2004年8月14日(土)
北海道 石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ


●セットリスト

  1. ブギー4回戦ボーイ
  2. こいよ
  3. 築地オーライ (新曲)
  4. ひとりぼっちのあいつ(新曲)
  5. 夜行性
  6. 朝日のあたる道
  7. 接吻
  8. フィエスタ
  9. Jumpin' Jack Jive
  10. R&R

直前の渋さ知らズオーケストラの圧倒的なすばらしさ。 田島はこれを超えなければならないのか?とちょっと不安になる。

渋さのステージは4時ちょうどに終わり、すでに空は少しずつ白みはじめている。 50名が大挙したステージの後片付けで、結局ステージはほとんど一から作り直し。 片づけが終わり、メンバーが一人ずつセッティングを始めるのだが、開始予定の4時20分になっても、まだ佐野っちが音合わせをしている。 この日の日の出は4時40分。「ライジングサン」には間に合うのだろうか。

ラティールさん、佐野っち、鹿島さん、松ちゃん、小暮さんの順に、去年と同じようにセッティングをする。このメインのSUNSTAGEは、最近の小さいステージ慣れてしまった身にとっては、非常に大きいし、遠い。自分は最前列にいるのだが、声をかけてもなかなかステージには届かず、去年のようにセッティングだけで盛り上がることはなかった。ただそんな中、佐野っちと鹿島氏の音あわせでは「The Rover」のフレーズで試し弾きをしてくれて、そこだけ少し盛り上がる。

ローディが田島のギターの調整を終えて引っ込むとと、ほどなくRSRの用意したオープニングテーマが流れる。 時まさに4時40分。ライジングサンと共にスタート。

rising sun expressによる当日の写真

田島はワニ皮みたいなテカテカのレザースーツ。たしか去年と一緒。 他の人は「沈黙の薔薇」とほとんど同じ格好だが、小暮さんだけ短ランみたいなジャケット。

1.ブギー4回戦ボーイ
 去年と同じオープニング。アレンジ自体は普段どおり。

 早速この、岡本太郎にインスパイアされた曲のために、彼の顔のついたゴミ袋を広げ田島に見せる。
 (タワーレコードが用意した、「Be TARO!プロジェクト」のごみ袋。このために用意したのか?とさえ思ったほどのもの。  http://www.1101.com/be-taro/

 事前のオープニング予想は、ライヴ「沈黙の薔薇」と同様、「ハーレムノクターン〜こいよ」だろうなと思っていた。というか、本当にそうだとしたら、フェス向きではないよなと実は不安だった。ところが、それ以上に「ファンじゃない人」を無視したオープニングをやってくれたものだ。最前列にいながらも、後方の客の戸惑いぶりが空気として伝わってきた。

 そればかりか、ステージ上の田島もなんだか若干エンジンがかかっていない感じ。というのも、このステージ、やはり大きすぎるのだ。自分の周囲はもちろんものすごい熱気なのだが、それがいつもの小さいハコのようにダイレクトに田島へ届かない。さらに後方の「戸惑い」が会場全体に蔓延し、明らかに盛り上がりに欠けてしまっていた。それがステージにももろに伝わってしまう悪循環が生まれてしまっていた。  

2.こいよ
 これは「沈黙の薔薇」と同様にジャズベースのアレンジ。ただ、少し野外向けに盛り上がりを強調するような感じになっていた。後半は演奏的にはよく盛り上がる。しかしオーディエンスとの関係は、さらによくない循環に陥りつつあった。

3.築地オーライ (新曲)
 MCなしで突入。始まった瞬間に、走馬灯のようにいろんな思いが頭を巡る。早くもこの曲を生で聴けるという喜びが10%。「やっちゃったよ!」という気持ちが90%。客の戸惑いは最高潮。もちろん、スカパラの乱入なんかなし。

4.ひとりぼっちのあいつ (新曲)
 さらに追い打ち。わははははははははは。もはや笑うしかなかった。

 まぁただこれ、曲としてはやっぱりかなりいいね。「プレデビュー盤」の「Blue Talk」を思い出した。

5.夜行性
 田島のアカペラから始まる、ジャズヴァージョン。ものすごくムーディでシックなアレンジで、田島の歌も冴え冴え。ステージはしっとりと夜の空気に……っておいおい、もう朝だっての。あの朝日見えてる?

