「診療受付票発行方法」事件 判例と公報

(弁理士 遠山勉)

(H5.11.30 大阪地裁 平成3年 (ワ)405号)

 この事件の特許第1522020号の請求項の内容は、「患者の投入したカードの記録情報を読み込む読み取り手段と、診療科名を入力する入力手段と、各診療科毎の受付番号を印字して排出する受付票プリンターとを備えた1又は複数の受付器と、前記読み取り手段によって読み込まれた患者情報を記憶する記憶手段と、各診療科毎の現在の受付番号を記憶する記憶手段と、その受付番号記憶手段によって記憶された受付番号をもとに各診療科毎の新たな受付番号を設定する受付番号設定手段とを備えた1台の管理装置と、初診患者の受付と診療費用の会計処理を行なうホストコンピュータと、からなり、各受付器が受け付けた再診患者の受付情報とホストコンピュータに入力された初診患者の受付情報を前記管理装置に送り、この管理装直において、各受付器及びホストコンピュータによって受け付けた患者の各診療科毎の受付番号を改定して該当する受付器又はホストコンピュータへ送り、受付器において、その設定された受付番号を受付票に印字して排出するとともに、ホストコンピュータから会計を終了した患者の情報を前記管理装置側へ送ることを特徴とする診療受付票発行方法。」である。

  裁判所は、『本件発明の構成要件Aは、「前記読み取り手段によって読み込まれた患者情報を記憶する記憶手段と、……とを備えた一台の管理装置」というものであるが、「一台の管理装置」という場合の「台」とは、通常は、「車または機械などを数えるのにいう語」(広辞苑第四版一五三二頁)であり、助数詞(数量を表す語の下につける語、同一二九八頁)として用いられる語であるから、右「管理装置」は、用語の普通の意味からすれば、目視によって数量を表すことが可能な、ホストコンピュータとは別体の、ハードウェアとしてのひとまとまりの機械装置を指称しているものと解される。しかし、本件特許は、コンピュータの応用技術を発明の対象とする、方法特許であり、ハードウェアとしてのコンピュータは、そこに各種のプログラムを載せて実行させることにより多様な機能を実現し得る汎用性のある機械装置であって、しかも、本件特許請求の範囲には「前記読み取り手段によって読み込まれた患者情報を記憶する記憶手段と、……とを備えた」という以上に、「一台の管理装置」の構成を限定する記載がないことに照らすと、本件特許請求の範囲の記載だけでは、右「管理装置」が、前示のホストコンピュータと別体のハードウェアとしてのひとまとまりの機械装置の意味のみを有するものとは必ずしも即断できず、ハードウェアとしてのホストコンピュータの機能と同時に、ホストコンピュータに組み込まれたソフトウェア(プログラム)の機能をも包含した、「本件発明の所期する機能を奏せしめ得るひとまとまりの装置」というように、いわゆる機能的クレームを表現するものとして、より広義に解釈する余地が皆無とは直ちに言い切れない。』とした上で、『したがって、本件特許請求の範囲の記載だけでは、右管理装置の具体的内容を確定し難いところがないとはいえないから、更に本件明細書の他の記載等を参酌してその具体的内容を明らかにすることにする。』とした。そして、実施例の記載、課題の説明等を考慮した上で、以下のように判示した。

そしてさらに『以上を総合考慮すると、本件発明も、上述したコンピュータ・システムのオンライン処理化及び分散処理システム化の技術動向に沿うものであり、ホストコンピュータと小型コンピュータである管理装置及び診療受付器を階層的に組み合わせて、単一のオンライン処理システム若しくは分散処理シスムを構築することを主眼としたものと認められ、そのような本件発明の依って立つ設計思想に照らして考えれば、本件発明の管理装置は、全体のシステム構成上、ホストコンピュータの下位にあって、それとは別体の装置として分散配置されたサブコンピュータとして位置づけられるべきものと解される。そして、更に、抽象理論的に右のようにいえるのみならず、<証拠略>によれば、原告が・・病院及び・・病院に納入した本件発明の実施品であるとするコンピュータ・システムでは、「管理装置」は、ハードウェアとして、本件、モニター、キーボード、プリンターから成るホストコンピュータとは別体の装置として構成され、右本体内に受付器の患者の投入したカードの記録情報を読み込む読み取り手段によって読み込まれた患者情報を記憶する記憶手段と、各診療科毎の現在の受付番号を記憶する記憶手段と、その受付番号記憶手段によって記憶された受付番号をもとに各診療科毎の新たな受付番号を設定する受付番号設定手段の機能を実現するコンピュータプログラムが組み込まれ、右管理装置本体は通信回線(電線路)によってホストコンピュータに接続されていることが認められる。


