南欧の旅 ひとかじり バルセロナの一日

2月22日(土)



 バルセロナの歩き方を考えたときに、何よりもまず「食べたい!」とのゆにの叫び。魚貝類が豊富で美味しそうだし本場のパエジャは食べたいしバルでタパスははずせない(^^;)。
 一日しかいられないのにそんなに欲張れるわけないじゃないの、といいつつ地図とお店のにらめっこ。ピカソやミロの美術館もあるがそこまでは無理なのでガウディの建築物を見て、モンジュイックの丘にも登って・・・・・・・・・、と欲張れるだけ欲張った案。治安が悪いから注意しようとの警告はあちこちに書かれていて、シェスタの時間は人でも少なく物騒、とか、ドキドキの情報も多い。この道をこの時間に歩いて大丈夫かなど、スリル満点でやってきた。いよいよである。


 この日の天気 雨のち曇りのち晴れ(午後を回ってようやく晴れ間がでてきた)
 当初の予定より30分遅れて起床(さすがに疲れていたらしい)、ホテルの朝食。ジャムが美味しい。お腹もあまり好いていないしこれからの予定でしっかり食べたいからと軽くパンと珈琲とジュース。チーズとハムに手を出すゆににつられて私もひとかじり。

 朝食後、ホテルカウンターにてセキュリティ用のチェックキーを借りに聞く。セキュリティキーを借りたいとの英語は通じたのだがその使用料に2.5ユーロかかると言われて50ユーロの紙幣を出したらNo,と。そのあとでペラペラとまくし立てられたのがスペイン語だったかカタルーニャ語だったか解らないのだが、何を言っているのかさっぱり?? どうも金額が大きすぎるらしいと、少額(多分10ユーロだったかな)の紙幣を差し出す(おずおず)。これもNo(;_;)。かろうじてあったコインを集めて2.5ユーロ、やっとキーを借りることができた。5分ぐらいだったろうが冷や汗びっしょり。
 ま、片言でもどうにかなったと開き直り、パスポートなどセキュリティボックスに入れていざ出発である。スペインではパスポートの携帯が義務づけられているが日本人はコピーでいいとの取り決めがあるとかで、コピーよし、カード何枚か持っているのでこれもお金も何カ所かにわけて持った。


 格好は夜の食事などに行く時をのぞいてほとんど滞在中いっしょ、いい格好をしているとねらわれやすいらしいから(元々そんなに「いいもの」といわれている服などないのだが)普段着ているコートとショルダーバックが一番の外側。地下鉄の切符や各入場券などで支払う料金のために100ユーロほどがこのカバンの中に小銭入れに入れる。コートのポケットはボタン附きで広いのでジーンズのポケットに少額のコイン入れたリコーとのポケットにチケットなど入れたり、あまり大仰にお金の出し入れしたくなくて(めだつとまずい)なるべく観光客振舞いしないようにと決めていた。まあ、実際はどうだったか解らないが。
 そのコートの中に(トレーナーの上)小さなショルダーバックを斜にかけてここにクレジットカードとかまとまったお金を入れる。多分、その日に使うだろうと予測したもの+α。仕上げはそのトレーナーの下。旅行用グッズのインナータイプの貴重品入れ。これって服を脱がないととれないので完全に非常用。パスポートのコピー・セキュリティボックスの鍵・スーツケースの鍵の予備(本体がミニショルダーバックに入れた)・お金100ユーロほど・予備のカード。
 ムチャクチャ着ぶくれ状態、ずんぐりむっくりのおばさんが黒ずくめでころころ歩いているように見えたんだろうなあ。ゆにはガイドブックと自分用のこづかい入れたショルダーバックひとつ。後はデジカメぶら下げて、これもやっぱりコートで隠していた。高校時代のコートなので童顔も合わせて年齢どのくらいに見えるのだろう。冬だったからコートの中に隠す感じだったけれど、よく考えたら夏ってこれは無理。もう少しラフに構えられるといいのに。次の旅は・・・。
 ついでに今回の旅歩きのスタンスを書いておくと、普通のところ(いわゆる観光名所で観光客しかいない入場券を払った中←多分安全度が高い)では観光案内のガイドブックや地図は極力開かない。地図に関しては折り畳みのをコース通りに色を付けたのをコートのポケットに入れていて手の中で見たりもしたが。行きたい場所の名称とか通りの名前、駅の名前、路線名など必要な情報はメモ帳に書いておいて原則それを見て、というかほとんど見ないように歩きたいというか・・・・。あまりガイドブック広げて見比べているのって好きでないというか・・・・。まあ構えたわけではないがそんな風に歩き回ったのだった。


