「靴くらい脱がしてやろう、ここは日本だからな」
空き巣は縄で縛られたはじめの靴を脱がし、ポーンと放り投げ、 彼女に向って話しかける、落ち着き払い、ドスの効いた声で。
「いいな、大人しくしているんだぞ。そうすれば手荒な真似はしない」
(もう十分にされているわよ…)
はじめを一階の居間に残し、金目のものを探しに空き巣は2階の部屋に行ってしまった。しばらくは大人しくしていたはじめだが、中々空き巣は降りてこない。逃れようと彼女の抵抗がはじまった。
縛られて不自由な身体を揺すり、顔を床に擦り付け、何とかして口を塞ぐガムテープの端をめくり立たせ、さらに顔を擦り付けて半分までガムテープを剥がす事に成功。
口に押し込められていた布切れを吐き出して一息付き、声を上げようとした所に、ふと影を感じると空き巣がニヤニヤと笑って立っていた。
「お嬢ちゃん、大人しくしてろって言ったよなぁ?」
逃れようとするのに夢中になり過ぎ、はじめは空き巣が2階から降りてくるのに気付けなかった。
悔しそうな目をして空き巣を睨み付ける。
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