シナノキ Tilia japonica

シナノキ(1999.9.19:大阪府都市緑化植物園)

シナノキ(1999.9.19:大阪府都市緑化植物園)

シナノキ科* シナノキ属 【*APGⅢ:アオイ科】

Tilia:ボダイジュのラテン名 japonica:日本の

服部緑地にある大阪府都市緑化植物園の薬用植物コーナーにはシナノキがありますが、大阪では比較的見ることの少ない、珍しい木です。

シナノキ(1999.9.19:大阪府都市緑化植物園) 秋になりますと、細長い苞葉の真ん中から柄が垂れ下がり、幾つかに枝分かれした先端に丸い小さな実をつけているのを見ることができます。 これは植物学的にいうと、花をつける枝(花序)と花序の付け根にある葉(苞葉)が途中まで合着したものです(右写真:1999.9.19 大阪府都市緑化植物園))

シナノキの仲間には他にボダイジュやオオバボダイジュ、ヘラノキなどがあります。シナノキとボダイジュ、オオバボダイジュとは実をつける苞葉の付け根が葉柄のようになっているか、 柄がほとんどなく、そのまま葉のようになっているかと、葉の裏が褐色の毛で覆われている (ボダイジュとオオバボダイジュ)か、いないか(シナノキ)などで区別します。 シナノキとボダイジュとは葉の形や大きさが良く似ているので区別がやや困難です。

シナノキやボダイジュ、オオバボダイジュはお寺の境内などで時々植えられています。 これは、お釈迦さまがボダイジュの木の下で悟りをひらいたという故事にちなんんで植えられているのですが、 お釈迦さまのボダイジュはインドボダイジュ (Ficus religiosaで、 インドゴムノキなどに近いイチジクの仲間です。 葉がハート型をしている所が似ているだけで、シナノキなどとは類縁関係は全くありません。

大阪ではシナノキやボダイジュの大木を見ることはあまりありません。それは、この木が元来もっと寒い温帯地方の植物で、木が大きくなるにつれて大阪の夏の暑さに耐えられなくなるからです。

そんな中で、高槻市の神峯山寺の本堂の前には1本、かなり大きなボダイジュがあって、神木のようにしめ縄が張られています。(右写真:高槻市神峯山寺(かぶさんじ):2001.6.17.。この木も、30年ほど前に私が始めて見た頃はもっと小さく、竹柵もありませんでした。)

また、箕面の弁財天の境内に小さなボダイジュが一本あって、箕面へ行くたびに見るのを楽しみにしています。