 というわけで8時半にホテルを出発。ホテルのあるのは旧市街、ゴシック地区。ゴシックの名の通り13〜14世紀の建築が並んでいる。通りは狭く細い。ちょっと通るには怖そうな雰囲気の通りもある。が、そんなことを言っていると目的の場所に着かない。レイアール広場を抜けてカテドラルへと向かう。
 そんなに早い時間とも思えないのだが道にも人が少なくカテドラル入り口にも観光客らしいひとの姿はちらほら。これぞカタルーニャ・ゴシックというゴシック地区の中心の大聖堂、聖堂内に入り『モンセラットの黒いマリア像』など聖人やマリアの像を見て回った。ちょうどミサの最中だったのでそっとじゃまにならないように、と。信仰心などかけらもないのだが、心がちょっときれいになる気分。9時になって回廊見学も可能になり、そちらも満喫する。噂の鵞鳥もしかとみつけた。
 地図を見ても表示の道幅が広いのか細いのかわからなく、というよりも、「道」「通り」というのもに対する自分のイメージがかなり幅広いもので小さなかどなどは歩いていても見落としがちなのかもしれない。カテドラルを出たあとで『王の広場』に行こうとしたのだがぐるぐると回って、「ここかな」「ここだよ」「違うよこっちだよ」「疲れたよ〜<早すぎるよ、ゆに、まだはじまりなのに」(・・)。広くない道なのでよけいに迷う。『王の広場』は、コロンブスがイサベル女王に謁見したところとかで見てみたかったんだよね。「あっ、ここだぁ」^^。
 途中に通ったサン・ジャウマ広場、警官らしき人の警備がキッチリで近寄りがたい雰囲気だったが、ここは自治政府症と市役所の間にある広場、無理もない。この時期世界的にアメリカのイラク派兵に反対のうねり起きていて、通り過ぎたゴシック建築の窓飾りもにぎやかな古風な窓に白地に赤い字で大きく「No War」とかかっているのも印象的。前後してこの地域でも大きな反戦集会もあったのだった。


 そのまま地下鉄の駅に向かう。地下鉄の駅は入り口が赤いMマーク、はっきりしているのでわかりやすい。後で行ったローマの地下鉄の表示がイタリア語だったのに対して、スペイン語・英語の表示がキッチリされていた。後何カ国か表示あったような・・・。バルセロナオリンピックの時に整備されたのかな、とゆに。わかりやすい。
 バルセロナ市内、地下鉄の路線がいくつかあって、距離のある移動も地下鉄乗り継げばOKと予定に組み入れてある。1日乗車券での路放題というのがあるのでこれを買おうと決めていた。自動販売機での買い方を予習しておいたはずなのにいざ販売機を前にすると、「えっ、これどーなってんのぉ!」しばらく眺めてもわからない。どうしよう。もう一度機械をにらんでもわからない(;_;)。この駅から人が乗り降りする時間ではないのか通り過ぎる人も切符を買う人もいず、窓口に座っていた駅員さんがいることに地下に降りたときに気づいていた。あまりのわからなさにやらないでおこうと思っていた非常手段、地球の歩き方を取り出しページを繰って切符の買方を捜していると、その駅員さんがやってきててまねで「こうするんだよ」と教えてくれて、コイン出してもたもたしていたらボタンまで押してくれちゃって、でてきた切符2枚渡してくれて、にこっ。Grazie,Gacias,Thank you!とっても親切でうれしいよぉ。ありがとう。
 やってきた地下鉄、座れるくらいに空いている。情報としては地下鉄での被害もあるから注意ということだったが、乗っているのは学生らしい(本で勉強してたりするから)若者とリュック姿の観光客らしいグループくらい。 やっぱりシーズンオフだから人が少なくてかえって安全なのかなあ、など。次の駅に着いたら「あれれ、この駅なんか違うみたい」反対方面! 乗り換えてやり直し。まずは目指すはサグラダ・ファミリア聖堂なのだ。
 地上に出ると傘の必用な雨、目の前を見ると見あげるようなサグラダ・ファミリア聖堂がいっぱいに広がっている。ガウディの代表建築、まだ作り続けられているのがすごい。三々五々続く人の後を付いて聖堂入り口へ向かう。パンフレット片手に矢印と番号を頼りに進む。ポイントポイントで見ることのできる建築の独特な輝きに見ほれつつ、歩く。キリストの生涯がテーマごとにあらわされていて思いをはせる。エレベーター料金は1ユーロちょっとなのだが各自がエレベーターないで手渡すことになっている。小銭・細かいのないかな、と乗る前に一時財布を探してしまった。大きな紙幣では支払いが受け取ってもらえないこともあるし、コインのみのこともある。用心用心。何とか見つかってやれやれだ。登った聖堂の上は尖塔のそば、急な階段や狭い足場をたどりつつ景色を見たり建物自体を見たり・・・。


