1999年12月11日(土)
Zepp札幌


●セットリスト

  1. (新曲1)
  2. 灼熱
  3. (新曲2・ダブル・バーガー?)
  4. ドラキュラ
  5. インソムニア
  6. ブロンコ
  7. 羽毛とピストル
  8. 接吻
  9. STARS
  10. ミッドナイト・シャッフル
  11. 黒猫
  12. Suspicious Mind(Elvis Presly のカヴァー)
  13. 大車輪
  14. The Rover
  15. ハニーフラッシュ
    encore
  16. ティラノサウルス
  17. BODY FRESHER


さかまき
Aブロック (オールスタンディング)

 今回のXXXツアーで、川崎チッタとともにオールスタンディングでの会場。それを狙い、週末ということもあって、東京や鹿児島から来た人もいた。

 12月の札幌はすっかり冬。開場の20分前に整列が始まったときには小雪が舞い、オーバーをロッカーに預けるタイミングがなかなか難しかった。そんな苦労の甲斐あって最前列正面右寄りをキープ。個人的には、夏の川崎に続き2度目。けれども開演までの1時間は長い。トイレには行けないし、ビールも飲めない(しかも売り子が目の前を通る!)。最前列を取るのはダテではないのだ。

 今回のステージは、ごくシンプル。バックに飾りもなく、意表を突いた仕掛けもない。時間になるとメンバーも自然に登場した。 若干髪を切った(『風の歌』のころくらい?)田島もTシャツ(ディア・ヴァージョン)にジーンズという、また普段着の様な格好。

 しかし注目の1曲目は、絶対に予期できなかった。なんと新曲。インディーズのころならともかく、こんなのはじめてではないのか!? なんの MC もなく、だれも知らないはずなのに興奮のるつぼ。ダンサブルな曲で掴みもバッチリ。そしてなだれこむように次の曲。身体は曲を知っているのだが、頭に曲名が浮かばない。ようやく「灼熱」とわかり、'97年のクアトロの熱狂が電撃のように身体を走っていった。

 「新曲です」という短い紹介でわれに帰ると、木暮さんが重いリフを刻み始めた。歌メロはいつものポップ調なので、なんとなくブラック・サバスが思い起こされた。レコードで聞くとどんなだろうか。

 最前列のため声がよく届く。思うに、女声よりも男声の方が田島の反応がいい。 自分が「ぐおおお!」と叫ぶと(なんか言えよ <オレ)、結構反応してくれた。「燃えろぉ!」と叫んだら、「燃えてるよ!」と言い返された。田島が客席に水を撒いたとき、そのポーズがあまりにイヤラシイ格好だったので「きたねーぞぉ!」とツッコミを入れたら、うれしそうに笑ってこっち指差してくれた(^^)。

 続いて「ドラキュラ」。流れがいい。パーカッション抜きなせいか、『XL』のものとは微妙にアレンジが異なっていたか。だが「インソムニア」は前回ツアー的。ここ最近、毎回奔放なアレンジで楽しみだった「ブロンコ」も、今回は『XL』と同じだったのが残念。

 「羽毛」は、前回までのソウル風アレンジでも小西ヴァージョンでもなく、オリジナルに近いアレンジだった。だがラストでやってくれた。バンドがブレイクして静まったところに、「ぅあ愛してるよ はにぃぃぃぃ!」と田島の絶叫! それを5回も6回も。この暑さ、バカさ加減、これを見にライヴへ来ているのだ!

 ここで田島が動いた。ステージから最前列の柵に足をかける。ダイブの距離を測っているのか!?と見守っていたら、なんと客席から女の子をステージに上げたのだ。伴奏に任せていっしょにチークダンスをし、しまいにはベットへ運ぶように抱きかかえた。この僥倖に与かれたのは二人(もちろん女性)。オリジナル・ラヴファンの全女性が嫉妬すること必至だが、一番信じられなかったのは当の本人だったのかも。終演後に見かけたら、心あらずといった感じだったし。ちなみに、個人的にちょっと期待したのだが、残念ながらギターを弾かせることはなかった(笑)。

 少しスローなこのあたりになって、ようやく木暮さんのギターのよさに気付いた。少し後ろに下がり黙々とリズムを刻んでいる。派手なソロ・ギターも悪くはないが、着々と自分の仕事をこなしているリズム・ギターというものは実にかっこいい。次の「接吻」でも相変わらず素敵で、つい「ナイス・ギター!」と叫んでしまった。(田島が嬉しそうに笑っていたけど…まぁいいか^^;)

 「貞に捧げる!」と MC が入り「STARS」。ライヴではまさに音の塊と化す。とくに変わったアレンジでなくても、いや、ないからこそ満足できる曲だ。

 続いて「ミッドナイト・シャッフル」。歌い出しのソロ部分は、ディストーションのないエレキ一本。田島のエモーショナルな歌は、本当にすごい! 歌の力だけで聴かされたようだった。途中の L?K?O のサウンドのはさみ方も、申し分なし。

 今回は、ホーンが松本さんのみでしかもシンセを兼任、さらにパーカッション抜きという比較的シンプルな編成。音の厚みが気になるところだが、田島&木暮のダブル・ギターがかなり存在感があった上、小さい編成な分だけ個々のパートがよく聴こえた。レコードでは音の厚い「黒猫」を演奏したが、不足を感じさせることはなく、アコーディオン抜きのソリッドな感じは、かえって面白く聴こえた。ここでは間奏で、田島のフラメンコ・ダンスもあり。おバカでたまらなくカッコいい。

 続いて、田島の長く早口な MC により、OFFICIAL ページで予告されていたカヴァー曲が紹介された。「E」ではじまるミュージシャンの曲、というヒントだったらしいのだが、答えはエルヴィスだった。以前よりカヴァーしていた "That's All Right" ではなく、"Suspicious Mind"という曲。明るく軽快な曲なロックンロールナンバーだった。恥ずかしながら元曲を知らないのだが、かなりアレンジしてあるような気がした。ラストを何度もブレークして客に跳ばせ、すごく楽しかった。パーティパーティ。

 今回「大車輪」は後半なのが新鮮。ライヴ向きなので盛り上がれるのだが、アレンジが毎度ながらだったのが残念(この曲、ヒネると案外おもしろいと思うのだが…)。

 「The Rover」も、アレンジはいつもながらだったが、ステージは熱かった。2番のあとの長い間奏で、田島&木暮のツインギターが、「突撃!」とばかりにギターを銃のように構えた。そして衛兵交代のように、曲に合わせてポーズを取る。さすが長年の親友、ナイスコンビネーション。今回のツアーのハイライトと言ってもいいだろう。

 締めは「フラッシュ」。出だしと刻み方が「ラ」だったように思う。

 残念ながら、アンコールを求める声は熱狂的というほどではなかった。うーん、北海道は今年唯一の公演のはずで、見たところ客の入りも悪くはなかったのだが。そういえば最前列なのに、後ろからも押されることもなかったし…。

 そしてアンコールは、重いギターの「ティラノ」。ずっと振り続けてちぎれそうに痛む首をさらに振る。間奏の重さがよかった。ラストは久々の「BODY FRESHER」。これがアンコールなのは珍しいような。メンバー紹介は、またオリジナルな曲に載せながらだった。


[1999年冬]
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Page Written by Kiku^o^Sakaaki