルトな世界ゆえに、心の結びつきと同じぐらい肉体の結びつきに重きを置いているところは非常に好きでした。主人公の娘・神奈が「身体は簡単に深く繋がれる。それが空疎な繋がりでも、何にもないよりはマシ」みたいなことを言ってますが、身体の触れあいってのはものすごいパワーがあるんですな。従って、くっついてSEXをした後のヒロイン達の、無防備で安らいだ感じは何とも言えなく素敵ですわ。

ただ・・・それでエロシーンも意欲的だったらなお良かったのですが・・・。
エロシーンははっきり言ってシオシオどす!エロCGはせいぜい2枚。ちんちんは描かないし、汁も全然出てない。各エンディングでのヒロインとのエロトーク(こういうところで恋人同士が立派な話をせんとエロ話ばっかりしてるってのも良い)は非常に魅力あるんだから、もっともっとエロ絵を見せて欲しかったですなぁ。ここら辺はやっぱりエルフだから・・・。

ストーリーの方も後半、やや竜頭蛇尾気味・・・。

前半・日常世界編でフラグを埋めると、謎解き編に当たる「異世界テラ=グラント」へのルートが開きます。この異世界がねー、個人的にはややずっこけた世界なんですわねぇ。前半部がもうパラノイア寸前の自覚的な構築美と世界観、ゲームシステムを誇っているのに、後半は全くの異世界でありながら英語と日本語がチャンポンで飛び交うステロタイプなファンタジー世界+紙芝居ADVシステム。前半エルフが手がけて、後半からシーズウェアがやりましたって感じ。一本道のADVになるってのは、ストーリー収束に向けて必要な展開だったのかも知れないけど、パワーダウンは否めないですなぁ。しかも、前半と後半でメインキャラクターがごっそり入れ替わるのも辛い。誰でも、ストーリーの序盤で活躍したメンツの方が思い入れが強いもんで、それが異世界編で全然出てこなくなるってのは・・・。タイトルヒロインであるユーノなんか全体のゲーム時間のごく一部しか出てこないもんなあ。それがトゥルーエンドのパートナーと言われても・・・。

伏線回収と謎解きの方もケムにまかれたような感じで・・・・「今までの出来事は実は36次方程式で解けば全て解決するのぢゃ!」みたいな。こういうとこまで量子力学にならんでも・・・。伏線が膨大なだけに、謎解きもなんだか「説得」めいてました。そもそも、ボクは主観的世界論の下で生きているので、こういう唯物論的ストーリーは合わん。どんな過去に行こうが未来に行こうが別の事象を生きようが今ここにいるワシの人生は一つじゃし。まあ、多分にロマンチックではあるけど・・・。それに、理屈上は伏線が回収されていたのかも知れないけど、前半部で物語や主人公の目的がどうで、それが後半部でどう解決されていたのかという流れがついぞ見えなかったので、結局ボクはこの話がどういうことを描きたかったのかわかりませんでした。ある事件が始まって、終わったというだけで。相変わらず人殺しまくりで感動インフレだし。

ただ、それでも最後はやっぱり何か知らないけど熱くなってしまうんですな。最後は想像を越えるとんでもない場所まで行ってしまうんで、その巨大なスケール感にはやはり圧倒されてしまう。そう、その「圧倒的なスケール感」という点こそ、この「YUNO」のキモですね。ストーリーにしろ、システムにしろ、これだけのアイデアと熱意が詰まったゲームはそうそうないと思います。いわゆる「大作度」では史上最大のエロゲかも知れませんな。「こんなゲームを作ってた時代もあった」ということで、是非、新規のエロゲーマーにもやって欲しいですねぇ。

つうか、もうコンシューマーですわ、これ。エロ無いもん。コンシューマーやと思うと基準厳しなるとこやけど、やっぱり多少は裸があると一気に採点甘くなるんやもんなぁ。ダメや、俺も。

 

 

遺作95
エルフ(1997)
ADV/ゲームA+/精液B+(顔1:口1)

フルボイスとCG256色化でリメイクされたWIN版。更にリニューアル版が出たので、もう今は売ってないか?

やっぱり謎解きが全部わかってる状態だと1時間ぐらいでエンディングまで行ってしまうのが悲しいな。今と見るとエンディングが2人分しか無いくせに、他のヒロインの好感度を上げるための選択肢が残ってるってのは片手落ちというか、ちょっと盲腸が残ってる状態。本来、もうちょっと時間をかけるべきゲームだったんだろうなあ。全ての女の子とのエンディングが用意してあったのはスペシャルディスクの「盗作」をやったら一目瞭然なんやから、リメイクの機会に完全版にして欲しかった。

CGリテイクに関しては良かったし、ボイスに関しても上々だと思う。断然のヒロイン美由紀の声も良かった。でも、システム回りに関してはもっと改善の余地あったと思う。「同級生2」と同じで基本的にDOSのままなんだな。DOSの時代のシステムやインターフェースの出来が変に良いおかげで楽できるな。楽しすぎやけど。

まあ、文句は色々あるけど謎解きに関しては手抜きってことはないし、やっぱり面白いと思う。全てのアイテムが校舎脱出のために必要で、そして全てを使い切ったときに事件も解決というのは気持ちがいい。試行錯誤の過程が適度な難易度で楽しい。ここら辺はさすがエルフ。本当のADVというのは、こういうものを言うんだよ〜。

鬼畜モノでありながら女の子を凌辱させないということが目的というのがこの作品の評価ポイントとオレは思っていたんだが、それは実は大間違いであった。「遺作」のOVAを見ると実はこのゲーム、女の子全員が遺作に捕まって凌辱されることがトゥルーエンドみたいよ〜。変に健太くんとか、ガンバリ屋さんが出てくるからややこしくなってるだけで、「遺作」〜OVA「遺作」〜「臭作」へ至る流れを考えると遺作が主役と考える方が自然か。何や。やっぱりそうか。

今年に出たWIN98版はCGのハイカラー化やエルフのスペシャルディスクの中でも評価の高い「盗作」の同梱等、更に手を加えられている。今更このWIN95版を買う必要は無い。パッケージデザインも「臭作」と同じになって伊頭○作兄弟シリーズのコンセプト整備が進んでいるな。で、いつ次の新作出るの?

 

 

臭作
1998
ADV/ゲームB/精液C(顔0:口0)
キーワード:汚いトイレ

「遺作」の姉妹品(?)。盗撮マニアの用務員が撮った写真をネタに可憐な女学生を自らの肉欲のままに凌辱する。

まあまあ。なんか色々やな話。このシナリオ、確かにちょっと意表をついてるけど、書いてて楽しいか?こんなの。

んで、なんで顔射がないんだ?しかもヒロインの絵里にHシーンがない。ゲームとしては面白いし、凌辱そのもののボリュームの多さや、レベルの高いCGや音声など、商品としてはまとまってると思うけど、エルフ作品だと思うとちょっと・・・。まあ「習作」だからということで。っていっても後が全然出ないじゃんか!どうなってんだ!?エルフさんよぉ!!