 スペインでは昼食が14:00〜15:00くらいとか、その前に軽くつまもうと、ほぼ予定通りに11時に近い、地下鉄を乗り継いでアシャンブラ地区へ。ここにはガウディ建築のカサ・ミラやカサ・バトリョがある。それにタパスで有名なお店もある。QuQuとTapa Tapa、絶対にどちらかで食べるんだから〜<ゆに。地下鉄の出口で方向がちょっとわからなくなったが勘を頼りに歩き出すとぴったり合わせたようにお店発見。この通りで間違いないと安心してタパタパに入る。
 日本人観光客も多いんだろうなあ、いい感じのお兄さんに「こんにちは いらっしゃい」(帰りは「ありがと」)と迎えられ席に着くとさっと日本語・スペイン語記入のメニュー、
 シーフード料理など合わせて3皿、メニューは写真もついているし、指さしで注文できるので便利、でも品数多くて迷ったなあ。チョリソーを頼まなかったことをいまもって「なんで〜」といわれる。そうはいうが娘よ、私だって食べてみたかったがこのあとパエジャも食べたいとか、食べる予定あったからねえ。テーブル担当のお兄さん通りすがりに「おいしい?」と声がかかる。ええ、ええ、美味しかったですとも。さらっとしていて濃くがあって、合わせて頼んだオレンジジュースの味だって絞り立てでフルーティ。量も多く、これで小皿っていうのかなあ、各皿を二人で分け合って食べたけれど充分すぎる。
 さあ、またガウディ建築の見学。まずは昨日教えてもらった特別公開中のカサ・バトリョ、続いてカサ・ミラ。前者は海のテーマで、後者は山をテーマにして造られたという。中にはいるとどちらも階段などを使って全体を回るようになっている。
 カサ・バトリョで1人10ユーロのチケット2枚購入しいて入り口へ。この時チケットきりのお兄さんに2人分ね、と渡しながら、ゆにを見て「Child?」と。子ども料金でなくていいのかって聞かれたけれど「NO,・・・・」と。(^^;)。やっぱり子どもにしか見えないんだ。カサ・バトリョは正面が海面、内部が海底などの様子という。階段ぞいにぐるぐる回っていると本当に波の底、部屋が波うっているようだ。飾りも海。

 カサ・ミラ、19世紀の生活が各部屋でコーディネイトされている。書斎、寝室、バスルームにキッチン・・・、その時のものがそのままで当時の生活が目に浮かぶ。翻訳書でイメージするしかなかった19世紀頃の欧州上流階級の生活。子ども部屋もすごい。ミニチュアのドール・ハウス、ゆにが目を輝かせていた。ゆっくり見ていて後からまわってきた方に先に行ってもらうほどだった。上まで行くにはエレベーターがあるのだが行列だったので上り下りとも階段を利用、歩いて歩く。屋上は山の尾根・峰を現した換気塔や煙突が見応えがあった。雨も上がりサグラダ・ファミリア聖堂などもよく見えた。高いところの苦手のゆにはちょっと怯えていた。外に出てみると入場券売り場から建物全体を回り込むほどの行列、数名しか前にいないときにチケット購入して入ったので、やはりオフシーズンで混んでいないなあと思っていたが、それはそれなりに観光名所、とてもラッキーだったんだ。
 その後隣の通りを散策。マハ・キリンなどユニークな像があるというのでそれを見に行ってきた。街並みがしっとりとしていて異国情緒満載。


