11月18日(月)暖かい快晴
んー、どこかで目覚まし時計が鳴っている。どこだここは?ああ?そういえば啓子んちだったな。
目覚ましが鳴ってもすぐ起きる人はいない。かくいう私もそうだから気持ちはよく判る。
判るが啓子、今日は月曜日だ。息子は学校じゃなかったのか?と隣に寝ている彼女をちらっと見やる。
昨夜話をした時確か毎日7時50分にはお友達が迎えに来て一緒に学校へ行くんだと言っていた。
私は枕元に置いた自分の腕時計を見る。今7時だからあと1時間ないじゃんね。
そんな事を思いながらそのまま布団でじっとしている私。だって今私が起きていっても邪魔になるだけで何もしてやれないもんなあ。
そう思っている内にまたしても鳴り始める働き者の目覚まし時計さん。しかし啓子は全く起き出す様子はない。
その内リビングと私たちが寝ている和室を仕切るふすまが遠慮がちにそおっと開いた。「おかあさあ〜ん」 男の子が小さな声でそう言って顔を出した。我慢が限界だったんだろうな。
啓子、啓子と私は隣で熟睡中の彼女には悪いが肩を突っつく。
がばっと起き出したその時時計は7時20分。パーカーを羽織り、その時の行動の早さといったら素晴らしいの一言。
キッチンでカチャカチャきっと朝食の準備。私は7時40分くらいまでお布団にいた。邪魔になりそうだったからね。
そしてリビングへ行くと驚いた事に啓子は椅子に座っていて確かコーヒーを飲んでいたような...。いやそれは私の見間違いだったかもしれない。見間違い、きっとそうだ。そんなに早く支度が終わるはずがないと思いたいで。7時50分、男の子はちゃんと支度をして迎えに来た子と学校へ行く。昨夜は私の相手をしてくれてありがとう。
ベランダに出ると通学路を歩いている子供達がいっぱい。その中に啓子の子供もいた。
しばらくそこから朝の景色を眺めてふとエアコンの室外機の上を見ると灰皿が。
先月啓子のお父さんが来た時のものだと言う。1ヶ月以上経ってるでと突っ込みがてら早速お借りして一服。啓子のご主人は出勤がゆっくりと言う事らしいので4人で優雅に朝食をいただいた。
コーヒーもおかわりを貰ったくらいにして今日も相変わらず図々しい私である。ご主人の出勤時間から逆算して出発時刻が決まった。それまでにゆっくりと支度をする。
化粧をするまではもちろんスッピンだ。ますます図々しい私。
顔を作って着替えてさあ出発。今日は車でイクスピアリだもんねー。ご主人の仕事場に回ってから行く予定。駐車場へ行って車に乗る。リアシートには女の子のチャイルドシート、その横にはご主人が乗り込む。え?私が助手席で運転は啓子?運転は啓子ぉ〜?な、なぜ?なぜなの?
昨夜迎えに来て乗せてもらった時は優しい顔に似合わずかなり運転の方はハードだった。
「そうなのよ〜よく言われるのよね〜」と涼しい顔で彼女はそう言い放った。
いや、それはそれでいい私も人の事は言えないのだから。
だが今はご主人も一緒だ。それに道も混んでいる。マンションから出るその道路は渋滞していた。大丈夫なのか?
