【1】<ビジネスモデル特許出願(明細書作成)に必要な情報>
ビジネスモデル発明もまたソフトウェア関連発明の一形態として扱われるので、その観点から、以下の情報が必要となります。
(必要な基礎情報)
(出願に必要な具体的情報:出願依頼時に必要)
【2】 <ビジネスモデル発明の分析>
明細書を作成するには、発明に関する情報を収集し、それを特許法の要求する様式に合う情報として分析し、それを明細書様式に合わせて文章化する必要があります。
ビジネスモデル発明の分析にあたっては、以下のことが重要でしょう。
@対象ビジネスを、特許を意識せず、ピュアなビジネス方法として記載してみる。ビジネス運用フローが完成する。
Aビジネスを具体化するに当たって用いるコンピュータ技術、通信技術等の要素技術を、ビジネス方法の各要素と対比して記載してみる。これによりシステム構成図が完成する。
Bビジネスモデル発明の各要素の代替手段はないかを考察する。
(3ー1)ビジネス対象となる分野(業種、商品等の範囲)が当初考えた範囲でよいか。
例:自動車のインターネット販売→贈答品のインターネット販売にも利用できるか?
(3-2)ビジネスを具体化するシステム各要素の代替技術は存在しないか。
インターネット利用の通販→単なる電話回線利用のネットワーク通販→iモードの携帯電話を利用した場合の付加価値はないか等
(3-3) コンピュータ利用の面での新規性・進歩性を考える。付加的な新規ビジネスサービスを考える。ビジネスに関与する者の側から見た、当該ビジネスの利便性は何かを考え、何らかの利便性があれば、それを特徴点とする。例えばwwwクライアント(ユーザ)はどのようなサービスが得られるのか、そのサービスを得るために、コンピュータがどのように機能するのか、wwwサーバ(ビジネス主催者)はどのようなメリットがあるのか、等を考えることにより、種々の特徴点が浮かび上がる。
C対象ビジネスが既存のビジネスの焼き直しである場合、新規性・進歩性を出すために、どのような工夫をしているのかを検討する。 コンピュータ利用の面での新規性・進歩性を考える。付加的な新規ビジネスサービスを考える。
D進歩性を考慮するとき、特に、ビジネスの要素である、人、物、金、情報の各要素につき、それらにつきどのような特徴があるのかを強調し、また、ビジネスに関与する者の側から見た、当該ビジネスの利便性、サービス提供のために工夫したコンピュータ上の特徴、ビジネス主催者のメリット等を強調すると、進歩性をクリアする上でよいのではないかと思います。
いわゆるパラメータ特許というのがありますが、パラメータ特許のパラメータが(人、物、金、情報)となったと考えてみてください。
【3】<ビジネスモデル発明の明細書を書く>
さて、情報を収集して分析した結果を基に、特許明細書を書くことになりますが、その具体的な書き方は、ソフトウェア関連発明の場合と同様ですので、「明細書作成工程」を参照してください。
ビジネスモデル発明の場合、方法自体は保護の直接の対象ではありませんが、それを明細書中に記載しておくことが望まれます。その情報は、〔課題を解決するための手段〕において述べるのがよいでしょう。
「本発明は、 商品を販売するにあたり、顧客の街での行動パターンと顧客の嗜好を調査して、その調査結果から最も顧客が好むであろう商品の種類を選定し、その商品を特定の時間帯に展示して販売するものである。
具体的には、商品嗜好データベースをwwwサーバに備えて、そのデータから顧客嗜好の商品を、季節に応じて抽出し、インターネットのホームページに所定の時間帯のみ展示する。」
といった具合である。
また、シグナチャ社特許のように、ハブ&スポークといった「商標」を出願し、そのネーミングを特許中で使用するとともに、その商標を全面に打ち出してビジネスを実際に運用すると、特許と商標との相互作用で、ビジネス自体が商標に抽象的概念として化体し、ビジネス概念自体に特許が付与されたようなイメージでビジネスが進行していくという現象が生じるので、これも戦略として採用されるべきものでしょう。
次のページへビジネス関連発明の特許性