 次なる目的地はグエル公園。再び地下鉄。のどが渇いたねえ、ともってきたペットボトルがそろそろ空になる。地下鉄の階段の踊り場にミネラルウォーターの自動販売機を発見し、書いてある言葉はわかるようなわからないような、しかし自販機はどこでも似たようなもの、お釣りが出ないシステムだと困るのでキッチリ硬貨を投げ込み手元にガス抜きのボトルだぁ。私は一口味見、ゆにがほとんど飲んでしまった。娘に譲ってしまうあたり我ながら優しい?^^;。

 グエル公園最寄りの駅に着く。同じ目的らしき観光客パラパラと道を歩いていく。その後に付きながらけっこう広い道を歩いていくと標識が左折の合図(のようにみえた)で「こっちにグエル公園あるよ」とある。坂道登って行くみたいで、地図はどうだったかなあと思いながらも曲がっていく人の後についていく。坂道は徐々にきつくなり行き着いた先はさらに階段が100段以上あったかな、登りつめて振り返ってもあきれるくらい急傾斜の階段だった。そのままグエル公園の案内標識に従って歩き出す。道がぐるぐる回りながらどんどん丘の上の方に登っていく。行けども行けども目的のタイルモザイクの中央広場やトカゲの噴水にたどり着かない。
 公園のてっぺんまで登ってから別方向に降りていくと、やっと、広場だ。ここには大勢の人がいた。今まで歩いてきた道はそういえば人が少なかったなあ(^^;)、道、間違えたんだ、きっと。ベンチに座って一休み。タイル模様があざやかだ。バルセロナ港を含む市内も一望のもとだ。持ってきたチョコレートなどかじって失敗を笑い合う。
 そのまま階段を下りていくと、あったよありましたよ、ゆにが「トカゲが見たい、絶対にグエル公園に行きたい」と主張していた大階段のトカゲの噴水、デジカメのシャッターに手をあてて、さあ、やっとここまできたと、ゆにもにこにこ。
 ところがまたまたここでトラブル。撮影ができないよ〜(;_;)。バッテリー交換しても駄目、じゃあメモリがいっぱいなのかな、128MBのカードなのに30枚ちょっとしかとれないなんておかしいね、取りあえずカード交換してみたら? カード挿入口を見ると「ええっ! カード入ってないよ、ゆに。ちゃんと取り説読んで用意してきたんじゃないの?」「カード入ってなかったのぉ、今までだって家でこれで撮していたから大丈夫だと思っていたのに」
「取りあえず予備のカード入れればいいから出して」「あーっ、ないよ、おいて来ちゃったよ、ホテルにぃ・・・・」「だ・か・ら・・・・・・」
 私のかかえていたアナログカメラがその後活躍することになった。デジカメ内蔵のメモリだけで家での写真とるのは足りていたのが敗因。まかせっきりでいたのがいけなかったなんてゆにに失礼だしねぇ。
 噴水をさらに降りていくとグエル公園の正門だ。ドーリア式の柱とかいかにもガウディといえる建造物がある。地下鉄駅から徒歩で15分のここまでいったいどれだけかかったことか(^^;)。


 門を出ると広い道にタクシーが止まっている。当初の予定では再び駅に戻り地下鉄を乗り継いでモンジュイックの丘に行くことになっていた。「えーん、もう歩きたくないよぉ。疲れたよぉ」とゆに。さすがに階段から高台への歩きはきつかった。乗り換えも面倒だしとタクシーに乗ることにした。
 モンジュイックの丘は港に近くグエル公園とはちょうど市内の対極にある。市街地をつっきっていくわけだ。メモ帳に行き先のアルファベット写し、地図に印を付けてからタクシーに乗り込む。地図を示して「モンジュイック、プリーズ」「モンジュイック、ミロ?」
 うーん、ミロの美術館に行くわけではないけれど、目的のゴンドラ乗り場近いので説明し直すのも大変、「Si(はい)」と返事。
 車窓越しに見える通りを目で追いながら、歩くだけで通ることのない、地下鉄では当然みることのできない市内をみることができて、かえってよかったのかもしれないと、これも経験だ。
 タクシーを降り、ゴンドラに乗ってモンジュイックの丘の頂上駅まで。ゴンドラに揺れながら見える港や市内の景色、やはり見て初めて納得するものだ。ついついカメラを向けてしまう。同乗のフランスの婦人もカメラのシャッター押していたっけ。曇りだったのが残念だがそこまで要求してもしかたないか。
 午後2時過ぎでちょうどシェスタの時間。頂上のモンジュイック城を人がパラパラと歩いている。もちろん私たちもだ。日本からの男の子たちも見かけた。そういえば、カサ・ミラとかには女の子の姿もけっこう目についたのに、ここにはあまりいないなあ、買い物できるところでもないからかなあ、とちょっと偏見とは知りつつ、その場にいる人をウォッチングする。ここもシーズン中は危険ポイントらしいが今は観光客が視界のじゃまにならないくらいしかいない。ベンチに座って景色を見たり、ぼーっとすごす。