しかし、これがWINゲームで史上最も一番売れてるゲームとは・・・。エルフのネームバリューってスゴイのね。

 

 

ELF ALL STARS 脱衣雀
2000
使い回しCG脱衣麻雀/ゲームB/精液C(顔0:口0)
キーワード:萌子ってカワイイのね。気が付かなかったわ、今まで

’92年のエルフのDOSゲーム、「雀JAKA」のリメイク。同級生2、下級生、遺作・臭作、ワーズワースのキャラも交えた脱衣と出した点数でデスクトップアクセサリーが手に入るノベルティゲーム。

何かこう、アリもの路線もここまで来たかという感じもしますが・・・。けど、やっぱりエルフなのでやってみる。

麻雀部分は非常に良くできていると思った。特に「將姫」をやった後だと、もうエルフの開発力がナムコ並に感じてしまった。それほど相手も強くないし、動作も軽快、右クリック押しっぱなしで超スピード進行が可能なので、4人打ちでありながらそれほどストレスを感じない、こういうところはサスガだ。しかし、相手がちょっと弱過ぎる感もあるので、コンプした後も楽しめるかというと微妙。エルフってのはユーザーコンフィグがいつも貧弱だけど、このゲームもご多分に漏れずというところ。難易度設定とかローカルルール変更ぐらいは付けてほしかったなあ。これだけ良好なシステムならコンプ後はガチンコ麻雀が出来ても面白そうだと思うんだが。(と!思ったら!できた・・・・。ごめん・・・・。)

CGに関してはまあキレイはキレイなんやけど、釈然とせんねえ。だって過去の傑作を引っ張ってこようにも、原画描くヤツがおらんねんもん。従って、遺作にしても同級生にしてもキャラの立ちグラの使い回しにどこのウマの骨かわからん身体が描いてあるわ。これじゃあ、オールスターというより、そっくりさん大集合ですわね。三原順子のすげかえヌードなんてのが昔ありましたが。いずみはず〜っと怒ってるし・・・。しかもさ〜、どいつもこいつも脱いで終わりよ。「雀JAKA雀」のメンバー達は一応全部脱いだ後、薄いながらもベッドインという感じのシーンが用意されてるけど、ゲストメンバーは脱いで一言、「恥ずかしい・・・」とか煮ても焼いても食えないようなセリフを言ってチョン。だから、これを18禁で出す意味は?絵里が初めて脱いだっていってもこんなんじゃあねえ。

とはいいながら・・・・やっぱり「同級生」や「遺作」、「臭作」辺りはサスガに思い入れがあるので、少しは感じるところもあったのは認めざるを得ない・・・・。そこら辺はさすがに強力なラインナップが揃うエルフのノベルティという感じやね。このゲームがもし、PS2で発売されていたら、オレはかなり熱狂的にやってしまったかも知れない・・・・。定価8800円という高さは別にして。まあ、ノベルティと割り切ってしまえばゲームは良くできているのでそれなりの出来だと思いますけど・・・。

しかし、もうそろそろ新しいコンテンツも必要やろて。だって仮にリフレインブルーのキャラがこの脱衣に参加していてもな〜んもプレミアムないもの〜。リーフの「猪名川」の方が華やかやなあ・・・。

 

 

愛姉妹
2000
レトロADV/ゲームB/精液B(顔3:口3)
キーワード:これじゃあ、「ナチュラル2」には全然勝てないよ・・・。

エルフの別ブランドだったシルキーズから、1994年に出された同名ゲームのリメイク版。極道の親と放蕩息子が接触事故から母娘3人を恐喝し、凌辱を重ねるストーリー。

またまたまたまたリメイク。エルフって会社って本当に今でも実在するの?何か、ちょっと「笑ゥせぇるすまん」的な妄想が頭に広がってしまう。幽霊会社。

ほとんどベタ移植なんじゃないでしょうか?いちいち付き合わせて見た訳じゃないけど、OPから最初のHまで選択肢まで全く同じやった。まあ少しは直してあるのかも知れないけど、今は苦しいんじゃないかねえ。「野々村」や「河原崎」はともかく、シルキーズってそんなに大作を作っていた訳じゃあないから、やっぱり食い足りない。単純な移動式ADV形式や、一回のHで一遍に性奴に堕ちてしまう女性達と動機付けが著しく弱い主人公の中途半端なストーリー作りは、幾らグラフィックが一新されているとは言えさすがにプリミティブ過ぎてシンドイ。デザインがジウジアーロなのに、シャーシがジェミニだったいすずのピアッツァのみたいですな(・・・例えがわかりにくいのは、まあええやんか)。特にテキスト周りはもう少し手を入れて欲しかったところ。

当然ボリューム的にもかなり少ないから、DOS版をやっていたオレはあっという間に終わってしまった。まあ、そこらへんも含めての定価7800円なんだろうけど。まだ高いよ。

とまあ、文句いいつつも。結構エロい。もともとこの作品は、エルフ・シルキーズのゲームのなかでは「臭作」並んで最もエロが豊富な一作。全編やりまくり。男1人×女複数の乱交がこんなにも多かったんだね、これ。音声もエルフだけあってレベルは高い。卑語なんかはほとんどないけど、結構積極的なセリフが。フェラの時の唾液の音とかが結構いい感じで入っていて、エルフにしては楽しめる。全てリメイクされたCGは評判悪いけど、個人的にはこれでもオッケー。DOS版よりも遙かにパース取りが凝っていて1枚絵のクオリティはかなりアップしていると思う。お尻アップや大股開きの多さが本体なら下品になるべきところなんだが、そのCGフィニッシュのキレイさが臭みを消してバランスが取れている。前作に思い入れのないオレとしては、DOS版よりHシーン良いと思うけどねぇ・・・・。

気になったのはその原画を描いている人。これ、やっぱり竹井正樹なんでしょうか・・・・。実際、耳とか指の描き方が同じ感じやし、エンディングのスタッフクレジットでも原画だけ名前が出ない辺り、「もしかして、もしかするか?」という気が・・・・。「愛姉妹」のCGって発売前から「この絵では売れないっ!」「DOS版の魅力ダイナシやんけっ!」と嵐のような批判が吹き荒れていたんだけど、実際やってみた限り、悪くはないんやけど、こう、華がないというか。劇画調やねん。「高校生姉妹 恥辱の媚肉遊戯」っちゅう感じ。まあ、シルキーズっぽいといえばそうなんやけど、これが噂通り竹井正樹が原画を描いているとしたら問題やな。この絵だと、この先の「同級生3」が心配にならざるを得ないなあ。この顔ではアウトですよ。

結論。いや〜、なかなかのグッドゲームですねぇ・・・・・5年前なら。というゲーム。実際、94年当時は傑作扱いだった訳だし。今のエロゲ界のレベルに置いても、中の中の上ぐらいのゲームではある。そういう点では感心はする。でもまあ、「エルフ」の名前を冠したゲームとしてはこれは全然物足りない。ZEROがこれを出したんなら褒めてあげてもいいが。それじゃあ、ダメでしょ?

