ORIGINAL LOVE presents《BURST!》

第75回 (2000年8月31日放送)


<オープニング>
T「今日は何と超久し振りの登場。グラフィックデザイナーにしてバッファロ
 ードーターのターンテーブリスト山本ムーグ氏がスタンバっております。」
 
M-01.R&R/オリジナルラヴ

<今週のリコメンド>

・音楽性そのままの顔?
 ここんとこずっとレコード買ってなくて…でもこの間久し振りにいいの一枚
買いました。というか何枚か買った中で一枚いいの見っけました。ドクターロ
ックイット。ハーバートっていう名前のDJでしていろいろ変名でアルバム作っ
たリしてる人らしいすけど。この人のアルバムが凄く面白かったですね。エイ
フェックスツインとかリフレックス系のエディットバシバシのハードな打ち込
みあり、そしたら急に歌モノのポップスみたいな曲があったりとかね。凄く変
な雰囲気持ったアルバムで。 コウ君(L?K?O)がこのドクターロックイットに
会った事があってこの音楽性そのままの顔のヤツだった…どんな顔なんだ!っ
て感じですけども(笑)。

M-02.ロマンキャンドル/ドクターロックイット

<談話室バースト!>
ゲスト:山本ムーグ(バッファロードーター)以下Y

・彼等は警告する。
T「はい!それじゃ総決起集会始めます。山本ムーグ!」
Y「(笑)こんにちは。こんばんはか…」
T「(笑)。今日は政治についてとかいろいろこう喋るんですよね?」
Y「政治についてって訳じゃないんだけど。なんか音楽以外でも盛り上がって
 ます。みたいなですね。」
T「あーなるほど(笑)。音楽以外で盛り上がってるって? 」
Y「うん。何かね。」
T「バッファロードーターでフジロック行って来て、総決起…決起する!とか
 言ってピンクのヘルメット被ってビラ配ったりしたらしいじゃないですか。
 あれ何書いてあったんですか?ビラには。」
Y「あれはね、フジロックに出演した7/30日に至るまでの10日間ぐらいの新聞
 1面の気になった見出しの所を拡大コピーしたモノ。」
T「へえー。」
Y「新聞毎日チェックしてたんだけども…凄いんだよその10日間。飛行機コン
 コルド墜ちるわ、オウムのサリン事件で死刑判決出るとかさ、エイズで安部
 さん禁固三年とかもう毎日凄い訳。 だからその…CDなんか聴いてるより全
 然刺激的な訳ですよ。取り敢えずそれ以上言いたい事はまだハッキリしてな
 いんだけど、今こんな凄い所に生きてるんですよ。みたいな事を…それをコ
 ピーして配る事によって…まあそこですよね 。」
T「へえー!あ、そうなんだ。マジっすね結構ね。」
Y「マジっていうかね。いや、普通に俺等会って話しててもさ「ヤバクない?」
 とか言うじゃん。何か普通の感覚それが。」
T「なるほどそうだね。だけどそれを音楽で何だかんだ言う人ってあんまいな
 いもんね今。」
Y「そうなんだよね。うん。」
T「僕とかはでもインタビューで言うんだけどさ。あの…引かれたりするんで
 すけど(笑)。」
Y「うん(笑)。」
T「でもめげずに言ったりもするんだけどね。あーなるほど。」
Y「何かそういう…ちょっとほら俺等は風を読むような職業だからなんかこの
 風の具合が変だなあとか思って。それを人に伝えなきゃいけないと思うのね。」
T「ああ。」
Y「だからフジロックみたいな事やったりとかさ。」
T「なるほど。へえー。でもあれですね、と、唐突、ビ、ビックリですね。
 バッファローでさ…じゃあ結構マジだったんだその…」
Y「マジっていうかね。いやどうなるか分かんないんだけど…でも今そういう
 新聞の見出しコピー取ってフジロックでまくっていう事は俺にとっては凄く
 自然。」
T「なるほど。」
Y「無理してないでの事だから。」
T「へえーなるほどね。じゃあ俺等もやろうってマネしたりして(笑)。」
Y「なんかだから自分の出来る範囲で。」
T「でもあれですよ。僕のニューアルバムビッグクランチとかは…」
Y「うん、警告を発してるよね。」
T「メチャメチャ警告発してるけどさ。でも今回のアルバムはね、警告発しつ
 つもそれをエンターテイメント化しようと思ってたの。それをもっと面白
 化しちゃうっていうか…『セックスサファリ問題はOKとする!』みたいな
 事をいろいろ言ってるけど…なかなかそこまで読み取ってくれると嬉しい
 んだけど。でもライヴでそういうビラ配ったりするっていうのはそれをもっと
 解り易くする作業ではあるな。」
Y「うん。何かねそのビラを配るって行為がカッコイイんだよね。」
T「(笑)」
Y「俺、それ凄い大事だと思う。その姿がカッコイイっていうか。」
T「なるほどね。」
Y「たまたまそれ配ってるとこ写真撮られて。どっかのHPで見かけたんだけど、
 何かそれの俺カッコイイの結構(笑)。」
T「(笑)」