 以上の諸事実を総合して考えると、本件発明の構成要件Aの「管理装置」は、ホストコンピュータと別体のものに限られると解すべきである。』と限定解釈した上で、被告製品は本件特許の技術的範囲に属しないとした。

 この判例では、手順1として、「管理装置」という一見具体的な用語であっても、広辞苑等に記載された「用語の普通の意味」と、コンピュータにおける特殊性を考慮して、請求項の用語が機能的・抽象的か否かを検討している。


 次いで、手順2として、詳細な説明の記載を参酌し、実質的な技術的範囲を確定している。


なお、機能的クレームに関する判例の変遷と実務を参照して下さい。




特許公報(B2)

63-63957

公告 昭和63年(1988129


発明の名称  診療受付票発行方法


特許請求の範囲

1 患者の投入したカードの記緑情報を読み込む読み取り手段と、診療科名を入力する入力手段と、各診療科毎の受付番号を印字して排出する受付票プリンターとを備えた1又は複数の受付器と、

 前記読み取り手段によって読み込まれた患者情報を記憶する記憶手段と、各診療科毎の現在を記憶する記憶手段と、各診療科毎の現在の受付番号を記憶する記憶手段と、その受付番号記憶手段によって記憶された受付番号をもとに書く診療科毎の新たな受付番号を設定する受付番号設定手段とを備えた1台の管理装置と、

 初診患者の受付と診療費用の会計処理を行なうホストコンピュータと、

からなり、各受付器が受け付けた再診患著の受付情報とホストコンピュータに入力された初診患者情報を前記管理装置に送り、この管理装置ににおいて、各受付器及びホストコンピュータによって受け付けた患者の各診療科毎の受付番号を設定して該当する受付器又はホストコンピュータヘ送り、受付器において、その設定された受付番号を受付表に印字して排出するとともに、ホストコンピュータから会計を終了した患者の情報を前記管理装置側へ送ることを特徴とする診察受付票発行方法。


発明の詳細な説明

産業上の利用分野

 この発明は、病院の窓口における診療受付票の発行方式に関する。


従来の技術

 従来から、病院での受付は初診時に診療カードを発行し、再診時以降はこの診察カードを窓口へ提出して行なうことが一般に行なわれている。この場合、診療カードを提出しただけでは、自分が何番目なのか、或いは、あとどれくらい待ったらよいのか分からない不都合がある。病院によっては、受付番号を記入した受付票を発行しているところもあるが、しかし、この受付票を発行するための係が少なくとも一人は必要となり、省力化に反する結果となる。そこで、このような受付票の発行を自動化するため、特公昭58-26593号公報に記載された再診自動受付器の発明がある。

 この発明は、再診患者が自己の持参したカードを投入し、受診科名を入カすると、オンライン方定によりそのデータを処理装置側に送り、その処理装置において患者のファイルデータの存在を確認した後、制御部のプリンタによって受け付け表を発行するようにしたものである。

発明が解決しようとする課題

 しかしながら、上記公報に記載された受付器は、カードを所持する再診患者についてのみであり、初診患者については依然として手作業で受付を行なわなければならないとともに、初診患者の受付順は再診患者とは別になるから、再診患者との診察の順序を調整するのが非常に面倒である,例えば、初診患者を再診患者の後に回すと、初診患者の診察が非常に長引くことになり、途中で待つのを諦めて帰ってしまう場合を生じ、新たな患者を失うことになる。この場合、初診窓口で発行されたカードを受付にかけて受付番号を発行させることも考えられるが、しかし、再診受付器は、患者のファイルデータがないと受付票を発行しないことから、これも困難である。