「おなかすいたね」「何でもいいから食べたい」とゆに。もちろん私も。3時を回っていたので昼食タイムも終わりそう、モンジュイックの丘を降りてこれから行くところで何かないか探そうよ。腰を上げる。再びゴンドラで降りて、フニクラ(冬期は週末。祝日のみ運行、一応このことも計画に入れてある)・地下鉄と乗り継いでドラサナス駅に。
 この駅はランプラス通りの終点、コロンブスの塔の近くにある。ついでにいえば宿泊ホテルからだってそんなに離れてない。コロンブスの塔を見学してからランプラス通りの散策だ。モンジュイックと散策&昼食、順番が逆になってしまった。
 コロンブスの塔にちょうど午後4時に着く。シェスタが終わって人出が増えてきている。コロンブスの塔は見あげる大きさ、全景をフレームに納めるのは無理だ。60mの高さだという。塔の低い部分のレリーフの飾りが見事だった。
 そのままカタルーニャ広場までランプラス通りを歩く。中央が遊歩道になっていてテントの店がびっしり並んでいる。ブロックごとに区切りがあるのか、ここら一体は工芸品、ここでは絵を売っているなどいろいろで見ていて飽きない。我が家で飼っているペットのセキセイインコそっくりの鳥さんたちなどのペットのコーナー・色とりどりの花屋さん・大道芸をしている人、などなどゆったりと。
 途中、ちょうど宿泊ホテルへの曲がり角にピッツェリア発見、パエジャもあると外のメニューに書いてあるし手頃な値段だったのでここで遅めの(夕方5時前じゃあ遅すぎ)昼ご飯にありつけた。やっとだぁ。
「オラ」(気軽な挨拶はこれでいいんだって)
 半端な時間なので客は私たちだけ、ミックスパエリアとオレンジジュース頼んで食べていると、リュック背負ったおおがらのお兄さんが入ってきた。勢いよく席に着きメニューを広げながら何かこっちのテーブルに視線を感じる。ウェイトレスの女の子との話が耳に飛びこんでくる。「おれはねえ、イタリアから来たんだけど、ピザを食べようと思って入ったんだけれどさあ、なんかあっちの(ってこっちだ)見てあんなのがいいかな、ってさあ、どんな種類がある?」「チキンとか、シーフードとか・・・」「じゃあ・・・」なんていって頼んでいるではないですか。陽気な兄さんで、ウェイトレスの子にいろいろ話しかけている。でその話から彼女がフィリピーノだってことも、日曜日は教会に行くから遊んでられないよなんて返事してるのも聞こえたり、聞いていただけだけれども面白かった。その彼、運ばれてきたパエリア、すごい勢いで食べている。私とゆにが二人でやっと食べたのと同じ量なのにねえ。
「グラシアス」