・自分探しは笑えない。
Y「みんながガーッとか手伸ばしてビラを貰おうとしてるんだよね。」
T「あれはだけどね、凄い僕なんかはシニカルに見えたよ。」
Y「あー。」
T「だからムーグさんが政治についてとか急にバッファローで言ってるって
 いうのが物凄い面白いと思ったの。シニカルで凄い批評的だっていうかね。
 笑えるよ。」
Y「その笑えるっていうのも大事だよね。」
T「そうそうそう。っていうのは多分さ、今そういう事を言ったりやったりし
 ないからだよね。何かさ自分探しだーとかそういうレベルでの音楽で終始
 してると…去年一昨年とかっていうかさ。でもそれぞれの個人のレベルでは
 やっぱり自分探しって言葉があれほどポップな音楽として歌詞としてヒット
 する訳だから要するに不安感はある訳ですよ。」
Y「そうだよね。」
T「だけどそれをいろんなだから…その例えばさっき言ったサリン事件だとか
 コンコルド落っこったりとかさ、そういった社会の事件と客観的に結び付け
 ていろいろ論理立てて考える事はもうしないっていうかさ。で、それをまし
 てや音楽で表現する事はしないっていう…音楽っていうのはそういった活動
 の現場ではもうないんだっていう諦めがまず先にあって、スポーツとかレジ
 ャーの一種としてあるっていうさ。ロックがそういった事を表現する場って
 のは70年代に終わっちゃったんだよっていう諦めが最初にあるっていうか。
 だから今いかにハードコアのパンク聴いても僕はスポーツロックにしか聞こ
 えないっていうか…そういうところありますよね。レイジアゲインストザマ
 シーンはそこ違うんだけどそこが。」
Y「そうだね。マジだもんね。」
T「あれは完全にマジでやっててさ。そこがまあ彼等の面白い凄い所なんだけ
 ど。でもね俺レイジアゲインストザマシーンはね、あの政治的な歌プラスラ
 ブソングも歌って欲しいなと思うんですよ。ザックがセックスについてとか
 SMについてとか歌ったらもっとカッコイイと思うんですよね。」
Y「そうだね。うん。」
T「あれにプラスねっていう気がするんだけど。でもね、フジロックでそんな
 事をムーグさんがやったってのは面白いなと思っちゃってさ。」
Y「面白いよね何かね。うん。」
T「そういう浮き方ってのがまたいいよね。」
Y「うん。だからそのピンクのヘルメット被ってやったんだけど、半分ぐらい
 の人はきっと工事のヘルメットのコスプレだと思ってんだね。リポートにも
 工事ヘルメット被ってみたいな事がちょっと出てきたけど。一方でアメリカ
 人の書いたリポート読むとやっぱりスチューデントレボリューションみたい
 な事に触れてあって。あ、これ全然解ってくれてる人と解ってくれてない人
 いるんだなあとか思って…それも凄いオモロイなあと思って。」