 また、大きな病院では、ホストコンピュータが設置されており、診察を終えた患者は、その診療科で受け取った書類を会計窓口に提出し、この会計窓口で入力されたデータに基づいてホストコンピュータが診察科の計算を行なうようにしている。この場合、投薬を受ける患者については、その薬局の受付部で会計処理したことを確認できるが、かかる投薬を受けない者或いは投薬を放棄した患者については、各診療科と会計側との連絡がないため、会許処理を行わずにそのまま帰宅しても、病院側では把握できないという不都合があり、このように診療を受けながら費用を払わないで帰宅する患者が、各病院においてかなりの数に上る。この場合においても、上記のような再診受付器においては、やはり単純に各診療科の診療を受け付けるのみであることから、その日に受け付けた再診患者の氏名はその診療科で分かるとしても、会計を終了したかどうかについては、各診療科では把握できず、結局患者の両親に任せざるを得ないという不都合があった。

 更に、この従来の受付器では、センター側の処理装置は単にファイルデータを確認するのみであり、受付番号の設定は受付器で行なわなければならないから、複数の受付器を用いると受付番号が重複することになる。そのため、比較的規模の大きい病院では、各診療科毎にその診療科に合わせた数だけの受付器を用いなければならず、規模に応じて1又は複数の受付器を任意に選択できない不都合がある。

 この発明は、かかる従来の欠点を解消して、初診患者であっても再診患者と共にその受付番号を設定することができるとともに、会計を終えないで帰宅した患者をその診療科で容易に把握できるようにし、加えて、病院の規模に応じて1又は複数の受付器を任意に選択することのできる受付票の発行方法を提供するものである。


課題を解決するための手段

 そして、上記目的を達成するため、この発明では、

 患者の投入した力一ドの記録情報を読み込む読み取り手段と、診療科名を入力する入力手段と、各診療科毎の受付番号を印字して排出する受付票プリンターとを備えた1又は複数の受付器と、

 前記読み取り手段によって読み込まれた患者情報を記億する記億手段と、各診寮科毎の現在の受付番号を記憶する記億手段と、その受付番号記億手段によって記憶された受付番号をもとに各診療毎の新たな受付番号を設定する受付書号設定手段とを備えた1台の管理装置と、

 初診患者の受付と診寮費用の会計処理を行なうホストコンピュータと、

からなり、各受付器が受け付けた再診患者の受付情報とホストコンピュータに入力された初診患者の受付情報を前記管理装置に送り、この管理装置において、各受付器及びホストコンピュータによって受け付けた患者の各診療科毎の受付番号を設定して該当する受付器又はホストコンピュータヘ送り、受付器において、その設定された受付番号を受付票に印字して排出するとともに、ホストコンピュータから会計を終了した患者の情報を前記管理装置へ送ることを特徴とする。


作用

 再診患者が持参したカードを投入すると、そのカードに記録された記録情報を読み込み手段が読み込み、その情報を管理装置側へ送信する。この管理装置には、ホストコンピュータに入力された初診患者の情報も送信され、これら再診患者と初診患者の受付番号を設定して、各々該当する受付器又はホストコンピュータ側へ送信する。また、受付器では、この送信された受付番号を受付票へプリントして排出する。他方、診察を終えた患者が会計窓口へ行って会計処理を終えると、ホストコンピュータからその旨の惰報が管理装置側に送られる。


実施例

 以下、この発明の構成を図示の実施例に基づいて説明する。

 第1図は本発明にかかる診療受付器1の外観を示しており、表面中央部にCRT表示装置2が設けられている。このCRT表示装置2の左右両側に、各々縦方向に多数並列させて、診療科選択キー33・・・・・・が配列されている。同じくCRT表示装置2の下方には、診察内容を選択する診療内容キー44・・・・・・が配置され、その下方に、受付患者の入力操作が終了したことを入力する確認キー5と、入力を取消したい時に操作する取消しキー6とが設けられている。表面の右端上部にカード挿入口7が、同じく株に受付票排出口8が設けられている。

