水車小屋の風景

6 水車の構造と原理

 

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水車の構造

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入谷の古老

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水下の古老

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水車は外輪に水を受け止める工夫がされています。2枚の輪板を底板で繋ぎ、複数の受板で区切って水を受ける(溜める)箱を複数作るわけです。その外観は美しく、しばしば観賞用にミニ水車が制作されているようです。

 

今朝、久しぶりにお会いした入谷の古老は、水車の構造の話になったら、その仔細を専門家のように話してくれました。先ず、水車は緻密な装置で寸分の違いがあれば、たちどころにガタが生じて用を為さなくなると言います。名工でも、出来栄えがその都度偏るものだそうで、出来上がってみなければわからない、と話しているのをよく耳にしたという。

 

外輪と、円の中心の心棒とを結ぶ為の梁のような物が“くもの手”、これが最低8本。そしてこの複数の“くもの手”を横にそれぞれ繋ぎ、クモの巣状にして堅固なものにするのが“カラミ”というのだそうです。構造は簡単に見えますが、外輪と心棒を常に一体で狂いなく動かすためには相当の技術が試されるというのです。

 

それから、この心棒の延長が(小屋の中で)回転することによって杵を上下に動かし、また一方で、水平方向の動力に変換することによって粉を挽くことになります。詰り、それぞれの仕組みにかなう技術が要求されるのです。したがって、使い出してからも、水車は常時メンテナンスが欠かせないということです。

 

 

一方、農家のUさんから聞いた水車の話しです。Uさんは昭和2年生まれの88歳。水下の一連の水車については子どもの頃、確かに動いていたのを記憶していました。夜、家人と一緒にちょうちんで足下に気を付けながら、水車小屋を往復したそうです。

 

水車小屋には米つきと、粉ひきの別々の機能があり、水下公民館の上(水落)の水車小屋は両方兼ね備えていたと言います。小さい小屋だと、米つきだけでした。Uさんが見た両機能の原理は、一方で軸の回転ごとに上下運動する縦の動力と、他方で、軸の回転を水平運動に変換させた横の動力との併用でした。

 

そして引き水の量を調節することで動力の能力を加減できる、即ちそのスピードや受ける臼の個数を加減することが出来るということでした。米つきだけだと、縦の運動だけだし、臼の数に応じて軸に取り付ける桁の数が少なければ、小屋の規模は小さくて済むという理屈です。

 

水下の水車の能力では一晩で一斗(15キロ)がせいぜいだったとのことですから、その能力からすると、やっぱり一つや二つの水車では水下入谷の精米需要を満たすことは出来なかったようです。