5/26はF&Cとエルフっちゅう、最近落ち目の2大老舗が久々に「エロ」を前面に押し出した作品を同日発売。珍しいこともあるもんだ。しかし、その中身が歴然。F&Cはシリーズものながら完全新作でしかもCD3枚組でブランドパワー見せつけまくりなのに対して、エルフはDOS版のリメイク。そういえば、26日はヒクソンVS船木のあった日。何か、2社の勝敗も同じ結末を迎えそうな気が・・・。「絵里のアナル」とか狂った名前の大人のオモチャ出しているんだから、元々エロセンスがあると思うんだよねぇ、エルフって。これだけのゲームを6年も前に作っているんだから、もっと奮起して欲しいよ、マジで。

もっと自覚を持ってくれっ。エルフはハンパなことをしてはいけないブランドやねん。リメイクするにしても全社総力をあげて取り組んで欲しいんですけど。この程度のリメイクしかできひんねんやったら、定価2800円で出すべき。もしくはシルキーズの全作を1本に入れるとかやなあ・・・。常にでっかいことを考えて行動してくれよ。今のエロゲ界は中心がない。それもこれもエルフが不甲斐ないせいや。これからのシーンへのビジョンを提示できるブランドがあると思うかい?小さいブランドではダメなのよ、でっかいところがやって初めてシーンに芯が通る。ハーメルンの笛吹き男のようなブランド(具体名伏せ)にその役目が務まるとは思えないしな。今でもオレはキミらがエロゲ界の任天堂だと信じてるんやで・・・まあ、こんなことを思っているのは、最早日本で数人かも知れないけど。少なくとも練馬区ではオレ一人だろうねぇ。サミし。

 

 

[el]
2000
超レトロADV/ゲームB/精液C(顔0:口0)
キーワード:画面クリック式ADV復活切望

最終戦争の果て、100分の1に減ってしまった人口。破壊し尽くされた地球。自らの行為に恐怖した人類は、その未来を「メガロアース計画」に賭けた。全ての争いや差別、対立を除こうというその計画は熱狂的に受け入れられたが、その計画を阻止しようとする地下組織も存在した。暗躍する「ブラックシャドウ」、そしてその撲滅を任務とする「スナイパー」。2つの勢力の激しい抗争が続くなか、シティに配属された新人スナイパー。彼は・・・。

最初の「同級生」の方がリメイクされたのにも驚いたけど、更に前、1991年制作のゲームまでリメイクされましたよ。スゴイね、どうにも。ボクはこのゲーム、DOS版をやっていないので初めてのプレイ。

面白いじゃないですか。とかく話題のラストはもう散々「意外だ!」「すごすぎ!」とか聞かされていたので、あらゆる可能性を考えながらプレイしてしまったゆえに全然ビックリしなかったけど。確かに当時のエロゲでやるストーリーとしては優秀ではないでしょうか。

個人的にはラストよりも全体的なストーリーやテキストの作りに感心しましたな。主人公の性格付けや女の子たちの気持ちの描き方、ストーリーの展開を見えにくくする工夫とか、さすがに蛭田昌人というか、非常に楽しかった。懐かしい画面クリック式のゲームシステムもやっぱり良い。リアクションがめちゃくちゃエルフっぽくって、クリックしまくりましたです、ハイ(また例の「かんこがまゆい」「ちとい、ふんこ」とか出てきますわ。スネークマンショー好きねぇ。ボク的に最高)。基本的に一本道のゲームなんだけど、徘徊+画面クリックのおかげでプレーヤーがより強く世界にリンクされ、読むだけのゲームになってない。楽しい。

ただし、最近のエロゲーマーの方々にはかなり分量的に食い足りないと思われる。DOS版をやった人に聞くと、テキストに関してはほとんどベタ移植らしい。確かに、今だったらもっともっと掘り下げられるだろう部分も一杯あった。サクサクサクサク進んでいくから。 91年当時ピンクソックスとかを大喜びでやっていたオッサンゲーマーはこういう場合昔の基準にアジャストできるけど、今のプレーヤーには単に軽さとして取られそうですな。

エロが全然ダメなのもガッカリやけどね。ここだけでもテキスト増量してくれんか〜?画面クリックをHシーンでもやらされる悪しき仕様も改善されてないし。HCG自体はかなり良かったのに、全く抜けない。エルフやからまあ期待はしてないとは言え、チンポが一回も勃たないってのもまた問題やと思うねぇ。

何か、シェールもビックリの整形手術で大幅に若返ったものの、いかんせん話題は安保の話みたいなゲームですが。やっぱり面白い。やる価値はあると思います。

 

 

鬼作
2001
ADV/ゲームA−/精液B(顔5:口10)
キーワード:臭作のシナリオ、蛭田昌人ってEDロールに出てたっけ・・・?

伊頭3兄弟の末っ子、鬼作。兄達のふがいなさを笑う彼は、雌犬たちを不幸のドン底にたたき落とすべく、製薬会社の寮の臨時管理人に収まる。

ほんとーに久々っ、エルフの新作。ゲームの前情報なし。CG露出もなし。パケ表はまたもブサイク男(今回は箔押し)。「これでも売れるでしょ?だってオレ、エルフだし」という、お前らナイキのつもりか的な自信で送り出してます。5年前なら、これでも「さすがメジャーや!」とすんなり受け入れられただろうけど、今の状況では「何様?」って感じですが・・・。とはいえ。「結局、最後にモノを言うのはテキスト」という原点に最近戻りつつあるワタクシとしては、やはりシナリオ・蛭田昌人というだけで、やってみたいと思えてしまうんですねぇ。

ストーリーは「臭作」と同じで、管理人に収まった鬼作が盗撮をネタに女の子たちを地獄にひきずりこんでいく、というもの。どんなに悪事を働いても鬼作にとって良い方向に回っていき、会長にも気に入られてどんどこ出世。まあ、「釣りバカ日誌」と思っていただければわかりやすいかと。ただ、こっちのハマちゃんは竿がデジカメになっているという訳で。個人的には舞台が会社なんで、「〜作」シリーズの名物の「汚いトイレ」ってのがないのがガッカリ。

女性攻略も前作同様。ただ、細かい部分は結構違う。今回は鬼作の方にもパラメーターがあって、節目節目にハードルがある。自分の条件を満たしつつ、女性の弱みを探らないといけないことになり、その点は大変になった。その一方で今回の女性の弱みを集める作業は楽になった。ある場所にいけば何がある、ってのがわかりやすく、適当に回ってても向こうから弱みがやってくる。「臭作」の来るか来ないかわからない獲物を地道に待つ野生動物カメラマンみたいな状態が無くなっただけでも、今回は遙かに遊びやすくなったと言えるだろう。

総じて難しい、が例によってバッドエンド後のアドバイスもあって、難しいけど頑張ればできるというエルフ的なゲームバランス。攻略の方法も様々で、堀井雄二が言っていたような”繰り返し遊べる、お金を出した分だけ長く遊べる”感じのゲームになっている(まあ、ドラクエと比べるのもナンだが)。ゲーム中に何度か出てくるミニゲームもそういう意図なのかな。直ぐにCGを観たい人、完璧に攻略したい人には「GREEN」の神経衰弱ぐらいうっとうしいんだろうが。

で、弱みを揃えたら、それをネタにターゲットの娘を脅して凌辱。これもいつものパターン。前回あんまり覚えてないけど、鬼畜に関してはかなり徹底。とにかく、精神崩壊するまでヤる。それが目的。どの娘も病院送りか実家強制送還。ことごとく悲惨。前回なら凌辱を逃れた絵里に当たりそうな、鬼作に凌辱されてもそれを受け入れようとする桃子という女性がいまして。その娘に対しても鬼作は「そう思ってることが、既に壊れたってことなんだよ。もうそうなったら用済みだ。消え失せろ。」とあっさりポイ捨て。相手の女性がどうなろうが全く意に関せず、ただただせせら笑う徹底したニヒルぶり。ある意味美学を感じないでもないが、何がおもしろいんやろか、こういうの。オレはちょっと・・・。