 第2図は、診療受付器1の背面を示しており、その上下方向の略中央部には、受付態様選択部9が設けられ、この選択部9は、縦8列横2列の16個の診療科区分1010・・・・・・に分割されている。これら各診療科区分1010・・・・・・には、受付中である旨を表示するランプ11、各診療科の名称を記入したカードを挿し込む名称欄12、受付の開始、中止または予め設定された時間によって自動的に受付の開始及び中止が行われる自動受付の3つの様態を選択的に切り換える受付時間切換キー13が横1列に配置されている。キー13を上方に倒すと受付け中止、下方へ倒すと受付け開始、どちらにも倒されていないときは予め設定した時聞に開始・終了が自動的に行なわれる。受付態様選択部9の左上方部には、現在の時刻を設定できる現時刻設定ダイヤルキー14が配置されている。更に受付態様選択部9の下方には、自動受付の開始及び終了時間を設定するための、開始設定ダイヤルキーと終了設定ダイヤルキー16とが、これらを一対として二対配置されている。これら二対のうち、その一方の一対は、例えば午前中の開始・終了時間を、他方は午後の開始・終了時間を設定するために用いられる。これらの現時刻設定ダイヤルキー14、開始設定ダイヤルキー15及び終了設定ダイヤルキー16は、いずれも4桁の数値を入力する回転式のものであり、各4個のロータ1717・・・・・・・を回転させてその数値を合わせることにより、時・分が入力される。

 第3図は、上記診療受付器1の具体的な内部構造の概略を示している。

 同図において21は、各入・出力概器の制御や演算を行うCPU(中央処理装置)、22ROM(リードオンリーメモリー)、23RAM(ランダムアクセスメモリー)を示し、ROM22には、実行作業の手順を示すプログラムが格納されている。他方、RAM23には、受付患者の各種情報を記憶する患者情報記憶部24と各診察科毎の現在の受付番号を記憶する現受付番号記憶部と、前記自動受付の開始・及び終了設定ダイヤルキー1516によって設定入力された受付時間を記憶する受付時間記憶部25の領域を有している。キャラクタージエネレーター27CRT表示装口12に所定の文字パターンを表示するために用いられる。

 この第3図において、各選択キー28は、診療受付器1の正面側に設けられた、診療科達択キー33・・・・・・、診療内容選択キー44・・・・・・及び確認若しくは取消キー56を総称して示している。他方、各設定キー29とは、同じく診寮受付器1の背面に設けられた、現時刻設定ダイヤルキー14及び受付開始・終了時間設定ダイヤルキー1516を総称して示しており、これら選択キー28及び設定キー29の出力は、CPU21へ入力される。磁気カードリーダー30は、患者の投入した磁気カードの記録情報を読み込み、これをCPU21側に出力する。タイマー34は現時刻を刻むもので、CPU21は、このタイマーからの入力情報によって現時刻を判別し、また現時刻設定ダイヤルキー14によって現時刻を修正できる。

 CPU21の出力側には、インターフェイス31を解して、CPU表示装置2、受付票プリンタ32、及び一覧票プリンタ33が接続されている。CPU表示装置2は、前記診察科選択キー33・・・・・・、診察内容選択キー44・・・・・・、等を受付患者が操作するための案内表示を行うものであり、CPU21が、ROM22内に格納されたプログラムの実行手順にしたがって、このCPT表示装置2が逐次案内麦示を行なうよう制御する。受付票プリンタ32は、CPU21によって設定された受付番号その他の必要項目を、受付票ヘプリントして排出するものである。一覧表プリンタ33は、受付開始からそれまでの受付患者のリストをプリントするものであり、これは、病院側の内部リストとして用いられる。

 第11図が、プリンタ32によってプリントされた受付票36を示している。用紙には、「受付票」の文字、「患者番号」の文字とその記入欄、氏名及び生年月日、性別の記入欄、「診療科目名」、「診療内容」及び「受付番号」の文字とその記入欄、病院名が予め印刷されており、前記プリンタ32は各記入欄へ必要事項を印字して排出する。

 更に、CPU21の出力側には、通信I/Oポート35が設けられ、この通信I/Oポート35には、後述の管理コンピュータ41が接続され、該管理コンピユータ41との交信を行うようになっている。

