プリキュアシリーズからおでこを考える

はじめに

 女の子のおでこというものはなかなかに可愛らしいものである。とくに私は生え際のあたりになんともいえない感情を抱くことをときに押さえられなくなる。舐めたくなる、と言ってもよい。本稿では、こういった私のデコ愛の感覚を腑分けしていく。また、そのさいの手がかりとして、プリキュアシリーズのデコ娘たちを参照してみたい。このシリーズ、いいデコ娘が多いのである。話の順序としては、まず具体例を挙げてから、そこからデコ愛の要素を抽出する、というかたちになる。

その一 なんとなくのデコ娘ランキング

 記憶に頼って結構適当に書いているので、そのあたりは斟酌をお願いいたします。

1 霧生薫

 プリキュアたちを押さえて堂々の一位。デコの化身、ザ・デコ。これ以上出しようがないデコの出しっぷりだけなく、もともと額が広いところがたまらない。また、目が切れ長なところもデコ感を強調している。このデコ、あまりに立派すぎて長時間の観賞は危険なほどである。じっと見ていると吸い込まれそうになってくる。

2 九条ひかり

 元祖デコクイーン。これまた見事にデッコデコ。この娘ももともとの額が広いのが素晴らしい。隙のない薫と違い、たまにチロリと一本毛が垂れるので、僅差で二位になっている。また、シャイニールミナスに変身後に四本毛が垂れてしまうのがデコイズムからすると残念である。あの巨大ツインテールには前髪を少し出しておかないとバランスがとれない、ということはわかるのだが。

3 美々野くるみ

 彼女もまたデコに愛された娘である。ただし、ちょっと額が狭い印象があるので三位になる。この娘、太眉で目が大きいのであるが、そのようなデザインだと、どうしても額が狭くなりがちなのである。これは一般的な傾向として言えることだろう。また、面白いことに、ミルクのときはなぜか前髪がしっかりしているミル。ミルキィローズに変身後は、サークレットがデコを隠してしまう。ちょっと邪魔だ。ここまでの上位三人はキャラとしてもとても好きだなあ。

4 日向咲

 ピンデコ娘。ピンで髪を流すかたちでデコを出すと、生え際の露出が甘くなる。これは私的にはちょっと残念だ。さて、彼女はデコの照り具合に秀でている。きちんと光を反射する磨き抜かれたデコというわけだ。プリキュアになるとデコでなくなるのだが、変わって相方がデコ化するのはなんだか面白い。くるみ同様、目が大きくて眉が太いせいか、額は少々狭めに感じられる。

5 水無月かれん

 出すばかりがデコではない。髪に隠れていても、デコはいつもそこにある。デコ・チラリズムの醍醐味というわけだ。ということで、かれんはデコの露出比率こそ少ないが、髪を流して見せるサイドデコに、右額の生え際のラインがすっと露出しているのがとてもいい。面長なのでそのラインが長めであるところも素敵だ。隠されている額の広さを暗示させる。あれはたまらない。ところで、月影ゆりもかれんと同系統の、右サイドデコ露出型であるように見える。しかし、よく見ると、ゆりはピンデコなので、生え際のラインがきちんと露出していないようだ。また、ゆりの髪形としては、変身後のメカクレバリバリツンツンヘアの印象のほうが強いかもしれない。

6 東せつな

 髪をそのまま分けて出すデコである。普通はこれだとデコの印象はそれほど強く出てこないはずなのだが、彼女はそこを素晴らしい額の広さでもって一点突破している。似たような感じで髪を分けてデコを出している娘は他にもいる。たとえば花咲つぼみも似た分け方をしているのだが、つぼみは額が狭いので、デコの印象が出てこないのである。せつなはとても広くて美しい額をしているのがよくわかって、本当にデコ可愛いのであるよ。

7 春日野うらら

 うららのデコもいい感じである。つるんとした卵みたいな額の感じもなかなか。形のいいデコだよね。しかし、あの強烈なツインテール自体のインパクトが強いので、デコ出しという観点を軸にして語ることには少々躊躇してしまうな。短いけれどもしっかり前髪下りているのが、シャイニールミナスと同じく、巨大なツインテールを支えるバランスとりの役割を果たしているようだ。そうじゃないとそれ自体の重みで髪の毛引っ張られて痛いんじゃないか、と思えてしまうからなあ。

8 美翔舞

 彼女は変身後にナスビヘアが変化して、相方のかわりにデコをどばーんと出す。ただし、額を隠す髪の垂れ具合はかなり大目である。デコっぷりはかなりのものなのだが、変身後だけ、ということで順位はこのあたりで。

9 初期ピンデコ三人衆

 以下で挙げる三人はピンで髪を流すかたちでデコをいくぶんか出している。共通して露出比率はそれほど大きくはないのだが、分け目がすっと切れ上がる感じから伺える額の広さが魅力的である。そこには優秀な脳みそが詰まっているというわけだ。まずは雪城ほのか、そしてピンデコ眼鏡っ娘ユリコ。彼女たちが並ぶと髪の長さは違えど両方ピンデコとなる。さすが科学部である。ほのかは太い眉毛との兼ね合いが難しいのか、額の広さが安定していないような感じがする。安藤加代。こちらもピンデコ眼鏡っ娘。先の二人が理系であるのにたいして文系デコであるな。デコの出し具合はこの三人のなかでは安藤さんがいちばんである。安藤さんといえば宮迫学少年もデコだなあ。甘酸っぱいなあ。

