初春のニュージーランド アルプス街道
マウント・クックへ (ヘリコプター遊覧,キーアポイントウォーキングなど)

9月20日



 アルプス街道のバス旅が始まる。
 今日はマウント・クックまで。

 マウント・クックを経てクィーンズタウンまでのバスの旅は宿泊も含めて定期観光バスグレートサイツ号に依っている。バスが各ホテルに迎えに来るので出発の7:15までにはチェックアウトも済ませておかなければならない。スーツケースのBaggage Down は6:45にということで朝が忙しい。モーニングコールが違う時間に入ったり隣の部屋は入らなかったりと予定外のこともあったが、6:30には男性陣もやってきて買ってあったビスケットとフルーツ(梨とパッションフルーツ)を食べて朝食の代わりとする。

 グレートサイツ号に乗り込んで出発。日本からの観光客も4割弱乗っているので通訳の方が同乗していた。本来はバスの運転手さんがガイド兼任のようだ。日本語の説明は座席にあるヘッドフォンで、ということだが、微妙に略されているのでどちらかというと運転手さんの語りに耳を傾けつつ車窓からの眺めを楽しんだ。

 カンタベリー平野をサザンアルプスに向かってひたすら走る。まだ遠くにしか見えない雪を山々は雲一つない。空は真っ青だ。信じられないほどの天気!

 バスが進むにつれサザンアルプスがどんどん近づいてくる。
「晴れてる」
「本当に晴れてるよ」^^

 現地に着いてからの状況次第だけれどあらかじめ、ということでヘリコプター遊覧飛行を申し込む。運が良ければ氷河の上に降りることもできるらしい。この天気なら、大丈夫かな。わくわく、わくわく。
 バスの窓からは羊さんがいっぱい。さすがに人口よりも羊の数が多い国である。春の出産期を終えたばかりで両手に入ってしまいそうな子羊たちが母羊に寄り添っていて、ゆにと「かわいい」を連発。『子羊を探せ』が合い言葉になってしまった。偶然座った席が右側だったこともあって進行方向右手に広がるサザンアルプスなどの景色も十分すぎるほどだ。

 テカポ到着。テカポ湖の向こうに広がる山並み、澄んだ湖の色と白い山々、圧巻。ニュージーランドを代表する景色の一つというのもうなずける。サザンアルプスの東側の高原地帯を伝説の羊泥棒(?)にちなみマッケンジー・カントリーというそうだがテカポはその中心となっている。
 テカポ湖を含めたこの周辺にある湖は一つ一つが独特の色合いを持っていて、またその色が日によって違うのだという。
 ミルキーブルー? ブルーグリーン? 翡翠色? テカポ湖をはじめとして本当に色の違う湖をこの後いくつか見ることになった。同じ湖、プカキ湖だが、1日違うだけで色が全然変わることも実感した。湖の色に変化が起きるのは周辺の岩石の成分が水に溶け込むことによって生じるのだという。小麦粉のように粒子が細かいのでflour rock と呼ばれるそれの含有量と天気(光の加減)によって、季節・日・時間で色が移ろう。
 
 テカポを出発して45kmほど走るとプカキ湖だ。この湖をぐるっと回ると・・・・
 わぉ!!
 マウント・クック!!!
 雲一つない!!!!

 マウント・クックに向けてバスはぐんぐん進む。どんどん山が近づいてくる。山には3日前までは1週間近く雪が降り続いていたという。山岳地帯特有の不安定な気象のため、山頂までマウント・クックの姿を目にすることができるのは本当にまれなのだという。
 
 その山がもう目の前だ。
 


 それだけではなく、雪をかぶったサザンアルプスもくっきりと飛び込んでくる。
 サザンアルプス・・・The Misty Mountains(中つ国の霧降山脈)。
 The Lord of the Rings のあの山脈だ。言葉が無くなる。

