ソフトウェア関連発明のクレーム解釈方法と明細書
明細書を書くに当たって、「それがどのように解釈されるのであろうか」ということを、事前に予測しつつ記載すれば、少なくとも、予期しないような侵害事件を未然に防止できるだけでなく、事件が発生したとしても、予期しないような解釈による敗訴をできるだけ回避できるでありましょう。この点はソフトウェアについても同様ですので、「権利解釈方法と明細書」を参照し、保護の強い明細書作りを心がけて下さい。
ソフトウェア関連発明で問題となるのでは、機能的クレームの解釈でしょう。
ソフトウェア関連発明では、しばしば、機能実現手段で発明を特定する手法がとられます。これは、米国での means + function クレームと同様のクレーム形式です。米国ではこのクレーム形式の取り扱いが法律上で規定されています(米国特許法第112条第6項)。すなわち、 means + function クレームの保護範囲は、実施例記載の構成+その均等の範囲に限定されるという規定です。
これに対し、我国で、その法的取り扱いについては定めはありません。この点、我が国における機能的クレーム解釈のこれまでの傾向から、米国と同様に解釈されるであろうことは、当然予想されることであります。
よって、発明の保護の範囲をできるだけ広くかつ確実にするためには、以下のような点を考慮して明細書を作成する必要があるといってよいでしょう。
- @ 実施例を踏まえ、できるだけ客観的な構成でクレームを記載する。
- A 構成を機能に置き換え、機能実現手段等の機能的表現でのクレームを作成する。
- B 前記実施例の他に機能実現手段の具体例が他にないか検討し、できるだけ多くの具体的実施例を列挙する。なお、実施例はできるだけ具体的に記載する。
- C 機能的クレームと構成によるクレームとの中間に位置する中間概念のクレームが存在しうるか検討する。
元へ戻る