 外に出る。すぐそこにホテルが見えているのだけれどまだ戻らない。散策を続ける。
 ここもぜひ、と、バルセロナ市民の台所「サン・ジュセップ市場」へ。果物・野菜・肉・魚貝類、びっしり並んでいる。この地で海の幸を味わいたいといっていたゆに、新鮮な貝やエビを見て目がきらきらしてくる。ディナーはシーフード系をと予定してるのだ。果物を少し買って後で食べることにした。1単位の量が多いのに安くてビックリ。翌朝食べたのだけれどみずみずしくて美味しかったなあ。
 カタルーニャ広場まではあと少し、「疲れたよぉ、歩けないよぉ」といいだしたゆにの手を抱え込むように引きずるようにして歩き出したのもこのあたりからだ。日も落ちてくらくなってきた。カタルーニャ広場にあるデパートで息子と相方にみやげ・食材売り場で土産用の缶詰や歩き回る必需品のミネラルウォーターなどを購入する。
 やっとこれでホテルに戻れる。歩いて帰ってもいいのだけれど一駅でも地下鉄に乗って帰る? どうしよう? 「もちろん地下鉄がいい」とゆに。しかし、デパートというのは広いものだ。入ったところから出れば帰りの路線の駅が目の前だったのに、同じところから出たつもりが、うーん、あれ、どっちに行けばいいのかな。暗くなると目印もよくわからない。Mの印を発見して喜んで入ってみれば広場そばにある隣の路線の駅、「もういいや」、結局またランプラス通り歩いてホテルまでたどり着いたのだった。
 ホテル19:40着。出かけてから11時間後である。1日目にして歩いたなあ、という実感,つい欲張るから。ベッドに転がって軽く休憩。そして着替え。ディナーはちょっとしゃれたお店なので服の方もそれなりに。
 歩いていけるところを選んだので再びランプラス通り、9時前にレストランにつく。クオ・バディス(Quo Vadis)、ダリやミロもロルカも訪れたというカタルーニャ料理の美味しいお店らしい。


 バルセロナはスペインの都市ではあるが、カタルーニャ自治政府庁がおかれていることからもわかるように、民族とてはまた違い、フランコ政権時には弾圧されたりしていた。言葉もスペイン語とカタルーニャ語が共に使われているという。
 そのカタルーニャの料理の一つにサルスエラZarzuela;エビ・イカ・メルルーサなどの煮込み料理,があって、ぜひこれが食べたいね、と。
 クオ・バディスの入り口で予約してますか、と聞かれ、予約はしてなかったけれど早い時間は何とか大丈夫という情報の通り中に入る。しっとり落ち着いた雰囲気、大人のイメージ、スペイン語と英語を合わせたメニューを一心に眺めるもサルスエラがない。スペイン語では言い方が違うのかなあ、でもこれが目的だし・・・、第一皿としてゆにが小エビのカクテル私がミックスサラダ、二皿目は? と聞かれ「サルスエラを頼みたいんですが」と聞くと「ああ、この魚の煮込みのことですよ」とメニューで教えてくれてこれを二人注文する。水はガス抜きで、ワインの赤・白聞かれたがこれは頼んでサングリアにしてもらった。
 パテ付きのパンと飲み物がまず運ばれてきた。グラスに飲み物を注いでもらい、一口。うーん、美味しい。パテも絶品。ワインとレモンとオレンジの味が口いっぱいに広がる。一日を振り返りながら料理を味わう。「サルスエラのこのエビ・この貝・この魚、きっとさっきのあの市場で仕入れてきたんだね」素材の鮮度の良さを生かした味付けを満喫した。サングリアのお代わりを注いでもらったが元々アルコールに弱いので(それにオーストラリアでカクテル半分で倒れた経験もあり^^;)、一杯半で終わりにして水を飲んでいた。ちなみに旅行中のアルコールはこれが最初で最後である。ゆにもあちらの基準では成人扱いの歳なのでサングリア美味しいね、と。
 仕上げのデザートと珈琲、デザートはカスタードクリームがベースのクレマ・カラナタにベリーソースがかかっているもの、半端じゃない甘さだがソースの酸味とマッチして、「よかったね」「うん、本当に」。
 ホテルの戻ると二時間が過ぎていた。欧州でディナーに二時間以上かけたり、などということを聞き、日頃の自分の生活からは信じられないと思っていたが、ていねいに作られた料理をゆっくり味わうのはこういうことなんだなあ、とあらためて実感した。
 明日の目覚ましをセットしてバタンキュー。
 ポケット地図とメモで過ごして地球の歩き方開いたのはカテドラル(王の広場探す)、モンジュイックのミロ美術館の前(ゴンドラ乗り場を探す)と、ランプラス通りにあるはずの『猫の舌』のチョコのお店を探すときだけ、まあまあかな。明日もがんばろ。

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