***

・「ロック」のない世紀。
T「はーなるほどね。僕まだ読んでないんですけど、村上龍さんの一番新しい
 小説がね…」
Y「『希望の国のエクソダス』ってやつ。」
T「そうそうそう。あれがね、アラブかなんかの…えーと…」
Y「パキスタンのゲリラ。」
T「ゲリラ!そうそう。そこに日本の少年が迷い込んでそこで活動してるのが
 TV放送に映ってさ、そこで日本の子供達が決起!急に盛り上がって決起して
 インターネットの中で何かいろいろ起こすっていう設定らしくてさ。それ凄
 い面白いなと思ったんだけど。村上龍さんってそういった時代に対するメタ
 ファー作りとしてはもの凄い…ラブ&ポップ以降凄い鋭い事をやってんだけ
 どさ。」
Y「そうだよね。うん。」
T「何かね、音楽が…ロックがそういった事について真面目に受け取る場所が
 無くなってくとさ、多分俺もうロックってね…小西さんも言ってたんですけ
 ど、無くなっちゃうと思うんですよこの新しい世紀には。恐らくロックの中
 から男のヒーローみたいなものかつてはありましたけど、絶対もうこれから
 は無くなってね。で、スポーツ選手とかさ、ああいった中からヒーローみた
 いなものが生まれて来るのかもしんない…とか言って。で、恐らくロックっ
 て若者達の文化の中では、まあスポーツもありスケボーもあり…えーと…」
Y「それこそでもあれなんじゃない?ITヒーローみたいな感じなんじゃないの
 かな?」
T「ITヒーローなんですかね?」
Y「実体見えないけど凄い事やってる集団いっぱいいるみたいな。」
T「うーん。でもそこは音楽じゃないみたいな。そのままいっちゃうとさ。で
 もそれ何か悔しいなあと思って。かつて政治的な事を音楽で歌う事ってキナ
 臭いだ何だかんだ言われてたけど今それが無さ過ぎるっていうのあるね。」
Y「そうそうそう。」
T「全く無い。で僕ねエレファントカシマシが面白いなあと思ったのはね、彼
 はドンキホーテとなって言ってるんですよいろいろ。」
Y「そうだね。うんうんうん。」
T「♪大統領!…でもちょっと古い論法なんだけどね彼の場合。一昔前のフォ
 ーク歌手の論法が混じっちゃってる。そこがちょっとあれだなあと思うんだ
 けど。」
Y「でも一応言ってる。」
T「言う。そこを言うんだっていう意志を感じて面白いんだけど。でもそうす
 るとさレコードは売れない訳よ。ほいでさ、リスナーであったりやメディア
 の人達との意識のギャップが物凄いあるじゃないですか。そこですよね。」
Y「まあそれ結構悲観的な話かもしんないけど、やってる方からすれば凄い面
 白い、こっちはもうこれだけテンション高くやっててホント凄い考えてやっ
 てんのに、わー何か冗談でやってんのかな。道化なんだー。っていうそのギ
 ャップが…」
T「それがまたでもね、批評になってるんだけどね。」
Y「それをまた引いた所で見ると凄い嫌だなあと思うんだけどね。」
T「うん。なるほどね。」

***
M-03.ランブリングローズ/MC5

・世界は変わる。
Y「俺さ、これ曲もちろんいいんだけど、最初の喋りっていうかアジ演説?」
T「上手い!っていうかね、カッコイイね。」
Y「そうなんかホントにたたみ込むような感じとか。」
T「『I wanna see my hand!』っつってんのかな?最初。オレの指を見ろ!
 っつってんの?」
Y「なんか分かんないけど。『5秒で世界が変わる』とか言ってるの。思わず
 『That's right!』とか言っちゃうヤツいてさ(笑)。」
T「(笑)」
Y「『そうそう!』みたいなさ。まあ全体としては古いフォーマットだけど、
 本質的な事は凄い…凄いエンターテイメントだと思うんだよね。」
T「うん。今MC5はレイジもプライマルスクリームもカバーしてるしね。やっぱ
 カッコイイですね。流行ってますよね。」