それだけに(ここからもろネタバレ)、裏シナリオでガキにほだされるってラストはどうなのかな?「臭作」に続いて今回もある裏シナリオは「鬼作の魂を救え!」というアオリで始まる。そこでは本編と全く同じ展開なんだが、鬼作の部屋に謎の子供が住み込むんですわ。鬼作はうっとうしいと思いつつ、なぜか置いておいてやる。鬼作の行動に何も言わずただ遊んでいるだけの子供。その娘との交流から鬼作が徐々に変わっていく、という展開。この子供はおそらくメタファー。裏でのイベントで伊頭3兄弟の身の上話(母ちゃんが身重で死んでしまった)があって、死んだ赤ん坊や母ちゃんが生きていたらどんな人生だったか、という話をするところがあるんだ。この女の子はおそらくその生まれてこなかった子供であり、鬼作が人生のどこかに置いてきたイノセンス(鬼作の魂)なんだろうな。で、その子を受け入れることが裏シナリオの目的になる。

裏シナリオはそれなりにいい話なんだけど、表のストーリーでターゲット全員破壊とかやってしまっているだけに「こんな程度で心変わりするタマか?」と思うんだけど。表シナリオとの関連もいまいちわからんし、表で稀にある鬼作の善行ともリンクしてない様子だしなあ。こいつを救ったところでどうなるというんだ。別に本人も求めてないやろ。どういう話か逆にわからんようになったわ。オレは「臭作」もやっただけに、前作のメタゲームのインパクトが強くて、本作のラストはシリーズものの展開としてはスケールがちっさくなったような気がした。

今回は「プレーヤー」と「鬼作」を意識させるシステム(鬼作の鬼畜度が下がるとHシーンがプレーヤー視点になる)があって、メタゲーム的構造を最初から持っている。だからもしかしたら、裏での行動でプレーヤーの魂が試されているのかも知れないけど、別にそういうの意識させる工夫のようなものは感じないぞ。解決がどこにあるのかわからない。ボクのカンが悪いんでしょうか。それとも全部のシナリオやってないのかなあ。

さて、エロシーン。これは「臭作」よりも良かった。最初、全部遠景からのぞき見しているような構図で「なんや?この工夫の無い画面は?」と思ったけど、実際、それは鬼作の凌辱をプレーヤーが覗いているという設定だったようだ。プレーヤー視点に切り替えて同じHシーンをやると今度は自分が鬼作の目線からHができる。凝ってるな。CGも全部違うし、これはなかなか労作や。盗撮ネタも含めて、これだけの大量のCGを用意してあるってのはやりがいあるよ。オレはこの原画の人あんまり好みじゃないけど、いい仕事していると思う。鬼作はあれだけのアナキストでありながら、性的には剃毛趣味ぐらいで結構オーソドックス。しかして、やることは全ての女性に対してほぼ同じ。しかし、そのCGの豊富さと視点の切り替えでそんなに退屈しない。音声もいいし少し淫語もある。エロに関しては納得。

で、汁に関して。結構フィニッシュシーンがあるにもかかわらず、そんなにビビッとくるようなシーンはなかった。特にフェラシーンは絶対そのまま出すんだけど、口射が圧倒的に多い。射精しても口を離す場面がないので、汁は口の端に少し出るだけ。残念。まあ、蛭田氏は中だしが一番、外なら口の中ってのが好みみたいだから・・・。中出しも口射も絵的に地味やなぁ。

結論としては、お金を出す価値は充分にある作品だと思う。さすがにエルフのオリジナル新作ということで、中途半端な出来ではないですわ。「ゲーム」になってるし、それで充分なエロもある。ストーリーはナンだけど、蛭田テキストはやっぱりテンポが良い。音楽もCGも全て高水準。エンディングテーマはなんと人間椅子。なんで?まだいたんか、この人ら。「人間失格」持ってたなあ・・・まだネズミ男の格好しているんだろうか。とにかく、エロゲとしてはかなり高いレベルの作品ですな。

ただね〜、このゲーム、やっててワクワクしますかね?オレ、エルフ大好き人間やけど、このゲームやってても昔のここのゲームやってた時のあの高揚感は全然無い。遊び尽くせるゲームシステムと、バラエティ豊かなキャラクター、そいつらのキレのよい会話。何より楽しい。あのワクワクがあったからこそ、全然エロがない「YU-NO」でもサルみたいにやりまくった訳で。もっとニコニコしながらやれるゲーム作って。凌辱は数出ても、バーンと流れを作るようなことにはならないからなあ。・・・やっぱり、「アレ」を出してくれないことには、エルフのオーラは戻ってこないよ。オレが年取ったというだけならいいけどな。

 

 

ELF ALL STARS 脱衣雀2
2001
そっくりさんキャラ脱衣麻雀/ゲームB/精液B−(顔4:口0)
キーワード:「雪乃丞」は入ってないのね。

「脱衣雀1」のB面コレクション。

前作「脱衣雀1」は同級生2、下級生、遺作、臭作、ワーズワース。で、今作が同級生1、鬼作、野々村、河原崎、愛姉妹、リフレインブルー。なんか、キラ星の如きメンツだった前作に比べて、こっちは一気に企画モノ女優ばっかりになってしまいましたなぁ。しかして、前回のような単体モノ揃いだったら御法度だった脱衣後のH突入も、今回はオッケーに。

しかしねぇ・・・シルキーズの面々や鬼作のキャラとか、本編で散々痴態を披露した連中がいまさら恥じらいながら服を脱いだところで二束三文もええとこなんですが。燃えへんよなあ。特に今回は陵辱淫靡系が揃っているので、逆にこっちでラブラブエロエロHなら結構やる価値もあったかも知れないけど、何にしてもエロCG1枚では万事休すですわ。しかも前作同様、立ち絵以外は原画・どっかの馬の骨。全然カワイクない。さっぱりどす。脱衣アニメになったら、更にキャラデザも変わったような感じになっているので、何だかオフィシャルが出しているものとはとても思えないっすなぁ。

という訳でこのゲームをやった最大理由、それは「同級生」の桜木舞の顔射があるという一点のみであった。まだ俺がエロ以外のものを感じながらエロゲをやっていた頃のヒロインなんで、さすがにこの顔射シーンは馬骨原画であってもかなり良かったよ・・・うぐぐ。美沙にも失禁みたいなしょうもないことやらさんと、顔射キメてくれればよかったのになあ・・・。本編で見られなかった部分を見せてくれることがノベルティディスクの醍醐味なんだから。「同級生」のくるみと「野々村」の千里のWフェラとか複数作品混合の3Pエロシーンとかやってくれたらねぇ。ちなみに、顔射3回のうちの残り2回はともに「リフレインブルー」のキャラ。誰や、こいつら。

まー、この作画じゃあファンディスクとしても使えないし・・・結局おっさんのライトユーザー向け脱衣モノって感じどす。「脱衣雀1」のメンツならこのぐらいのエロシーンでも十分楽しかっただろうけど、今回はダメだスなぁ。