「結構混んでるわねー間に合うかしら?」「ああ」と夫婦の会話。私はただ黙って乗せてもらっているだけ。
渋滞が少し動き出した。啓子はちゃんと流れに入れて目的の路線へと車を移動出来るんだろうか?と心配になったがタイミングを見計らって手慣れた様子で軽く手を挙げ、車と車の間に入り込む。かっちょええ〜。もう、心配はしないわよ。だってよく考えたらこの辺りはいつも走っている道なんですものねと思った途端アクセルがグイッと踏み込まれた。やっぱり怖いものは怖い。ちと怖い。プチ怖い。ぎゃー
さらにはご主人の仕事に間に合わないかもしれないとの事で走りながら相談しながらあっち?こっち?と路線を変えて進む。
ホントに道を知ってるんかなと不安になるがご主人の仕事にさえ間に合えばオーライなので見守る。
「どうして平日なのにこんなに混んでいるんだろうねー」
「そう言えば今日はミッキーの誕生日だからじゃないか?」いや、そんな事はどうでもいい。ちゃんと前を向いて運転してくれ。おしゃべりはいいから前だけを見て。
ぐるぐると回ってやっと着いた。何とか間に合ってよかった。
出勤しようとするご主人に「大変お世話になりました」と言う。そしたら何と
「いえいえ、またいらしてくださいね」と言って下さったのだ。何だか感激した。
例え「あーあ、大変だった。もう来んなよ」とか「ひどい日曜だったな」とか思っていたとしてもそんな事は微塵も顔には出さずそう言ってニッコリ笑ってくれたのだ。たぶん思っていただろうな。
こういう時に言葉を濁してしまう男性は多い。「あ、いや...」とか。
なのにやっぱり啓子のご主人は出来た人なんだなと思った。仕事も出来るのだろう。容易に想像が付く。
はああぁぁ〜〜 大人の男とは本当にいいもんよね。
なんつって。ホントに急にお邪魔して騒がしくしてすみませんでした。ありがとうございました。さてそれから啓子と女の子と私はというともう少し車を走らせてイクスピアリへ入った。
か〜わいいお店が一杯あってどこから見ていいか判らない程キュートな空間。
どこもかしこもクリスマスの飾り付けがされていてただ見て歩くだけでも楽しかった。
特に小物のお店はよかったな。洋服屋さんは昨日一昨日とたくさん見飽きてたのでパスしつつそんなかわいい物を見て回った。
その間も女の子は大人しく付いてくる。えらいなあ〜いや、ホントにえらい。
家の娘に爪の垢でもいただきたいくらいだ。しばらく見たらお昼になった。何を食べようかと相談。小さなレディに合わせないとと思って聞いてみたらお寿司がいいと言う。啓子はカジュアルフレンチレストランがいいと言う。親子で火花が散る。と言っても言い合いする訳では決してなく啓子はあくまでも優しくそして結果的にはその小さなレディを言いくるめる形となってフレンチレストランに決定。
席に案内されて座る。メニューを見て同じコースを私はお肉で啓子はお魚を頼む。
女の子はしきりにデザートを気にする。かわいいなあ
そしてふとサブメニューを見るとなんとビールと言う文字が。あれ?ここはディスニーランドの系列だと思って諦めていたのにアルコールがあるのんかー
飲めばと言う言葉に遠慮もせずひとりビールを頼む。啓子は運転手だから勧められない。すまんね啓子。
美味しかった。ビールを半分くらい飲んだところで料理が運ばれてきた。
女の子はお魚が口に合わなかったようで少しだけ食べるがほとんど食べられないようだった。お肉はどうかと一切れ切ってどうぞって言ってあげたがそれもダメらしい。
あらあら可哀想に。でも騒がずにいい子にしている。ますます感心した。支払いを済ませようとレジへ行くと啓子が「いいわよ〜」と言う。
ええ〜っお世話になった上に奢ってもらうなんてそんな事出来ないわと言ったのだけど押し切られてしまって結局ごちそうになっちゃったあらまあ。
うわあ〜まいったなあと困ったけど啓子はさっさとカードで支払いを済ます。申し訳ない。そこを出てからほとんど何も食べていない女の子はママとマフィンを買いに行く。
私は歩く人達を眺めながらベンチに座って一服。ゆっくりした時間が流れる。その時はとてもとてもゆっくりと感じた。
最終日の午後なんだなと意識してしまってもうすぐ旅行も終わるのかあと思うと感慨深かったのかもしれない。マフィンを買ってもらって私の横でほおばるちびちゃん。もうすぐお別れだね。
2時に用事がある彼女らとそろそろ別れる時間が迫ってきた。私はS氏にメール。何時頃どこで逢う?と。
仕事が忙しいんだろう返事はすぐには来ない。取りあえず私はここを出たら東京駅方面に向かおうと思っていた。
イクスピアリを出ようとした直前にS氏から電話。4時頃東京駅でという事になった。オーケイ。啓子に葛西臨海公園駅まで送ってもらう。ホントにお世話になったね、ありがとう。
またおいでよねと言ってくれた。ホントにまた来るかもよと脅しをかける。ニコニコと真顔で。
リアのチャイルドシートに大人しく座っている女の子にもさよならを言う。
私の事を名前にさん付けでずっと呼んでくれていた。たくさんお話をしてくれてありがとう。
あなたが大きく成長するのを私も楽しみにしているからね。啓子の車を見送ってから駅の外のベンチで電話を1本。それから東京駅へ向かった。
東京駅に着いて携帯を見ると電池がまた少なくなっていることに気がついた。丸の内側のインフォメーションでショップの場所を聞く。
先に言っておくが携帯の電池を充電する為には電源を切らないといけないのである。
今どこ?私は丸の内北口にいるんだけどこれからdocomoへ行って充電するからねとS氏にメール
返事は来ない。返事が来ないと電源が切れないじゃんかよ。行方不明者の一丁出来上がりでいいのか?