***

・集会。
T「やっぱりね、ロックとか音楽がさ、こうやってイージーリスニングとかBGM
 っていう音楽に今殆どなっちゃってて。そういった事を大多数の人が望んで
 るっていう事もあってさ、ヒットする音楽も非常にBGM音楽がヒットすると。
 グルーヴィーで何か気持ち良くて差し障りが無くて…」
Y「癒し系とかね(笑)。」
T「そうなるとさ、多分ロックの必要性は無いっていうかさ。」
Y「ただね、俺、ライヴとかはまだ面白いと思うんだ。」
T「ライヴはね。うんそうですね。」
Y「今、映像とかも使ってるし、要はマルチメディアショーみたいな感じじゃ
 ないですか。俺は『集会』って呼んでんだけど。」
T「集会!」
Y「人が一杯集まって来てそこで何かが起きる訳じゃないですか。しかも生体験
 でさ。 だからまあ音楽1つ…音っていう事でとれば、それはもう自分達の生
 活の中の1つのパーツでさ。それに全部を込めるっていうのは難しいと思うん
 だけど…」
T「うんうん。」
Y「でも少なくともアルバム作る時とかってさ、言いたい事が無いと作れないよ。
 絶対。」
T「作れないよねうん。でも僕は言いたい事が届かないっていうのがいろいろあ
 るんですけどね(笑)。自分的にはかなり込めてるんだけどね。でもなかなか
 何処まで届いてるんだろ?っていうのはあるんですけど…」
Y「でもそれは多分ね、いい事考えたとするじゃん『これ素晴らしいアイディア』
 とかさ、『このなんかフィーリングが凄いいい』とかさ。でもそれをこう伝え
 る訳じゃん。その伝える技術っていう所がエンターテイナーとしての…」
T「そうだね。芸だねそれが。」
Y「技量なんだよね。」
T「そうですね。それを磨きます!みたいな(笑)。」
Y「そうそう。」
T「僕もね思う訳ですけど。」

***

・国民総エンターテイナー計画。
T「そのまあ伝えるっつってもポップじゃないとダメだと思うんですよ僕は。」
Y「うん。」
T「爆笑問題の太田光いるじゃん。あの人が何かの原稿で書いててさ。バスジャ
 ック事件、あれが若者達の表現だっていろいろワイドショーとかで言われて
 て。『そんなもんは表現であるはずがなかろうが』って言ってて。爆笑問題
 のギャグとかについていろいろ質問されるんだってライターさんから。『あ
 れはどういう意味なんですか?』 『何が言いたいんですか?』って聞かれる
 んだって。で、太田光は『いやそれは別に言いたい事ってのは無い』?意味
 は無い』とか言って…でもホントはあるんだって。でもそれは簡単な言葉で
 伝える事が出来なくてね、ああいった形になっちゃってるんだと。でもそれ
 は独りよがりなもんじゃなくてさ、物凄くポップな、皆さんに伝え易く解り
 易くするっていうの?伝わるような形で磨かなきゃいけない技術があってね。
 『それが芸なんだ』と言っててさ。 だからバスジャック事件を起こして…
 あれが表現だ芸だそんな事はあり得ない。あんなのは表現でも何でもないと
 か言っててね。そうだよなーって思ったりしたんですけどね。だからなんか
 ポップな表現を攻撃的にしていく事っていうのはやっぱりね、今だからこそ
 いろいろみんながみんなやって欲しいんだけど…でもそれは多分僕が思うに
 社会の流れの…ムードっていうのもあるような気もするんですよ。例えば学
 生運動が流行った頃っていうのは高度経済成長がずーっとあって、戦後から
 こうっっていうのがあってさ。で、資本主義がここまで煮詰まってない状態
 であって、若者達の意見によっていろいろ何かが変わるかもしれないってい
 う夢があったんだけど。今僕等っていうのはバブルがあってピークまで行っ
 た高度経済成長があって、それがはじけてこれから日本はどん底に落ちてい
 くと。で、国債…国の赤字がもう何兆円だっけ?我々の税金、俺等の息子の
 世代とかもう物凄い事になっちゃうと。んで、景気も恐らく良くならんだろ
 うみたいなさ。要するに日本はもうピークを越えて下り坂どん底に落っこっ
 て行く事が歴然と分かっちゃったみたいな。 で、それを若者達はやっぱり実
 は感じてる訳であってさ。」
Y「うんうん。」
T「だから僕なんかはね、今こそ国民総エンターテイナーになるべきだ。なんて
 思うんですよ。 だからねこういった暗い事だ何だかんだある訳だから、だか
 らこそそこで面白い事を作んなきゃいけない時期じゃないですか。明るいと
 か景気がいい時にエンターテイメントなモノって作り易い訳であって、こう
 いう時だからこそ作り甲斐があるっていうか。本当にエンターテイメント作
 る事を体験出来るっていうかさ。だから一人一人ね、何か面白い事をやるっ
 ていうのは大事かなあと今思ってて。 ビッグクランチでは割とそういうよう
 な事を言いたいなあと思ったりもしてたんですけどね。」

