ライダーマンとバタル弾

0 はじめに

 仮面ライダーV3第49話「銃声一発!風見志郎倒る!!」は名エピソードとして名高い。しかし、この回については、その一方で、いくつかの不可解な点が指摘されてきた。本稿は、一つの仮説を立てることにより、それらの疑問点をすべて解決してしまうことを試みるものである。

1 仮説

 私の立てた仮説とは、以下のものだ。
 改造人間抹殺兵器バタル弾の設計者は結城丈二であり、また、ライダーマンのアタッチメントの一つ、マシンガンアームは、元はバタル弾専用銃であった。
 こう考えると、すべてが納得できるのだ。

2 疑問点の解消

 第一点め。バタル弾は対改造人間用兵器である。それならば、どうして右手以外は改造人間ではない結城がバタル弾で狙撃されたのか。
 結城がバタル弾の基本コンセプトを立てたのだ。しかし、それを完成させる前に、彼はデストロンを去ることになる。その成果を盗み、完成までにもちこんだのが、ヨロイ元帥だったのだろう。
 完成したバタル弾を前に、ヨロイ元帥は考えた。結城が死ねば、バタル弾という業績をすべて自分のものにできるのでは、と。そして、夢想したのだ。自らが考案した武器で殺される結城の姿を。
 信じたデストロンに裏切られ、今また、自らが産み出した兵器で葬り去られる。いかにもヨロイ元帥が好きそうな卑劣なシナリオではないか。こうして結城丈二狙撃計画は実行に移されたのである。

 第二点め。風見の頭部に撃ち込まれたバタル弾を、結城はなんと立たせたまま摘出してしまう。こんなことが可能なのか。
 もうお判りだろう。可能なのだ。結城がバタル弾の設計者であるとすれば。彼はバタル弾の特性を熟知していたのだ。もちろん難しい手術であったことは間違いない。しかし、構造さえ完全に理解できていれば、天才結城に不可能はない。
 ちなみにバタル弾であるが、改造人間の機能を狂わせるものである。ということは、貫通力そのものはたいしたことはないのではないか。いや、正確には、改造人間を単純に物理的破壊力で倒すことを不可能と判断したからこそのバタル弾開発、と見るべきだろう。ということは、バタル弾は風見志郎の強化された頭蓋骨に喰い込んだだけで止まっているはずだ。それならば、バタル弾の特殊機能さえ解除してしまえば、摘出そのものは簡単な切開で済んだと考えられる。そして、この特殊機能の解除という作業をやってのけたのが、設計者結城だった、というわけだ。

 第三点め。ライダーマンは、どうして強力な武器であるはずのマシンガンアームを本編中に使用することがないのか。
 マシンガンアームとは、ライダーマンのアタッチメントの一つである。しかし、本編中に使用されることはなかったものだ。
 さて、第49話のバタル弾完成をまたず、結城丈二は第43話でデストロンを脱走している。もしもマシンガンアームがバタル弾専用銃として設計されていたとすれば、少なくとも本編中のライダーマンには弾丸がないのである。こうして、ライダーマンは最強の武器を封印されたままでデストロンとの決戦に挑むことになったのだ。
 対デストロン戦以後のライダーマンであるが、それでもマシンガンアームを見せていない。たぶん、改造が進んだこともあり(私はライダーマン強化改造説を採用している)火器を使用する必要がなくなったのだろう。もしかしたら、バタル弾で親友の風見が死の一歩手前にまで行ったことを悔やみ、極力使わないようにしているのかもしれない。
 結城とは、そういう漢だ。

3 おわりに

 ライダーマンが好きである。ネタではない。よく弱いなどとバカにする輩がいるが、安易にお約束のつまらないギャクを繰り返しているだけではないのか。V3での凄絶な雄姿を見てなお、ライダーマンをバカにできるなどとは思えないのだが。

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