(追加情報:お前どこみてプレイしてんねん、という感じですが。すっかり忘れてました。実はこのゲーム、隠しキャラがあります。麻雀ルールを教えてくれる教習所の別館で「同級生2」の唯、「下級生」の瑞穂、「臭作」の絵里と本編の数倍素晴らしいメンツと麻雀ができます。しかも絵里は顔射フィニッシュ。あの絵里が、ですよ。これをやらんかい、これを。フェラや顔射のシーンはやっぱりCGが少なくてもてっとり早く燃えられる。今作はヌルいなりに、顔射が絡むシーンと他のシーンでは力のいれ具合が違ったよ。そんならこの2倍は顔射シーン入れてくれたらよかったのにぃ・・・・)

 

 

百鬼
2002
簡易ADMS式ADV/ゲームB/精液B(顔3[うち顔アップ2]:口0)
キーワード:「軍艦島」について調べるきっかけになったのはよかった

ミステリーツアーに軽い気持ちで参加した主人公達。着いた場所は不気味な様相の無人島。廃墟がそびえ立つ打ち捨てられた島。様々な思いが残されたその場所に、主人公は何を見るのか・・・。

最近、作品を出すたびに普通のブランドになっていくエルフ。そこそこの作品は出してんだけど、何しろ以前が以前なだけに立場の変わらないアリスやF&C等の老舗仲間と比べて凋落感がど〜してもつきまとってしまう。特にエルフのオーラの素たるシナリオの弱体化は致命的で、やっぱり蛭田昌人こそエルフだったのか・・・・と思うことしきり。

しかし、この百鬼は「もしかしたら、おもろいかも!?」と思える作品だった。とにかく、デモがすげー良かった。廃墟が立ち並ぶ島で封印された過去を探す。廃墟ってのはものすごく想像力をくすぐるもんで、これはいい目のつけどころやと思った。しかも、小さい島に山盛りの施設が突き刺さったその島のルックスが醸し出す重厚な雰囲気。オレとしては久々にかなり期待感を持ってプレイを始めたんだね。

しかしだなー!これがなんというか・・・。

作品は3つのルートに別れている。それぞれのストーリーをこなして行くうちに、島内に残された15のショートストーリーが集まっていく。そして、ショートストーリーが全部集まると、全ての謎が解ける新しいストーリーへの道が開けるという仕組み。単にコンセプトだけで言うなら、同じエルフ作品で例えると「YUNO」と「遺作」を合わせたような感じだ。しかし、やっている感触はその2作品とはかなり違う。勿論、悪い方向に。

残念なことに、物語の出だしからもうコケてる感じなんだわな・・・。物語は何の目的も知らされないミステリーツアーに参加した主人公達が船に乗っているところから始まるんだが、冒頭からいきなり4人体制の会話がひたすら続くんですわ。この作品は一つのシチュエーションで交わされる会話量が多すぎる。キャラがしっかり立つイベントもないままに、4人も一遍に出して口々に喋らせたら誰が喋っているか特定するので精一杯。感情移入なんかできっこないっつーの。こういう状態やと、ストーリーへの推進力もでにくい。もしかしてフォスターやスクープの作品ばっかりやっているオレがわからんだけで、今のプレイヤーはこんなんでも平気で着いていけるのか?

しかも!4人でも大変やっちゅう〜に、島についたらもう1人増えて会話は5人体制に。島内を散策する時も、ず〜っと5人一緒に動くのよ。それぞれがランダムにしゃべりよる。誰が誰なんかさっぱりや。撃墜する女の子のキャラ立てが重要なエロゲでは、序盤では主人公と女の子とのタイマン会話をできるだけこなすべきやと思うが・・・。つうかよー、同じような話でも「遺作」なんかは女の子とくっついたり離れたりでそこら辺しっかり作ってあったんか。そのゲーム作った人が同じ会社におるのに、なんでこんなことに・・・?妹キャラの幼なじみがメインヒロインらしいけど、この時点で完全に埋もれました

プロローグの時点から結構?な気分やったんやけど、さすがに購入のきっかけたるミステリーツアーの目的地「応化島」が出てきた時はやっぱりインパクトある訳で。いかにも何かがあったような雰囲気満点。この島のおかげで名誉挽回のチャンスは確かにあった。

ところが。この島、島内を自由に動くことができない。おーい、なんじゃそれは!デモでは3Dで組まれた島内廃墟をカメラが動き回る映像が「どうだ!」とばかりに出してあったから、こっちとしては自在に動いて謎を探すもんやと思うがな。というか、エルフのゲームって今までずっとそうやったやん。でも、この「百鬼」では移動はほぼ全てが強制。「それじゃあ、神社に行ってみようぜ!」って勝手に決められてしまう。これだけ美味しい舞台が目の前にあるのに、ほとんどの部分が閲覧不可な訳で。これは辛い。しかも、さっき言ったようにいつでも多人数で移動して会話ばっかりしよる訳や。オレはなー旅行は常に「フリープラン」派なんじゃ!添乗員が2人も3人もついて案内されたら旅してる気にならん!

とにかく自由度が低い。強制移動と難易度の低さが問題。島内探索ができないことでものすごく不満がつのる上に、ストーリー展開でも自分で選択する部分が非常に少ない。一応推理モノの要素があるんで、そこはプレイヤーの裁量って部分もあるけど、あまりにも簡単なんで考える必要がない。この「百鬼」は「バックアップツリー」という、「YUNO」でもあったフラグが全部見えるマップを参照しながらプレイする。しかし、この作品は余りにも構造が単純なんで、このマップのおかげで逆にゲームが簡単になりすぎてほとんどデジタルノベルになっている。考えてみると、「YUNO」は結構一本道に近い形式にもかかわらず、ものすごく自由度が高いように感じた。それは自在に世界を徘徊できることと、そのフラグの見えにくさがプレイヤーに考えるスキを与えてた訳で・・・こっちの「百鬼」はプレイヤーに気を遣いすぎやわ。

まあ、ストーリーが面白かったら、これでも良いんだろうけど・・・どうなんですかねぇ。オレとしては、この舞台が醸す期待感に応えるストーリーだとは感じなかったけど・・・。むしろ、この「応化島」のルックスがすご過ぎて、それが逆に足をひっぱった感も。どうしても大事件を期待してしまうところに、現に進行するストーリーは新聞の3面記事程度のことなんだよねぇ・・・。特に序盤でこけているだけにエンジンのかかりがものすご遅い。生煮えな状態で謎解き編に突入したって、カタルシスもクソも・・・。ラスト辺りは急にストーリーのテンションも大きくなって盛り上がるんやけど・・・これが作り手側の考えたこの作品のスケールやったんやろうな〜と感じる。でも、そこまでに至る過程で物語の熱がもらえなかったこちらとしては、最後突然盛り上がられても置いてけぼりというか。店の大将は満漢全席と言い張っているけど、実際酢豚定食みたいなアンバランスさがある。

むしろ、事件やイベントなんか最初から起こさない方がよかったかも。漠然と廃墟をウロウロしてそこに住んでいた人の香りだけを拾っていくだけの、静かでロマネスク風味のゲームの方が、今の状態よりも良い作品になっていたと思うけど・・・。「応化島」のモデルになったと思われる「軍艦島(端島)」の写真とかみてもわかるけど、「廃墟」ってのはそれ自体に圧倒的なエネルギーがある。しかもこれだけの大規模な廃墟の前には、へたに事件を作っても打ち勝てねぇです。実際、「軍艦島」サイトの画像を見ている方がこの「百鬼」のストーリーよりよっぽど面白い。素直に「廃墟」のエネルギーにすがったストーリー&システムで作って欲しかったなぁ。