***

・その本、はっぴいえんどを示す。
Y「うん。僕は村上龍の本で一番心にきたフレーズっていうのが中学生が言うん
 だけど『この国には何でもあります。どんなモノでも手に入ります。だけど
 この国には希望が無い』っていう。」
T「うんうん。あーなるほど。へー面白いね!」
Y「ホントに今希望が無いんだよねえ。」
T「そうだね夢が無いから。だから、あのバスジャック事件とかキレた事件が
 起こって最近何だかんだって言ってさ。これ理由当然でさ。要するに将来が
 無い訳だっていうのを子供達も分かってる訳よ。」
Y「うん。」
T「凄い単純な事であってさ。だから特に男だよね。かつては就職先があって
 今は就職難だ何だかんだあってさ。税金はこれから益々高くなるとかさ…も
 ういい事が全然無い!みたいなさ。」
Y「親の世話しなくちゃいけないとかさ。」
T「そういう事がもう分かってんだよ。だから元気が無いみたいな。だからそこ
 をやっぱねホントエンターテイナーになってドンキホーテになってさヒロミ
 ゴー的なアプローチでもいいんですよ。眉毛にラメ塗ったり髪にラメ塗った
 りして、突っ込んで行く力っていうのを発揮させないとダメかなという風に
 思いますよね。 で、例えばさ、こないだ立川談志も言ってたんだけど『やり
 たい事が見つからないって言う若い子いるんだけど、やりたい事っていうの
 はむしろ世の中にいろいろ提示されてない方がやりたい事が見つかる』って
 いうさ(笑)。なんつったらいいの?やりたい事とかいろいろある訳じゃな
 い、提示されてる情報がたくさんある訳だけど…そうものが全然見えない方
 がかえって欲しいモノであったりが出て来る…とか言って…なるほどなと思
 って。」
Y「うん。」
T「だからそういう事でもあるし。突破しようにもなかなか突破の仕方が見えん
 っていうか…何処を攻めたらいいのか、よーわからんというかさ。」
Y「僕ね、だから、僕もそういう閉塞状況にあって…何かとにかくヤだなと思っ
 たんだけど…今回はたまたまその村上龍の『希望の国のエクソダス』ってヤ
 ツを…」
T「あ、読んだんだ?あれ。」
Y「うん。それで珍しく何かね、凄いハッピーエンドっていうかポジティブな
 話なんだよね。」
T「あ、そうなんだ。」
Y「希望に満ちたような風景で終わるんだけど最後。」
T「珍しいねそれは。うん。」
Y「うん。それが凄い良くて。」
T「はー。」
Y「要はその中学生を中心とした子供達が日本から独立して北海道に独立国み
 たいのを作っちゃうんだよ。」
T「(笑)なるほど。」
Y「そこを自分たちの新しいシステムで運営して。円とかももうやめて…」
T「なるほど。いつもの方法だね村上さんのそのやり方ね。架空のそういう事
 を作ってどういう風になるかってシュミレーションしてくっていう。」
Y「で、風力発電のデッカイ扇風機みたいなのあるじゃないですか。あれがそ
 の街のシンボルっていうか。その風力発電機で電気をおこして国からの電気
 は使わない。」
T「なるほど!国家自立。ちゃんと国として自立して。」
Y「うん。で、そこにミュージシャンの名前が1つ出てきて。坂本龍一さんがそ
 の風力発電のプロペラが回ると音が出るんだって。多分エオリアンハープみ
 たいな物だと思うんだけど。それが幾つもあるのでハーモニーが出来たりと
 か。そこに音楽が出て来んのね。その曲ってホント希望に満ちてるなあと思
 ってね。」
T「はーなるほどね。力強いね。」
Y「うん。いい話だなあと思って。」
T「いつも坂本龍一さんの曲なんだよなそれが。それズルイじゃん!と思った
 りするんですけど(笑)。」
Y「(笑)」
T「何か前の村上龍さんの小説でも坂本龍一さんしょっちゅう出て来る。」
Y「まあ世代的な同士関係にあるっていう事だと思うけど。」
T「なるほど。」
Y「だけどね、それは凄い救われた。読んでね希望が持てた。」
T「それ僕もちょっと。他の人からもいろいろねそれ3人ぐらい今いるよそうい
 う人。凄いんだよ面白いんだよねとか皆んな言ってんだけどさ。それちょっ
 と読んでみたいと思いますけどね。」

