選挙のシーズン。大政党は組織を上げ候補者を受からせていく。舞い踊るコウゾとミツマタで作られた紙の束。 そんな中、この地区では必ずと言っていい程受かる大政党の候補者Aはまた名乗りをあげる。そして毎回次点に甘んじている市民政治を名乗る立候補者Bも今度こそはと巻き返しを計る。
「あんな奴を受からせていいのか、こうなったら実力行使だ」
「そうだ、より良い政治のためには多少の犠牲はつきものだ」
 候補者Bの幹部を名乗る男達は彼らの正義の名の元に行動に出る。

「お願いします、縄をほどいて下さい、もう許して下さい」哀願する少女に男達はこう答えた。
「何が許して下さいなんだ、何にも理解しないうちから許して下さいなんて 虫が良すぎるとは思わないか」
「そういうのは無責任きわまりない態度だとは思わないかなぁ、まぁあいつの娘にしては 謝るって態度があるだけでもましか」
 
  父親は県会議員を勤めていて現在3期目。もう利権やらなにやらにどっぷりと漬かりきった 日常を送っているが、そんな姿を娘にはついぞ見せない。彼女にとっては面倒見の良い優しい父親だ。
 (大好きなお父さんが怨みを買っている、それも尋常じゃない位に・・・)彼女の頭の中は混乱状態、どうして良いのか解らず 彼女を睨み付ける男達を呆然と見上げるしかない。
「もう君だってお年頃なんだから親のしている事にも興味を持った方がいい。 素直に親を信じるのも良い事だけど、親の職業を考えたら、少しはいろんな視点で親の仕事を見なきゃいけない時期 に差し掛かっているんじゃないかい。それを放棄するなんて怠慢に他ならないとおじさんは思うよ」

 (勝手な理屈だ・・・)そう思うがこんな惨めな格好に縛り上げられてはどうにもならない。男達の言葉に耳もふさぐ事が出来ず、部屋を飛び出す事も出来ず男の言葉を聴くしかない。
「さぁ、まずは君のお父さんの行状を洗いざらい教えてあげるよ。俺達が君の成長を手伝ってあげよう。」
「まだ君に口答えの権利はないからね、こうさせてもらうよ」
「や・・・いやっ。ウグムウッ」 少女の口はガムテープで猿轡をされてしまう。

ガムテープ