エロに関してはそこそこ良かったが・・・まあ、エロに期待しないでやったからその割にはって程度ではありますが。最初のエロシーンで画面クリック形式になったのには目まいがしたが、今回はノーマルモードに移行できるので安心っ。この作品でのエロの見せ方はやや変わっていて、本編ではほとんどエロがない。その代わり、エンディング後にエピローグノベルが追加されてそこでエロがあったり、おまけルートで集めたノベルを組み合わせてみるとエロノベルに変化したりとエロはエロとして独立してる印象。でも、これは悪くないと思った。本編でエロがないってのはそれはそれでヤなもんだけど、本編では絶対に見られない部分がそのエロノベル部分でかいま見られるのでいわゆる「落差エロ」が楽しめる。顔射も結構汁出てたしね。

結論としては・・・・う〜ん。やっぱり昔のエルフは偉大だったな!ってまたおっさん臭いことを思ってしまった。へたに過去のゲームに似ていたから余計に完成度の違いが明確に・・・。勿論、これはエルフ作品としての評価で、平均よりは上のゲームだとは思うが。どうもエルフの作品と思うと手厳しくなってしまいますな・・・。今回はゲームデザイン面もナンだったけど、口数多い割にちっとも効果的にストーリーが進まないテキストが大問題。とにかくライターの育成が急務だわっ。

 

 

河原崎家の一族2
2003
またもやADMS式ADV/ゲームA
精液B(顔7[うち顔アップ5]:口1[うち顔アップ1])
キーワード:またもやファンレビューです

人里離れた山中に立つ洋館。そこに向かう恋人同士。女はその館で育った。何も知らずに恋人にとともに館に踏み入れた主人公。そこでは館の主の誕生日を祝う「宴」が、今まさに始まろうとしていた・・・。

河原崎家の一族〜?何と前作は10年前の作品ですよ。

カニミソよろしくシャブシャブになってしまった我が年老いた脳みそは、こんな作品があったこともとうに忘れていた。正直、りんしん原画を満喫するには余りにも地味な塗りの広告を見た時点では、「リメイク、ノベルティときて、お次はお手軽続編攻勢か?」とかなり醒めた気分ですた。しかも、そもそも「河原崎」はエルフではなくセカンドラインのシルキーズの作品であった訳だ。確かに凌辱路線は色んなアラが隠せるジャンルではあるが、余りにてっとり早くないかと。全てのものに凋落ムードをかぎつけないと気が済まないオールドファンとしては、残って欲しいライターが替わって、替わって欲しい原画家が残った「下級生2」と合わせて今更なんで?感が漂いまくる発売前夜だった。

しかし。

良い出来だと思いまっせ、これは。「百鬼」も、まさしくこういう感じで作って欲しかったんだよ、ぼかぁ。

ストーリーはその攻略とともにかなり難解。洋館のなかで、「主の誕生日の前日」が何度も何度も繰り返される不思議な世界。毎回悪夢の様な結末を見せられる主人公が、このビューティフルドリーマー的世界からの脱出を試みるというのがストーリーの大筋。この繰り返しが最初はかなりわかりにくく、しかも煩雑に起こるので、ストーリーの全体像がなかなか見えない。そこで付いているのが、分岐マップ。あらかじめ明記されたフラグを参照しながら、宝探しのように自分で選択肢を操作して物語を攻略していく。「YU-NO」「百鬼」と同じく、マルチストーリー+分岐マップのセットで一つのADVになる形式だ。このシステムは今回一番すごいんじゃないだろうか、今作は前作の「河原崎」や「野々村病院の人々」でもお馴染みのウンカのごとき選択肢地獄が標準装備。その膨大なフラグを管理し、しかも物語で一度こなした全てのイベントをマップ上から呼び出せるという、エロゲブランドの仕事とは思えない壮麗な出来。ADV的な魅力付与では「YU-NO」のそれに及ばないものの、単なるガイドブックにしかなってなかった「百鬼」とは比べものにならない完成度の高いシステムだ。オレ的にはこういうのをエロゲで見せられるだけでも嬉しくなってしまう。

しかも、今回はテキストが非常に良い。プロットに関しては何だか狐につままれたような解決で、個人的にはどうかなぁとは思ったが・・・。こういう幻想的(他に言い方が思いつかん)な話は管轄外なんです。しかし、キャラや会話文はかなりズシっとしたものを感じましたですよ。 主人公が上半身下半身別人格+小理屈系の典型的凌辱系主人公なのはまあ仕方ないとして、凌辱側の人間達の生一本ぶりと、女の子たちの描写はなかなか。特に館の主のじじいはGOOD。あるゆる刺激に対してマヒしているにも関わらず、まだなお回春をもくろむこの福本伸行じいちゃんの傍若無人のエロクレイジーぶりは出色。この作品の色をかなり決めてしもた。考えてみれば、エルフ(蛭田作品)の凌辱モノというのは「河原崎」「野々村」「遺作」「臭作」「鬼作」と純愛学園ものとはまるで違うスーパードロドロおやぢワールドを作り出してきた訳で、本作もそれらの傑作なかに置いても遜色のない強度のある世界が用意されていると言える。

ただし。

エロシーンはこのじじいプロデュースのものばかりになる訳だが、これがかなりヌキにくい。ここがこの作品の評価の分岐点になろうかと思う。

趣味性が高尚すぎる。一例。館に紛れ込んだ恋人を拉致し男の方をギロチンにかけ、女にギロチンのヒモをくわえさせて犯す。感じてあえぎ声をあげたら、男の首がチョン。さあ、あなた、これでヌケますか。このじじいはインポが重く、もう普通のSMとかじゃあエレクトせんのね。そこでシチュエーションを高めていこうという、オレの汁妄想みたいな路線に走っとる。さすがにギロチンは特殊な例で、全体的には暴力よりインモラル系というか、精神的な凌辱が多い。特に恋人同士が裏切りでグチャグチャになっていくところとかが大好物。従って、ヒロイン関連は寝取らればっかりになるんだね。和姦には期待しないように。じじいはインポ治療のリーサルウェポンとして、自分が子供の頃から育てた娘達を汚したくてしょうがない訳だ。ヒロイン達は、次々とじじいの毒牙にかかって恥辱を受ける。しかも、ほとんどが主人公の目の前で。特にメインヒロイン×じじいのエロシーンはものすごいものがありましたので、自分の虫けらっぷりを存分に味わえます。寝取られ系の方はひとつどうぞ。

後、個人的に一番しんどかったのは、ほとんどのエロシーンが衆人環視のもとで行われることだ。自分たちの行為を延々と外野にナレーションされるのは結構やりにくいもんだ。ことに、じじい絡みのHシーンは淫靡さは強烈なものがあるが、ことごとく「ふぉふぉ!蜜壺から生娘の匂いが漂ってきよるわ」みたいな官能小説ナレーション付きで、このじじいのエロ主張もセットで味あわないといけないのだ。先に言ったようにじじいはなかなか興味深いキチガイなので読んでいる分にはいいんだが、こと実用性となるとこいつの存在はかなり好き嫌いが分かれそう。しかも(詳しく言わないけど)、この話は死人がゴロゴロでる。とにかく死ぬ。エロ度がきつくなればなるほど、ストーリーが盛り上がってくるほど、次の瞬間死の匂いが漂って参ります。そら、じじいはそのぐらいじゃないとチンポが立たんのかも知れないけど、この雰囲気のなかではボクのような生っちろい奴はむしろチンポが縮んでしまうですよ。ほんま、ソフ倫通してなかったらネクロフィリア描写があったかも知れない。生まれて初めてソフ倫の存在に感謝したくなりましたですよっ!そんでもって、このじじいのチンポの世話を受け持っているのが執事のおっさん。さすがにモロのCGはなかったけど勘弁してくれよ