 第4図は、管理コンピュータの内部構造の概略を示している。図において、42は前記診療受付器のCP21と同榛に、各入・出力機器の制御及び漬算を行なうCPU(中央処理装置)、43ROM(リードオンリーメモリー)であり、このROM43には、管理コンピュータ41の行なう実行手順のプログラムが格納されている。44RAM(ランダムアクセスメモリー)であり、このRAM44は、これまでに受付けた全患者の患者情報が記憶されている全患者情報記憶部45と、ある一定期間即ち当日の受付開始からそれまでの受付患者の情報が記憶されている受付患者情報記憶部46と、当日の各診療科毎の現在の受付番号が記憶されている各科現受付番号記憶部47とが割付られている。CP42には、受付器用通信インターフェイス48が設けられ、この受付器用通信インターフェイス48を介して、1または複数の診療受付器11・・・・・・が接続されてこれら診療受付器11・・・・・・との交信を行うようになっている。なお、この診療受付器1との接続は、第3図の通信I/Oポート35を通して行なわれる。

 CPU42の出力側には、インターフェイス49を介して、一覧表リストプリンタ50が接続されている。この一覧表リストプリンタ50は、前記診療受付器1のプリンタ33が、その診療受付器1が受付けた患者のみのリストをプリントするのに対し、管理コンピユータ41側の一覧表リストプリンタ50は、各診療受付器11が受付けた全患者を総合しプリントアウトするものである。51は、同じくインターフェイス49を介して接続された科別リストプリンターであって、この科別リストプリンター51は、各診療受付器11・・・・・・によって受付けた受付患者のリストを各診療科毎にプリントアウトする。これら

一覧表リストプリンタ50及び科別リストプリンタ51によるプリントは、CPU42の入力側に設けられた入カキー52を操作することによって、逐次制御される。

 更に、CPU42の出力側には、上記インターフェイス49を介して、コントローラ用通信I/Oポート53が設けられており、このコントローラ用通信I/Oポート53には、モニターコントローラ54が接続される。このモニターコントローラ54は、各診療科に設置されるモニター5656・・・・・・への出力制御を行うものであり、このモニター5656・・・・・・には、各診療科における現在の受付番号を表示する。したがって、各診療科では、これによってその科の現在の受付番号即ち受付人数を知ることができ、かつ患者数があと何人残っているか等を知ることができる。

 第12図が、そのモニター56による表示方法の一例を示している。モニター56の表示画面には、1個の診療科名表示欄60と、縦9個横5個の計45名分の受付番号表示欄61とが設けられている。受付番号表示欄61・・・・・・には、各診療科の全受付番号が表示され、一画面で表示できないときは、複数画面で表示する。そして、各モニター56は、一診療科を数分として各診療科の受付番号を順次繰返し表示する。従って、1つのモニターを見れば他の科の受付番号を知ることができる。更に、後述するホストCPU59から会計終     了の報告があれば、該当の受付番号表示を消去する。また、各モニター56毎に備えられた入カキーによって、診療の終った患者の受付番号を消去できるようにすることもできる。

 57は、ホストCPU用インターフェイス、58は、ホストCPU用通信I/Oポートであり、このホストCPU通信I/Oポート58を介して、管理コンピユータ41とホストコンピュータのCPU59が接続されて、該ホストCPU59と交信を行なうことができるようになっている。このような交信は、例えば、ホストCPU59側において、各患者の診察料の支払が終わると、その終了を管理コンピユータ41CP42側へ送信し、該管理コンピュータのCP42では、これに基づいて漬算を行い、各診療料の残り患者数を計算するというように用いられる。

 次に、第5図及び第6図のフロチャートに従って、受付処理の手順を説明する。第5図が、診寮受付器1側の作業手順を、第6図が、管理コンピュータ側41の作業手順を示している。診療受付器1におけるRAM23の受付時間記憶部26には、前記受付時間開始設定ダイヤルキー15及び終了設定ダイヤルキー16によって入力された受付時間が記憶されており、CP21は、このRAM23によって記憶された時間と、タイマー34により入力される現時刻とを比較し(ステップS101)、現時刻が受付時間になっていれば、CRT表示装置2に、第1図の如く「ただ今受付中」「カードをお入れ下さい」の文字を表示する(S102)。未だ受付時間になっていない場合には、CPU21は、受付時間切換キー13が、受付開始側に入力されているかどうかを判断し(S103)、その場合には、同様にCRT表示装置2に上記の表示を行なう。この場合の受付けは、受付時間切換キー13が開始となっている診療科のみ行なわれる。また、この受付時間切換キー13が、各診療科全てについて受付中止側に倒されている場合には、受付時間中であっても、CPU21は上記の表示を中止する。