6.朝日のあたる道
 どうも見えていたらしい(笑)。  イントロのドラムだけで、ファンの「ホッ」とした空気が流れた。歌いだしたときには後ろの方からも歓声が聞こえて、ようやく雪解けムード。「強すぎる風が今は心地よい」のところはちょっと苦笑いしてしまった。

 この曲はもう、言ってみればライジングサンのテーマ曲。「夜が明けてく」「夏の空が明ける」など、これ以上のシチュエーションの中での「朝日」はない。「明ける空 as time goes by」。歌詞の世界観が、現実の世界と完璧に融合。こればっかりは今までの「朝日」の中でもベストパフォーマンスだ。

7.接吻
 さすがにイントロだけで大歓声。やっとエンジン全開。もうこの時点で朝日はハッキリと見え、すっかり明るくなっていた。でも少し軽めのアレンジに調整し、そんな朝の空気を汚すようなことはしなかった。'95年の「JT Super Sound」の映像を思い出した。

8.フィエスタ
 「最後です」と言ってこの曲。最後がこれならまあいいかな、まだアンコールもあるだろうし。
 これも去年に続いての演奏だけど、これはよかった。やはり野外向けの曲だ。そしてまさに「この祭りの夜を明かそう」!
  「朝日よ、故郷を緩やかに照らせ」という歌い替えもあった(正確に言えば、歌詞相当に間違えていたのでこうは歌わなかったのだけど)。

9.Jumpin' Jack Jive
 いったん引き上げるのかと思ったら、ギターを持ち替えて演奏開始。あれ?さすがに時間が押しているのか?
 アレンジはいつものちょっとゆるい「JJJ」。客への振りももちろんあって、一応盛り上がる。途中、「ライジングサン」「朝、朝、朝、朝」というスキャットに大爆笑(どうやら言葉がうまく出なかったようだ)。古いファンなら知っているだろう曲なのだが、「フィエスタ」の熱は若干落ちたかも。

 曲の後半から、ローディがファイアーバードを準備している。あれ?と思っていたのだが、結局そのままギターを持ち替えて演奏開始。これはアンコールなしだな、と諦める。

10.R&R
 「朝日」以降の流れでようやく温まってきた空気が、イントロと共にまたサーッと冷めていった雰囲気がした。隣にいた女の子は、ホントに帰ってしまった。それなら最前列にしがみつくなよと怒りつつも、若干の同情はある。

 でも、ファンとしてはこれは非常によかった。イントロ、アウトロのノイジーな部分も忠実にやっていたし、「沈黙の薔薇」の演奏よりもまとまりがよかったと思う。なによりもこの曲で〆たというのは個人的にはすごくすごくうれしかった。あくまでも個人的な話なのだが。 この楽しさ喜び、帰ったあの子には一生わかるまい。

 最後は混沌としたノイズの中、終了。アンコールなどスッパリとなし。
 主催者挨拶に続いて、U2の「With or Without You」。こちらもまさにそんな気分だった。I can't live。

 演奏はいつもどおり揺るぎなくよく(とくにリズム隊)、オリジナル・ラヴのライヴらしさはよく出ていた。新曲の精度も上がっていたし、田島のダンスも声も、朝らしからぬいつもどおりの濃さを持っていた。

 しかし、とくにセットリストを原因として、オーディエンスを巻き込むことには失敗したと思う。そういう意味では、ヘッドライナーとしての務めは充分に果たせなかったと思う(もっとも、あの「朝日」1曲でお釣りが来るだろう?という狂信的な意見にも同意はできるのだが)。 「マイナスに懸けて」みたのだろうか? しかしマイナスはマイナスなのだ。


[2004年夏]
[LIVEGRAPHY] [Home Page]
Page Written by Kiku^o^Sakamaki