10 熟れデコ

 あとは補足として、大人キャラのデコを思いだせるかぎりで。少女のデコ出しと大人のデコ出しはかなりニュアンスが違ってしまうので、参考程度ということで。『無印』の保護者、美墨理恵、雪城さなえがデコ出し。敵キャラのポイズニー、レギーネもデコ。『SS』のフィーリア王女は姫系デコ。『5』の敵キャラでは、アラクネアさん、ハデーニャさんがデコ。忘れそうになっていたが、ダークプリキュア5のレモネード、アクアもデコ出しだ。大人かどうかは微妙だが。『GoGo!』のフローラは巨大なサークレットが邪魔だがデコ。『フレッシュ』ではミユキさんがなかなかいいデコっぷり。こちらも一応じゅうななさいなので熟れデコ扱いは可哀想かもしれない。『ハートキャッチ』はもちろんサソリーナが大人なデコ出しを見せている。

その二 デコにかんする個人的雑感

 ついで一般的なデコ論に移行するが、基本的には、私の趣味をダラダラ述べているだけである。

デコ愛とはなにか

 私のデコ愛は、デコ出し髪形属性愛とはちょっと違う。先にも述べたが、髪に隠れていても、デコはいつもそこにある。隠れている部分のデコを想像させるような条件が揃っていれば、デコ出しの比率がそれほど顕著でなくともいい。それほど出しが露骨でなくとも、この娘、なんか髪をかきあげてデコ見たくなっちゃうよね、というような欲望を喚起するようななにかがあれば、それはデコ娘なのである。

二次元デコと三次元デコ

 私はデコにかんしてはいまのところ二次元限定である。眼鏡なんかは二次元も三次元も共通で好きなのだが、なぜだがデコはそうならない。理由は自分でもよくわからない。

少女デコと大人デコ

 また、基本的に、少女の髪型におけるデコの露出には興味があるのだが、大人の髪型のデコにはほとんど心を惹かれないのだよね。これもいまいち理由がわからない。一つ考えられるのは、生え際を舐めたいほどいいデコっぷりだ、とかいう表現を文字どおりに受けとると、大人のデコは舐めても化粧や整髪料の味がして苦そうだし健康に悪そうだから、ということがあるかもしれない。素材そのものの味がしないと、ね。

露出度

 デコ全体にたいする露出部分の比率。大きければ大きいほどデコの印象は強くなる。しかし、それだけではない。

生え際フェチ

 デコにおいては生え際の露出具合が重要なんだよ。まさにそこからデコが始まる、というところをガバッと見せちゃう、というのがいいんだよ。さらに、以下で述べるようなカーヴをきちんと見せるためには生え際が出ている必要がある、ということもある。

骨相学的観点

 これまでの論点は必要条件にすぎない。真に語るべきは、デコそのもののよさである。デコがどれくらい見えているか、ではないのだ。まず重要なのが、もちろん額の広さである。二次元の少女キャラは目を大きく描かれることが多いのだが、それがデコ面積を削ってしまうことが少なくない。そこを踏ん張って、この娘はデコが広いですよ、ときちんと表現してほしい。さらに、広さだけでなく、形も重要である。生え際から縦に卵のようにつるっとした綺麗なカーヴを描くデコ、これだ。これがちゃんと表現されている娘は、露出度が低くても私のなかではデコ娘なのだ。

デコに真ん中分けはいまいち

 さて、骨相学的観点は、デコの出し方についても響いてくる。髪の毛を真ん中分けしてデコを出しても駄目なのである。それではデコのカーヴがわからないのである。デコのカーヴは、斜め45度を向いたときに見える額のラインにもっとも美しく出るのだが、真ん中分けではそれが見えないのだ。上で挙げた水無月かれん、東せつなは、露出度こそ低いが、このラインがはっきりわかるようにデコを出している。ここが肝なのだ。

夾雑物

 髪の垂れについて、最後にちょっとだけ。露出度が高いデコの場合、どうしても髪を数本長めに垂らしてアクセントをつけたくなってしまう。しかし、私はどうもそれが好きではないのだよね。丸出しにする覚悟がないのなら最初からガバッと髪を上げようとするなよ、と思ってしまって、デコ的に萎えてしまうのである。上で挙げた高ランクのデコ娘は、そのあたり思い切りがいいので好感がもてる。

おわりに

 そういえば、それほど大きくはないだろうが、たぶんデコ属性萌えコミュニティもどこかにあるのだろうなあ。先行者の議論をまったく押さえずに思いつくままに書いてしまったが、もしかしたら、もっと別のデコにたいする切り口があるかもしれない。そのあたりとの擦り合わせの作業はこれからの課題としたい。

 最後に。はじまったばかりということで外した『スイート』であるが、まずはセイレーン=エレンのデコが目を引く。彼女はとにかく額の広さが際立っている。しかし、残念ながら彼女は真ん中分けで、額のカーヴの美しさを愛でることを我々に許してくれない。そこで私が注目したいのが南野奏である。かなり額が広いうえに、きちんとデコ曲線がもっともよく出るところを出してきている。加えて興味深いのが、若干下ぶくれな顔立ちである。これがデコの広さと相性がなかなかいいのだよね。

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