仕方がないので電話をかける。出ない。
少し待ってメールが来た「充電出来たか?」おいおい。あなたからの連絡がないから行くに行けなかったんじゃねーかーと返事。
やっと連絡が付いたので彼の到着時刻に合わせてそれまで充電してもらう事にした。
4時頃丸の内北口で待ち合わせ。いないじゃんね。まさか隠れていて脅かすつもりでもなかろう。いい大人がなあ。
しびれを切らした私は電話を掛ける。ちょっとーどこにいるのよ?あー、ちょっと一服の為、外にいたんだ今中に入る。あんだと?
そしたら電話を耳に当てながら近づいてくるでかい男が。それがSさん。やあ久しぶり。
女を待たせるとはいい度胸してんじゃんと思ったが側に来てからスッと私の荷物を持ってくれたのでそう思った事は帳消しにしてあげるわ。駅構内の飲めるところへ移動してまだ時間が早いのか誰もいない店内に入る。何はなくともまずはビールだ。
一応乾杯。何に乾杯なのかは疑問だがまあ再会に乾杯って事でいいよね。
旅行はどうだった?と聞いてくれ、夜景がキレイだったーだのたくさん歩いたーだの楽しかったーだのと報告。
それからはいろんな話をしながらビールを飲んで料理はと言えば今回の旅行では珍しくお肉関係のものが食べたくなったので数品頼む。しばらく話をしていて5時頃だっただろうか、旦那からメール
「奥様、お帰りはいつでもよろしいんですが大体何時頃になられますでしょうか?」 ぶっと吹き出す。
返信は「すみません。6時半過ぎの新幹線に乗ろうと思います。よろしくね」たぶんこんな感じ。
それを打っている時にSさんがカメラ付き携帯で私をカシャ。
わっはっは〜それを誰かに送りつけてみようかと意見が一致そしていたずら開始。
2〜3人に送ってみる。ウイットのある反応が返ってきた。やったー作戦成功。
しかし子供だなあ、Sさんは。全く付き合ってらんねえよなあ。
もしかして彼も私に対して同じ事を思っていたかもしれない。いやそれはないな。私は彼と違って大人なんだから。ビールはジョッキで3杯ずつ飲んだだろうか、6時過ぎにお店を出る。
帰りは荷物を持ってくれなかった。いや、その事は今思い出しただけなんだが一言だけ言っておこう。
新幹線の改札に着いて入場券をわざわざ買って送ってくれようとするS氏の後から改札を入ろうとした。
バタン。
え?なに?なんで改札のゲートが閉まるん?酔っぱらいは通せんぼなのかこの東京駅は。
突然の事にちょびパニックになった私。この旅行では一度もそういう事がなくてすんなり通れたのに最後の最後でどうしたと言うんだろう?