 グレノーキーで私たち4人ともう一組2人の若い女性が下車。バスはこのままマウント・クック向かうのだが私たちは後から追いかけることとなる。この飛行場から遊覧飛行なのだ。一緒に走っていた前のバスから降りた方たちはセスナ遊覧に、私たち6人はペリコプター遊覧となる。セスナとヘリコプターだけの小さな飛行場、天候次第なので閉ざされていることの方が多いという。
 ヘリコプターに乗り込み出発。
 
 フッカー氷河を左手にマウント・クックに向かって飛んだあとで、右に折れてタズマン氷河へ。
 山肌ぎりぎりにヘリが飛ぶ。目に映るすべて、ただただみつめるばかり。タズマン氷河に着陸。雪に覆われた氷河を一歩一歩ふみしめる。縁まで行って見下ろす壁面・・・。
 Unbelievable!
なんてエキサイティング。
 よくぞ晴れてくれた。
 チャンスに恵まれ幸運を何に感謝すればいいのだろう。

 ヘリコプターから降りてマウント・クックの麓にあるビレッジのハミーテージ・ホテルまで送ってもらう。13:45着。ランチタイム終了間際だったのでせかされるようにあわてて食事、バイキング形式でどれもおいしかったがゆっくり味わえなかったのはちょっと残念。といっても・・・(^^)。
 昼食後チェックイン(14:15)。このホテルは自分でチェックインしてください、と旅行企画書にもありそのとおりカウンターに行くと、名前はホテル側に控えがあり(スーツケースはすでに部屋に運ばれていて)そこで
「バウチャーはお持ちですか?」
 えーっ、バウチャーなんか渡されてない。渡されているのはこれだけです、と、旅行日程のプリント示す。たまたま日本語話される方が対応していたので行き違いについて説明も容易にできた。「○AL ○AK」でしたよね、と電話をかけられていたが連絡が付かず、「こちらから旅行会社には連絡入れておきます」といわれ手続きをしてもらったのだった。
 やれやれ、だぁ。(だからツアーなんて・・・・、というか手続きの詰めがあまいんじゃあ)
 無駄に思える30分なり。

 荷物だけ下ろして早速ウォーキング。ウォーキングコースにはそれぞれ名前が付けられていて、絵の標識が添えられている。子どもと大人、大人のみ、ピッケルと大人。初心者からベテランまで自分に合わせて選ぶことが可能だ。よく整えられている。
 まずはキーア・ポイント・ウォtーク。マウント・クックを正面に手前の展望台まで歩く約往復2時間の道だ。歩くにつれてマウント・クックがどんどん近づいてくる。マウント・クック、マオリ語でアオラキ(空の雲という意味)と呼ぶ。高い、白い山。鳥の鳴き声が響く。ホテルの部屋においてあった双眼鏡を使うと山も鳥もさらにくっきり。展望台からはミュラー氷河から末端部のモレーン(氷河によって運ばれた堆積物)が砂利山となってちょっとじゃまなのだけれど、目の前の雄姿、本当に(天候に恵まれて)くることができてよかった。

 互いにでてくる言葉といえば
「よかった」
「すごい」
 言葉がどんどん少なくなる。

 帰り道、ホテルを通り過ぎ、欲張ってボーエン・ブッシュ・ウォーク。20分程度のビレッジ内部の森の中を抜けるコースだ。明日の天気がわからないのだから歩けるだけ歩いておきたい、と。ホテルに戻り夕食の予約をしたのだが、予約が遅かったので8:00から。眠いし疲れたし、昼も遅かったので食べなくてもいい、と、キャンセルして早めの消灯。私も旅行前から4時間弱睡眠の日が続いていたのでこの日ばかりは気持ちよく熟睡できた。
 部屋はマウント・ビュー。窓からもマウント・クックがよく見える。ベランダにあるベンチに座って(寒かったけれど)マウント・クックが夕焼けに染まっていく姿をコーヒー片手にぼーっと眺める。贅沢な時間。眠りにつく直前、ゆにに声をかけてもう一度ベランダへ出てみる。満天の星。星と月の光に雪が反射して薄明るい夜、山も山肌も雪も白くくっきりと見えたのだった。
 幸せな日がまた一つ終わった。


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