ハードウェアとの関連から見た分類
次に、明細書を書くにあたって、ソフトウェア関連発明をどのように捉えて表現するかという観点からは、ハードウェアとの関連に重視すると発明を把握しやすいので、そのような観点からソフトウェア関連発明を分類すると以下のようになります。なお、このような分類は私見によるものですのでご了解下さい
- 外在的ハードに対するコンピュータ制御
例えば、「エンジンのコンピュータ制御」や「製造ラインのコンピュータ制御」など、すでに外部に制御対象が存在し、その制御対象についてコンピュータで制御するものです。このような発明は、発明の特徴点が理解しやすいのが通例です。すなわち、対象のハードが明確で、そのハードに対しどのような制御を行っているのかを理解すればよいからです。また、ハード自体新しく開発された場合が多いでしょう。このような発明では、外在するハードを機械の明細書のように特定し、それら機械的構成にコンピュータによりどのような制御を行っているかを記載すればよいでしょう。また、制御対象であるハードが存在するので、自然法則利用性が否定されることもないでしょう。
- 内在的ハードに対するコンピュータ制御
例えば、「仮想記憶方式」や「メモリ管理方式」、「パイプライン処理」など、コンピュータ内部における処理に特徴を有する発明では、コンピュータのハード自体には特徴がなく、その処理の仕方に特徴がある場合ですので、発明の特定が若干容易でないという側面があります。
しかし、そのソフトウェアの行っている機能が、コンピュータ上でどのように実現されているかを見つめれば、処理の対象であるハードが見えてくるので、あとは比較的容易に発明の特定が容易となります。また、この場合もハードが存在するので、自然法則利用性が否定されることはないでしょう。
- 見かけ上ハードに依存していないソフト
制御対象としてハードが存在せず、処理の内容がもっぱら何らかの演算であったりすると、その処理内容の中にハードウェアが意識されない場合があります
例えば、円の描画方法、かな漢字変換方法、カーソル制御方法、などでは、ハードを制御しているという意識はかなり薄くなります。よって、発明を捉えずらく、また、表現もしにくい場合が多くあります。このようなソフトウェアの場合、できるだその機能に着目し、その機能がコンピュータ上どのように実現されていくのかを考えることで、特定が可能となっていくように思えます。また、この種の発明では、自然法則の利用性が否定される可能性もあるので、表現には注意を要します。
元へ戻る