***
・土産は買って来てやる!
T「あのー今回のビッグクランチも僕なりにいろいろそういった事をね、ホント
 はサブリミナル込めてるんだけどさ。なかなかね(笑)。」
Y「宣言はしてないけど警告は発してる感じがありますね。」
T「かなり。警告とあとそれをエンターテイメントにする事を薦めたりいろいろ
 してるんだけど。なかなか音楽ってそれを紹介するメディアもやっぱりどう
 したって売れる売れないという資本社会の中にある場合、差し障り無い物が
 受け入れられ易いって事があって。『そこまで突っ込むとよく分かんなーい』
 とかさ(笑)。やっぱり音楽って文学よりもまだ幼いメディアっていうか…
 映画よりも文章よりも、もうちょっと幼い所があるじゃない?そこが凄い残念
 なんだよ俺にとって。」
Y「うんうん。」
T「例えば『マグノリア』って映画あったんですけど、あれ凄い映画だと思うん
 ですよ僕。アイツ結構天才的だなと思ってあのブギーナイツ撮った監督。あれ
 とかもアメリカのいろんな病理とか怒りとかをもの凄く今風に…昔風でもある
 ですけども…メタファーとして提示してる。しかもハリウッドでやってるって
 とこがね、凄い!と思っちゃって。確かにマグノリアは一応日本でもヒットし
 たりとかして。そしてそれを批評するメディアもあったりするじゃないですか。
 でも日本ではなかなかね、そういうような見方する所はさ…やっぱりモーニン
 グ娘とかと同じ(笑)…」
Y「一応『バッファロー娘』と言われてる。」
T「あ、そうなんですか(笑)。という所で見られちゃうとこもあってさ。かつ
 て70年代とかはあったんですね。やっぱ音楽にそういう文学性があったから
 さ。」
Y「でもね、もう話長いからそろそろまとめるけど、俺はだから周りにはそれ期
 待してないのね。だけど何か言って付いて来るヤツには『俺は一人で旅に出る
 !一緒に来たいヤツは来い!(笑)来たくないヤツは家で待ってろ!だけど、
 土産は買って来てやる!』みたいな。」
T「(爆笑)なるほどなるほど。」
Y「『みんな行こうよ』とか言わない訳ですよ。」
T「なるほどそうですね。『土産は買って来てやる』と。」
Y「うん、土産は。やさしいんですそこは(笑)うん。」
T「それだね!はい、思いますね。まとまりました。」
Y「うん。」