 上記受付表示の表示中に、力一ド挿入口7よりカードが挿入されると(S105)、磁気カードリーダー30がこの力一ドの記曇情報を読み込み、CPU21へ出力する(S106)。該力―ド30には、患者のコード番号、氏名、生年月日、性別が記録されており、CPU21は、これらの情報をRAM23の患者情報記憶部24ヘストアする。同時に、CPU21は、ROM22に記憶された手順にしたがつて、CRT表示装置2へ、診療科選択キー3の操作の案内表示を行なうよう制御出力する。その表示内容は、第5図のとおりであり、まず、各診療科選択キー33・・・・・・に対応して、表示画面の両側に各診療科名を表示する。そして、これら表示された診療科名に対応する選択キー33・・・・・・を押すことによってその診療科の情報がCPU21側へ入力される。画面の中央部には、診療科目表示欄41、診療内容表示欄42、及び受付番号表示欄43が設けられ、更にその上方部に、「診療科目を選択してください(終了は「確認」)」の文字が表示される(S107)。また、これら各欄414243の下方には、診療内容の表示が、各診療内容選択キー44・・・・・・にあわせて表示されており、この例では、診療内容は、診祭、投薬、検査、注射、の4種に分けて表示されている。この場合においても、各診療内容に対応する選択キー44・・・・・・を押すことによって、それに対応した診療内容の情報が、CPU21へ入力される。なお、途中で受付時間切換キー13が中止側へ倒されると(S104)、受付時間中であってもその診療科の受付けは行なわれない。

 カードを投入し終えた受付患者は、上記の案内表示を見て、表示された各診療科に対応する選択キー33・・・・・・を押し、診療科を選択する(S108)。CPU21はその押された選択キー3の診療科を読み込み(S109)画面中央の診療科表示欄に、その押されたキーに対応する診療科名が表示される。

 このようにして、診療科選択キー33・・・・・・の一つが押されると、CPU21は、第6図の如く、CRT表示装置Cの上方部の案内表示を、「診療内容を選択して下さい」の文字に変更するよう制御する(S110)。これにしたがって、患者は、4個の診療内容の表示に従い、その対応する診療内容選択キー44・・・・・・を選択して押し、診察内容を入力する(S111)。そして、押されたキー4の診療内容を読み込み(S112)、診療内客表示欄42に、その診療内容が表示される。これが終わると、再び、画面の上部に前記と同じ「診療科目を選択して下さい」の文字を表示し、患者は、一度に複数種の診療科を選択でき、必要な診療科及び診療内容の入力を終えると、下方の確認キー5を押す。

 確認キー5が押されると(S113)、CPU21は、管理コンピュータのCPU42側へその情報を送信する(S114)。管理コンピユータ41CPU42では、この受信した患者情報を、RAM44の全患者情報記億部45に記憶されている患者情報と照合して、カードが有効であるかどうかをチェックし(S121)、カードが有効である場合には、各診療受付器11・・・・・・からの情報を調整しながら、各科現受付番号記憶部47内に記憶されている該当診療科の現在の受付番号を基に、演算を行って新しい受付番号を設定する。そして、この新しい受付番号が、再び受付器用通信インターフェイス48を介して、該当する診療受付器1

は、受付票プリンタ32を出力制御し、該受付票プリンタ32が受付票36をプリントして排出する(S116)。この時、新しい受付番号が、CRT表示装置2の受付番号表示欄43へ表示される。又、磁気カードリーダー30は、カードを返却するよう排出する。そして、患者は受付票36カードを受け取って受付を完了する。なお、この時、診療受付器1の診療科目表示欄43は、第9図の如く、画面の右側に移動して表示されるとともに、その左側に、患者氏名、患者番号、生年月日、性別及び受付日時が表示される。更に、「受付は終了しました。カードと受付票をお取り下さい。」の文字が表示される。

 管理コンピュータ41CPU42は、診療受付器1から受け取った力一ドの記録情報、即ち、患者のコード番号、氏名、生年月日、性別、及び該患者の受付診療科、受付内容、及び、受付番号、更には、受付の日時を受付患者情報記憶部46内ヘストアする。又、新に設定された診療科の受付書号が、各科現受付書号記憶部47における受付書号と書き換えられる。