電車には滅多に乗らない私はこの旅行でも自動改札を通ろうとする度に内心怖々だったのだが何事もなく無事にこなしてここまで来た。いやだあもう。S氏もおいおいどうしたって顔で見ている。今にもわっはっはと言いたそうな顔だ。
私は訳わかんないという顔を彼に投げかける。笑うなこらとも思う。
そこで何でもわからない事はすぐ聞く私。駅員さんに私が今ほどキッパリと謝絶された券を見せる。ふっ、乗車券で新幹線に乗ろうとしてた訳ね。ああ、はいはい。
言い訳はするまい。すべて私が悪うございましたっ新幹線のホームに上がると乗車待ちの人が列を作っていた。喫煙車を探してしばらく歩く。
ここにするべと列の後ろに並んだ私。そのすぐ後ろはキオスクだった。何か飲み物でも買おうかなと思っていたらば新幹線の中で飲むか?とS氏がビールをひとつ買ってくれた。さんきゅーごちになります。そしてそのSさんが見送ってくれる中荷物とビールが入った袋を下げて乗車。
新幹線の中と外では声が聞こえないので携帯でメールを送って話す。まだ話すかおまいらは。
じゃありがとう、またねと動き出した車内から口だけをパクパク動かしてばいばい。
仕事が忙しいだろうに都合つけて来てくれてありがとでした。目の保養は出来たかな?なあんてな。
しかし彼は仕事の割にはキレイな手をしていた。いや、触った訳ではないのだが乾燥肌の私は羨ましく思ったのだった。新幹線は混んでいた。平日なのに何でだろうと思いつつも自分は窓側の席も確保出来たしビールも飲めてるし快適だったのであまり気にもしなかったけど高崎に着いたらどかどかと人が降りて行った。ああ、通勤電車なのね。
群馬から新幹線で都内に通勤か。うーん、都会で働く戦士達は大変なのだなあと少し同情。
都内で住宅ローンに苦しむよりも群馬に家買って新幹線通勤した方がよいとは何だか判る気もするし。
しかし6時台の新幹線に乗れるとは5時上がりの公務員か?公務員は給料安いからなあ。
がんばれよ公務員たち!終業10分前には湯飲み茶碗を洗って帰る準備をしてるんではないぞ。(と、勝手に決めつけている)そんな事を思っていると急に睡魔が襲ってきた。睡魔と言うより酔っぱらっていたのだろう。
あちこちにメールをして疲れたしちょっと寝ようと携帯をお腹とジーンズの間に挟んで目を閉じる。
あー、目を閉じると酔っているのがわかるなあ。ちょっと具合わりい。うえぇぇ〜。途中で目が覚めて携帯を見ると不在着信があった。振動しても気がつかない程寝ていたんか私は。
それともブルブルしても感じない皮下脂肪がこの旅行でお腹に付いてしまったってえのか?がーん。
などと思って画面を眺めているとちょうどその時再度着信が。
やあ、こんばんは。今新幹線の中だよ、空いてるからこのまま話するわね。と小声でひそひそしばらく話す。
まだボーっとした頭であったが話が出来る事がとても嬉しかった。もうすでに1人は飽きていた。新潟に着いた。在来線に乗り換えて最寄り駅へ着くと駅前には予定通り旦那が車で迎えに来てくれていた。
彼の顔を見て最初に出た言葉は疲れたーでもなくこんばんはーでもなくありがとうだった。
その言葉の中には迎えに来てくれてありがとうと言う意味ももちろんあったが
旅行に行かせてくれてありがとう。子供達を見ていてくれてありがとう。
その他もろもろ盛りだくさんのありがとうという気持ちが含まれていた。
「おー、ちゃんと帰って来てくれたか」
と冗談まじりで言ってくれたのは気を遣って出た言葉だと言うのも判っていた。
そんなところもありがとう。
家に帰ってきた。お風呂に入った。話をした。自分の旅行の話だけじゃなくて私がいない間の家の事子供の事を主に聞いた。
旅行の事などは聞かれたら答える程度でちょうどいい。
まず彼の話したかった事を全て聞こうと思った。徹底して聞き役にまわった。
私が充分に楽しんで帰って来たという事は顔を見ればすぐ判る事だろうから。そうして私は1人の旅行をとても楽しんで、いや、ひとりではなかったね、私の友人とその家族のおかげでたくさん楽しませてもらう事が出来ました。ありがとね。また来年行こうと思ってるよ。
今度はどこへ行くかはわからないけどまた1人で旅行に出ようと思います。なんたってこの旅行で味をしめてしまったんだもんなーわっはっは〜
さあてこの旅行で過剰なほどの充電ができました。読破お疲れさまでしたね。
んなこって明日からまたさらに元気に過ごすぞー(これ以上元気にってか?)ふふっおしまい。
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