***

・今日は本のリコメンドを。
T「それでは今日はもう珍しくね…」
Y「語ったね。」
T「語りまくって(笑)。ブッチ切りで語りまくってました。」
Y「で、まあそういうのもあるんだけど、俺ん中ではアースパンク路線っていう
 のがちょっとあるよね。」
T「(笑)なるほど。」
Y「何かデッカイ景色とかで…だけどパンクみたいな。それは癒し系の自然とは
 ちょっと違って。まあ最近火山とか地震とか多いけど。そういう気分の時に
 聴いてる曲があるんですよ。」
T「じゃそれ聴きましょう。」

M-04.シャンゴ/ムーディーボーイズ

Y「何かちょっと長かったね。まあでもちょっと落ち着いたと。」
T「落ち着いた所で。」
Y「だから俺一個言いたいのは、今回レコード持ってきたけど今一番やっぱリコ
 メンドしたいのは、村上龍さんの『希望の国のエクソダス』この小説。」
T「うんなるほど。」
Y「あれは凄いいい。」
T「そう。読みますよホント。希望とか夢とかっていうのをさ、大っぴらに今言
 う事って、恥ずかしかったり『またまた〜』とか言うねえ…そういう80年代
 90年代の名残りはもう捨てるべきだよっ!」
Y「うん、そうそうそう。」
T「あのねー!そーいったねー!あのねー!!」
Y「(笑)キタキタキター!ちょっと今キタよねー(笑)。」
T「(笑)そそそそ!だからねそういうね!シニカルだ何だかんだ言ってられな
 いんだよ!カッコイイカッコ悪いじゃない訳よ!やっぱりね、ヒロミゴーじゃ
 ないけどね、ああいうドンキホーテ的なツッコミ精神でね!夢とか正義みたい
 なものを文化にね、音楽にね、芸術にね、懸けて行かないとね、ダーメだよも
 うっ!!と思うんすよホントこうなったら本気で。」
Y「うんうん。」
T「それを古いだ何だかんだ言うのはもうね『ウルセエ!』と(笑)。」
Y「そう『ウルセエー!』」
T「そんな気分ですよね最近。そうしないと多分もうダメだなあみたいな気がする
 んですよ。うん。みたいな…盛り上がった!(笑)」
Y「盛り上がったね、うん。」

<エンディング>

・決起せよ!ファックス!!
T「はい、如何でしたでしょうかね。」
Y「いやあ、熱かったですね。」
T「熱かったですね今日は。」
Y「でも毎日暑いけどね。」
T「そうすね毎日ええ。」
Y「俺が一番熱いけどね何よりも。」
T「(笑)そうすね。いやあムーグさんの熱さに俺も熱くなりましたよ。最後は
 言い放ってましたけどね。でもねここで鬱憤がね…何かこう…僕もやっぱりさ、
 ビッグクランチをプロモーションしてていろいろ感じる所があってさ。やっぱ
 り言い放たないとダメな所があるんだなっていう事を凄い痛感してるところあ
 って。今日バーストでまさか言うかとは思ってなかったんですけど。」
Y「いや『バースト!』ってタイトル通りだよ。」
T「『バースト!』ってタイトルにしたのそうだったんだみたいなさ。だからもう
 ガンガンこういった事は言ってこうかと思って。」
Y「ちょっとじゃあ、次はファックス番号とかそういうのも言い放とうよ。」
T「そうですねファックス番号!えー葉書リクエスト感想送って頂きたいんですけ
 ど、宛先は今お聞きの放送局、オリジナルラヴプレゼンツバースト!係までね。
 ファックスは03-3288-8955!」
Y「サン!ニー!ハチ!ハチ!!ハチ!キュー!…」
T「ゴー!ゴー!ね!(笑)ファックス!頂きたいと思います!待ってますね。
 はい!決起する者!みたいな(笑)」
Y「(笑)」

*******

 この回のような放送をすると局に嫌がられるのでしょうか。むしろ選択肢とし
ての番組の拡大すら望むところなのですが。まぁ、深夜向きですけど。聴き応え
のある回でした。


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Listening & Reported by Jun Arai
Page Written by Kiku^o^Sakamaki