とはいえ、りんしんの原画は魅力的なんで一応ヌケることはヌケるけどね(どないやねん)。でも、やっぱり塗りが地味な気がするんだよなー。キレイなことはキレイなんだけど・・・。個人的にはWINDOWSに移行してからのエルフ作品にイマイチメジャー感を感じないのは、塗りの地味さってのもあると思うんだけど・・・。んで、汁ですが・・・まあ、普通・・・。汁フェチにことさらにアピールはせんけど、一応量はそれなりに出てるし、女性キャラ全員に顔射があるので、最低限の仕事はしている。

えー、結論としては、これは良作ではありますよ。プロットの流れと、苦痛と快感がとぐろを巻いて盛り上がっていくHシーンの嗜好性(繰り返すけどラブラブ和姦は1回のみ)には賛否両論山盛りあるだろうけど、クオリティは総じて高い。これでヌケさえすれば、何の問題もなかったんだが。和姦とまではいかんまでも、じじい抜きのタイマンHの割合がこの2倍あれば、大傑作だったかも知れない。エロくない訳やないんやけどなぁ・・・これはいかんともしがたい。今までのエルフの凌辱作品は異常でもヌケてたけど、今回はダメやわ。どっちか言うと「学園ソドム」に近い世界になってる。「18禁」ゲームという感じですなぁ。せっかくのりんしん原画だったのに、これは非常にもったいない。

ただ、オレ的には、敢えてその異常性は評価したいところ。プレイしているうちに前作のことを結構思い出してきたが、当時における前作の雰囲気もかなりキモかった。その続編としての本作のムードは、むしろ正統進化。大手というものはただ良い話を作るだけではダメで、それに加えて強烈な印象を残せるようなものを作ってこそ。今回はバランス的に一般向けにならなかったとはいえ(←まあ、大手としてはこれは問題やけど)、少なくともエルフの作品をやった!という手応えはあった。だから、エルフファンとしては、こういう飛び方は嬉しい。そして、更にここから、そういう異常性を純愛路線に組み込んで発揮して欲しい訳だ。宮崎駿作品と同じで、「同級生2」でも不気味な衝動が裏に隠れているからこそ、美しい部分がより輝いていると思う訳で。今回みたいな作品を作れるんだったら、そのシステムの開発力と合わせて、正調恋愛作品でも今でも十分に傑作を生み出せる力があると確信してますよ。まあ、この際てっとり早く「Natural」みたいなんでもいい。よろしく頼んますわ。

ただねー、これライターのクレジットがないんやけど、やっぱりシナリオ蛭田昌人なんかい?全体的な雰囲気は極めて蛭田テイストだったんだが。それやとまた問題よ。蛭田氏が手がけたんやったらテキストの出来にも納得なんだけど、一方で結局エルフは未だに蛭田次第ってことにもなっちゃう・・・。生え抜きのライターはちゃんと育ってるか?

 

 

新・御神楽少女探偵団
2003
証言つっこみ式ADV/ゲームA+
精液C(顔2[うち顔アップ2]:口0[うち顔アップ0])
キーワード:正月はこれで潰れました

時は大正9年。帝都に名声をとどろかせた御神楽探偵事務所だったが、その主が姿を消して、早2年が経っていた。物足りない気持ちを抱えたまま、それぞれの生活を送る巴・滋乃・千鶴ら元助手たち。そんな折、大連にいる滋乃の兄から御神楽時人に似た人物を見かけたとの知らせが入る。時人を追って、3人の少女達は未知の大陸・中国へと向かうのだった。

30才過ぎた今になっても、相も変わらず年末ジャンボの広告を見ながら「宝くじ当たったら何に使おうかな〜」なんて妄想をしとる訳だ。昔は「紀伊国屋で売ってる本を全部買おうかな〜」なんてかわいいこと言ってたんだけど、最近はもうすっかり大人になって、宝くじが当たったら自分の理想のエロゲを作るぞーなんて、地に足がついたことを言うようになった。

なかでも、最近のオレの一番の野望は「逆転裁判」の版権を買い取ってエロゲを作りたいってことなんだ。去年一番ハマったゲームがこれ。ジス・イズ・ADVというゲームシステム。爽快感溢れる展開と、熱いストーリー、機知に溢れるテキスト、そして、魅力あるキャラ。こねくり回したテキストがダラダラ続くエロゲADVばっかりやってるオレには、「逆裁」は久々にアドベンチャーゲームっておもしれーなー!と感激させられた作品だった。しかも、女がかわいい。「2」のテンパリ天才少女検事・狩魔冥は恋人にしたいリストのトップに就任したほどのハマりっぷり。一時は寝ても覚めても、このゲームのことを考えていたものだ。

そんな折り、その「逆転裁判」のひな型になったと噂される作品がエロゲになるというニュースが。それが、「御神楽少女探偵団」シリーズだった訳だ。「クロックタワー」「鉄騎」を手がけた河野一二三が中心となって、HUMANから「御神楽少女探偵団('98年)」「続・御神楽少女探偵団('99年)」の2作が出たこのシリーズは、知る人ぞ知る名作ADVシリーズだった(らしいよ!)。しかし、2000年にHUMANが倒産。そこで宙に浮いた版権をエルフがゲット。何と、その新作を18禁ゲームとして出すことになったのだ。しかも、河野一二三自身のペンで。「らいむいろ」のあかほりの時は大して驚かなかったが、こっちはすごいな。「毎度おさわがせします」の新作が中山美穂主演でソフト・オン・デマンドから出るようなもんですよ。あれ?見たくないか。リメイク・シナリオ外注ばっかりで生え抜きを全然育てる気のない近年のエルフだが、とどめにゲームごともらってくるとは!ずぼらもここに極まれり!

