案の定、彼女は縛られた自分の状況に狼狽し、ひとしきり状況整理をした(と、俺は思った)後、もがき悶えはじめた。いいぞいいぞ、がんばれがんばれ。いつもの頑張る姿を見せつけてくれ。
 縄がギチギチと音を立ている。苦しそうな呻きが漏れる。どうにもならないと思ったのか、もがきあがき縄を解く前にどうやら猿轡のガムテープを剥がし助けを呼ぶ方針に変更したようだ。

 自由にならない身体で顔を懸命に床になすりつけはじめた。うんうん、いいぞいいぞがんばれ!
 どうにかして、やっとガムテープの端が剥がれなんとか口の詰め物を吐き出す事に成功。はぁっと息をついたところにやっと俺の出番だ。

「お、佳山ぁ〜猿轡のガムテープ剥がしちゃったのかぁ。ずいぶん頑張ったんだなぁ」
「せ、先生!一体何のつもりなんですかこれっ。縄を解いて下さいっ」
「いいぞ佳山。その調子その調子。最初はそれくらい元気出なきゃせっかくこんな事した意味が無い」
「な…何言ってるの先生」
「言葉通りの意味に取ってくれていいぞ、もっともっと俺を刺す様な言葉投げかけてくれ」
「もしかして最初っからこんなことするつもりで…私をそういう目で見てたって事!」
「……………………っき…気違いっ!変態!」 (『出たっ!最高のほめ言葉っ!』)
「くそっこの変態教師!縄を解いてっ」

 さて、あんまし騒がれるとここだと面倒だからちょっと場所替えするか。 その前にもう一回ガムテープで猿轡っと。さっきの100円ショップガムテープは 粘着力弱いんで俺ぐらい粘着が強い値段の貼るやつを貼ってあげようかな、これくらい乃絵ちゃんのためには 何ともない出費だ。

「やっ何やめてっイヤ…ぐぐぅぐっ」
「それじゃちょっといいとこ行こうか。俺の可愛い乃絵ちゃん」

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