2000年12月10日(日)
札幌:161倉庫



Sax 松本健一

木村昌哉:sax
安藤邦博:contrabass
塚原義弘:stick
麻生尚志:electronics


さかまき

 前から観てみたかった松本健一の即興演奏へ行ってみました。活動の拠点である東京に居た頃には観られず、遠く札幌で観ることになるとは、なんともはや。

 開演15分前に着いたら、なんかもう演奏が終わった雰囲気。客も誰もいないし。おそるおそる中へ入ると、いきなり松ちゃんに「こんにちは」と声をかけられました。結局、リハーサル直後で、客が他にいなかっただけだったという。さらに店の人に椅子を並ぶのを手伝わされました。

 会場は20畳程度。扉を開けるといきなりステージが目に入る。これまでの入ったライヴハウスやクラブの中でも最小のスペースでした。ちょっとした練習用スタジオよりも小さいかも。

 時間になってもなんと観客3名。一人は演奏者関係、もう一人は松本氏の SAX の生徒さんで、フリーの客は自分だけでした。

 スティックの塚原さんだけが40代後半くらいで、あとは2〜30代の若い方々でした。

 ライヴは、「最近ハマってます」という松ちゃんのそのアコーディオン・ソロからはじまりました。3〜4000円で売っている、鍵盤が1オクターブちょっとのミニアコーディオン。空気を抜く音が悩ましい吐息のようで、蛇腹のギチギチという音と共になんかとてもイヤラシイものとなっていました。他にも、目の前にアコーディオンをぶら下げて(キョンシーの格好)、ぶるぶる揺らして音を出すという奏法もしてました。

 そうしている内に、客席からelectronics, コントラバス、スティック、サックスの順で一人ずつ加わり、だんだん盛り上がる。盛り上がると言ってももちろん音が大きくなるだけ(笑)。メロディもテーマもコードもありません。

 しかし緩やかな構成(ストーリー)を感じられたので、あとで「どのくらい決めてやるんですか?」と聞いてみたら「完全に即興」とのこと。そういう「型」が自然に出るあたりはさすがと思ったのですが、本人たちはやはりそういう壁はできれば壊したいのだそうです。奥が深いな。

 ライヴは休憩を挟んで2部構成。第2部の尺八をフィ−チャリングした方がいい感じだなと思っていたら、やはりみんなそう思ったとのこと。
#第1部は「宗教の集まり」と評されていた(笑)

 その第2部の演奏中に扉が開いた。「誰だよ!?」と思ってちょっと後ろを見たら、髪の長いL?K?Oが! その後ろからノッと現れた長身のシルエット! 予想外の展開に、あとは怖くてもう後ろを見られませんでした。自分は一番前で観ていたので、3メートルくらい後方にプレッシャーを感じつつ演奏を聞いてました(実は半分上の空)。

 ライヴ後に意を決して後ろを見ると、ベースの神田さん以外のメンバーが見事に勢ぞろい。あとで聞いたら、神田さんは小樽の親戚の所へ行っていたそうです。

 田島はちょっと風邪気味なようでした。酒は呑まずにウーロン茶を。松ちゃんがおもちゃのアコーディオンをライヴに使ったのを見た田島、いたく気に入って「明日のライヴでこれ使おうよ!」と笑っているのが聞こえた。(で、13日の大阪からホントに使ったらしい)

 こちらは意を決して「明日のライヴ行きますよ!」と一声かけられただけでした。もちろん、他に声のかけようもなかったのですが…。田島の体調もあり、一行は15分ほど喋ってから帰ってしまいました。帰ってから「L?K?O に『バベル』リクエストしときゃよかった!」と気付く…。

 ライヴ後はそのまま「打ち上げ」になって、誘われるままに参加。会場にそのままおつまみが運ばれて宴会。参加費1000円。フリー客は自分だけだったので、ちょっと歓迎ムードだったのがラッキー。

 オリジナル・ラヴの話を振るのは自粛したのですが、「UnOFFICIAL PAGEの作者」という自己紹介だけはしました。向こうはページの存在を知っていてくれていて、助かりました。しかも演奏していても結構顔は見えているようで、こちらの顔にも見覚えがあったそうです。たしかに最初会釈した時に「おや?」という顔をされたのですが、それだったらしい。

 収録したばかりの BS-FUJI の『WOOD』の話などをしてくれました。松ちゃんはサックスではなくヴァイブ(楽器)を担当したそうです。「最近、どんどん担当の楽器が増えていくんですよ〜」とは松ちゃんの弁(笑)。

 今度はアコーディオンも担当だね、とさっきのキョンシーのポーズで周りから促される松ちゃん。「そんなんやったら、客の9割は引くね」と合意。「でも田島さんはきっと喜びますよ」でも合意(笑)。

 松ちゃんの尺八の話から、そういえば野菜(大根やニンジン)をくりぬいて管楽器に使う人がいたよね、という話になる。

「それ、松本さんオリジナル・ラヴで使ったらいいんじゃないの?」
「ああ、いいねえ。こう、シンセの脇に野菜ダーっと積んどくのね」
「やっぱり鮮度が大事だから(笑)」
「それでインプロ(即興)はじめて、盛りあがったら野菜をステージにどんどん投げていくんだよ」
「それが評判になって、いつのまにか客層が主婦ばっかりになったりしてね。『そっちのダイコンはまだなの!?』とかさ」
「もう名前も『ベジタブル・ラヴ』とか変えてね。いや、ライヴの前とかに別働隊で会場の裏の駐車場とかでゲリラライヴしちゃおうか」
「UnOFFICIAL PAGE からこっそり告知しておいてよ(笑)」

 呑んでいる人で楽器をやらないのも自分だけなら(笑)オリジナル・ラヴの話で盛り上がれるのも(松ちゃんを除けば)自分だけ。でも、全員に話すようにこうやってオリジナル・ラヴの方へも話を持って行ってもらって、その気配りに感謝しました。
 もちろん、共演のミュージシャンの話とか、家族の話も非常に面白かったのですが、割愛。

 即興演奏は聞く側にもある程度の「慣れ」が必要ですが(自分は4、5年前、渋谷ラ・ママへこの手のライヴに通った時期があったので)、音楽的には非常に面白いものです。本能に近いところで音を出しつつも、ある程度のヴァランス感覚を要求とされると。会場の雰囲気とか、アイコンタクトとかそういうのも音に反映されるわけで、「ライヴ」で聞かないと意味がないものです(ゆえに演奏自体のレポートはほとんどできないわけで)。オリジナル・ラヴを聴くほどに音楽に興味を持つ方でしたら、御近所で松ちゃんの公演があったときには、怖いもの観たさで(笑)ぜひ御覧になって下さい。
まぁ、こうして酒を酌みかわせる機会はなかなかないのでしょうが…あと「田島目当て」もやめましょうね

 なお「ベジタブル・ラヴ」の公演予定はありません(為念)。

翌日ペニーレイン24のライヴ


松本健一ホームページ

improviser's dust box(ベースの安藤さんのページ)


[2000年冬]
[LIVEGRAPHY] [Home Page]
Page Written by Kiku^o^Sakamaki