しかし、オレはこのネタにすぐに飛びついた。その話を聞いてすぐにプレステ版を購入。新作が出るまでにファンになるぞー!と決心をしてプレイしはじめたのだった。「逆転裁判」への想いを、これで少しでも満たそうと思っていたことは言うまでもない。


ところが・・・プレイしたところ、これ、非常にエロゲに移行しにくい構造を持つ作品だった。

確かに旧作1、2作目をプレイしたところ、とても面白かった。さすがに隠れた名作の評価は伊達じゃなく、非常によくできた推理ADVだ。実は後で調べると、河野一二三は直で「逆転裁判」には関わってないようなのだが、確かによく似ている。事件に関係する人々の話を聞き、おかしなところ・気になるところに対して「推理トリガー」を引いていく。それが図星であるなら、その重要度に従ってポイントが貯まっていく。回数の制限があるトリガーがなくならないうちに、20ポイント集めればステージクリア。それを積み上げて事件を解決していく、というのがシリーズの共通システム。「逆転裁判」を知っている人なら回数制限付きの「待った!」を延々と繋げていく感じ。ストーリーはどれもこんがらがった人間関係で先が読めない。複雑・難解だが、その分非常に歯ごたえのある謎解きが楽しめる、へたれギャルゲ的な見た目に反してバリバリ硬派な作品だった。

ただ、この作品は女性目線なのね。

これはまずい。タイトルにもなっている探偵事務所の主・御神楽時人は忙しいらしく、各事件の最後の最後しか出てこない。よって、事件捜査は主に助手の女の子によって行われる。しかも、3人もいる。少女3人がほとんど一緒に行動する上に、キャラ分けも大してしていない。いや、多少キャラ分けしてるのだが、

「これは、あやしい!」
「ええ、あやしいですわね!」
「ほんと、あやしいわ!」


↑こういう感じで、全員同じベクトルなんだよね・・・これやったら1人で十分。エロゲ的には女目線ってだけでも不利なのに、更に同じようなんが3人。こうなると、プレイヤーの感情移入を受け持つ奴がいない。むしろ、群集劇と言ってもいいだろう。第三者目線のゲームなのだ。これはマンガや小説なら大丈夫だが、ことエロゲにおいて、プレイヤーの目線が設定されてないというのは結構痛い。

例えば「逆転裁判」では、捜査は成歩堂龍一の一人称目線で行われる。成歩堂のする体験はまさにプレイヤーの体験であり、成歩堂に近づく美人は自分に近づく美人であるのだ。これが「逆転裁判」がエロゲにも移行できるという、オレの確信でもある訳。しかし、第三者目線のゲームでは仮に恋愛やエロがあったところで、それは隣の部屋の情事でしかない。エロ体験でなく、エロ見物だ。女目線での恋愛成就は、ある意味寝取られに通じる危険な関係。唯一、こういう構造でエロが成立する条件があるとしたら、そういう情が一切介在しないエロ、つまり凌辱しかない。もうこの時点で、新作におけるエロ度に対する期待は霧散してしまった。特にキャラ萌えでこの作品を楽しんでいる人にはかなりキビシイものになるだろう、と。


そして、新作だ。

当然、絵柄・声優は変更された(声優は一部同じ人が出てる?)。しかし、オレは旧作の声優とか絵面にそんなに思い入れがないので、むしろ、新作の方がよほど好みだった。どうせなら、同梱の旧作2作もこの絵・声でリメイクしたら違和感全然なくなったのに。

一方、変わらないのは音楽とシナリオ。この作品の場合、シナリオの比重は特に高いので、シナリオが変わらないというのは最大のポジティブ要素。もちろん、ストーリーはハード&ダーク一直線。そもそも「御神楽」シリーズの手がける事件は、コーラスガールの少女をなぶりものにする雑誌編集長や自分の土地で働く庶民の妻を寝取る富豪など、怨恨・痴情から発する非常にドロドロなものばかりだった。題材的には既に18禁だった訳で。果たして、新作では1話目から猟奇殺人・人身売買・近親相姦・宗教背反・凌辱調教のフルスコア。ついでに発見された御神楽時人は阿片中毒。今まで一般向けゆえにカットされていた部分が全開。そして、その現実の前で立ちすくむ少女たち。むしろ、こちらの方が本来の「御神楽」の世界だったのでは?という気分にすらなった。シナリオライターとしても、そういうメリットがあったから、18禁新作をオッケーしたということなのだろうか。

しかし、刺激はあったものの、ドロドロ度では1、2作目を考えると多少あっさり目な感じがした。ストーリー・テキスト・人間関係はかなり単純化されて、特に前作「続・御神楽〜」と比べるとかなりシンプルな感触になった。ただ、これを手抜きと呼ぶかというのは微妙なところで、このぐらいで丁度いいのかも知れない。何しろ「続」は複雑怪奇で長かったからなぁ〜。徘徊型ADVはどうしてもたらい回しが多くなるが、「御神楽」は回る場所が多い上に証言をいちいち検証しないといけないので、特に作業的な部分が多くなる。もう永久に終わらないのではというほど歩き回わった。捜査は足だよ、なあ、ヤマさん。とは言いますが、クツを何足履きつぶしたことかっ。それに比べると、今回はキャラ性も多少整理されたし、ストーリー・システムの入りやすさは以前よりも上がったと思う。ただまあ、3作全部をプレイすると、前々作が4話、前作5話構成で来て、3話構成の新作部分は分量的にかなり少なく感じるが・・・まあ、それはエロでフォローということで、いいか。

で、そのエロやけど・・・やっぱりオレにはこのエロはダメっす。全然ダメっすー。絵はキレイだし、回数的にもそれなりやねんけど〜、シチュエーション的に重たい上に、尺が短い。特にボクは主人公と一体にならないと全然勃たないんで、こういう第三者的目線のテキストでは、かなり傍観者になってしまいますな。あかんわー。汁も全然出てないしなー。それに本来は一般向けだったこの作品の素性を考えると、メインヒロイン回りで激しいエロがあったところで、「あゆみちゃんLABO」のように恋人がソープに沈んだような気になるだろうしなぁ・・・これは非常に難しいところ。サブキャラ同士のエロを大量に注入するのが一番正しい方法だったと思いますな。そして、それをヒロイン達に目撃させて反応を楽しむと(こればっか)!御神楽時人とヒロイン達の純愛Hに至っては面はゆいばかりで、正直正視できませんでした!

あ、あと、事務所で雑用をやる少年・蘭丸のエロシーンがあると思ったのに、これもなかったな。い、いや、別に見たいって訳じゃなく・・・。でも、男女含めて蘭丸が一番かわいいんだよなぁ・・・これがそもそもこの作品の大きな欠点やねん。しかも、ご丁寧にシリーズの全ての作品に女装シーンが出てくる。1、2作目でのメイド服姿は圧倒的だよなぁ・・・。い、いや、別にエロが見たいという訳じゃなく・・・。そこにおいて、御神楽時人自身に美少年趣味疑惑キャラがついてるし。考えてみると、全てにおいて男目線じゃない。女子向けだったのか?

プレイした感触を非常に乱暴に言うと、21世紀版「遺作」って感じですわ。「遺作」ほどそれぞれのキャラは立ってないが、人物のバックボーンの積み上げや、ストーリーはとても良い。そして、エロゲレベルでは最上級に近いゲーム性を持っていることは間違いない。こういう文章ツッコミものは非常に高度な論理的構成力が必要で、これを(大きな)矛盾無く作るというのは至難の業。これだけのシナリオが味わえるというだけでも誉れというものだ。フォスターやルーンのゲームばっかりでとろけた脳みそを久々に使ったよっ。

エロもまあそれなりにあるし、濃いエロを求めない人なら大丈夫でしょ。少なくとも、絵的にはすごく良いですよ!確かに新作部分はシリーズとしてはやや薄いが、エロゲとしてならなお傑作に入れられるだろう。同梱の1、2作も評価に入れると、更に倍。このボリュームとクオリティは1枚のディスクで楽しめるものとしては、かなりのものですわな。前作前々作を既にやった「御神楽」シリーズのファンも「外伝」と割り切ればある程度受け入れられる出来だと思う。ヒロインのエロシーンも避けられる設定になってるしね・・・・ただ、一ヶ所絶対に避けられないヒロイン寝取られがあるが!しかも、ゲス相手。こういうところはやっぱおっさん趣味のエルフなのだった。