 上記の管理コンピュータが接続されていない場合、即ち、診療受付器11個のみで使用される場合には、上記受付番号の設定は、診療受付器1CPU21が、そのRAM23の各科現受付番号記憶部25に記憶されている受付書号に基づいて設定する。即ち、診療受付器1CPU21は、管理コンピュータ41が接続されていない場合には、該管理コンピュータ41CPU42と同様の制御や演算を行なう。

 更に受付番号が設定されると、管理コンピュータ41CP42は、これをコントローラ用通信IOポート53側に出力し、(S123)、モニターコントローラ54が、その該当する診療科のモニター5656・・・・・・を制御して、その表示されている受付番号を新に設定された受付番号に変更して表示する。

 最後に、管理コンピュータのCPU42側は、科別リストプリンタ51が診療科毎の患者の一覧票をプリントアウトする(S124)。また、各診療科毎の受付患者名リストをプリントするよう入カキー52によって命令されると、科別リストプリンターを制御して、該当診療科の患者リストをプリントアウトする(S113S113)。

 管理コンピュータ側において、ホストCPU59側から、初診の受付、即ち、新な患者カードが発行されると、その情報をホストCPU用通信IOポート58側より受け取り(S125)、この初診患者についても、前記と同様にして受付番号を設定し、ホストCPU59側へ送信する(S126)。同時に、前記モニターコントローラ54側にも新な受付番号の情報が出力される。

 同様に、ホストCPU59側から、診療を終えた患者の会計が終了したという情報がる

と、前述したように、該当の受付番号表示を消去するとともに、各診療科の受付患者数をカウントダウンして、未診療患者の人数を減算する(S128)。したがって、診療を終わって会計を終えていない患者は、その該当受付番号がいつまでも残っていることになるから、これによって、診療費用を支払わないで掃宅した患者を把握することができる。また、この場合、会計終了患者のリスト或いは未終了患者のリストをリストプリンタ5051で表示させることにより、より的確に把握することも可能となる。


発明の効果

 以上のように、この発明によれば、再診患者の持参したカードに基づいて受付番号を自動的に設定して発行するのみならず、ホストコンピュータ側で入力された初診患者の情報に基づいて、これら再診患者のみならず初診患者についても受付番号を設定することができ、従来の受付審のように初診患者のみ手作秦で受け付ける必要がなく、初診患者の診療が不当に早く行なわれたり或いは遅く行なわれたりする不都合も解消される。また、各受付器によって受け付けられた情報を管理装置側で受けて、この管理装置で診療科毎の受付番号を設定するかち、受付器が1台であっても或いは複数台であっても、常に各診療科毎に受付番号が設定されることになり、病院の規模に応じて1個乃至複数個の受付器を任意に選択して、経費節減を行なうことができるという劾果がある。更に、この発明では、会計処理を行なうホストコンピュータ側から患者の会許処理を終えた旨の情報が送信されるため、仮に診察を受けて費用を支払わないで帰宅する患者があった場合でも、この管理装

置側で容易に把握することができ、かかる不良患者の跳梁を排除できるという効果がある。


図面の簡単な説明

 第1図は、本発明診療受付器の斜視図、第2図は、同じく診療受付器の背面を示す正面図、第3図は、本発明診療受付審の内部構造を示すブロック図、第4図は、管理コンピュータの内部構造を示すブロック図、第5図は、診療受付器による実行手順を示すフロチヤート、第6図は、管理コンピュータ側の実行手順を示すフロチャート、第7図は、診療受付器の正面の一部拡大図、第8図〜第10図は、CRT表示装置に表示される表示内容を示す正面図、第11図は受付票の正面図、第12図はモニターの表示画面を示す正面図である。


1・・・・・・診療受付器、32……受付票プリンタ、36・・・・・・受付票、42・・・・・・CPU44・・・・・・RAM46・・・・・・受付患者情報記憶部、47・・・・・・各科現受付番号記憶部、48・・・・・・受付器用通信インターフェイス、51・・・・・・科別リストプリンタ、53・・・・・・モニターコントローラ用通信IOポート、56・・・・・・モニター。59・・・・・・ホストCPU