「佐助の牡丹」

単行本 文庫


江戸の植木市
東吾は嘉助の代理で出かけた薬研堀不動尊の植木市で、ひどく思いつめた様子の大店の主人風の男を見かけた。その男は水仙の鉢植を一鉢買い求めた。
梅屋の兄弟
亡父の墓参り出かけたるいと東吾は、浄念寺の墓地で梅屋兄弟の兄弟喧嘩に出会した。その兄弟の子供同士は好き合っていたが、何故か別れた。
佐助の牡丹
佐助という男が、深川富岡八幡の牡丹の品評会で一位になった「白貴人」は自分の作だと言いだした。調べてみると根にしっかり佐助と書かれた紙が巻かれていた。
江戸の蚊帳売り
浅草一の料理屋三国屋の内儀おふさは離縁の訴訟のために、「かわせみ」に滞在していた。おふさは亭主の浮気に腹を立て、実家へ帰っていた。
三日月紋の印籠
畝源三郎の妻お千絵の紹介で母子の客が「かわせみ」に逗留した。八王子から出て来た徳太郎は旗本榊原家の当主主馬の妾腹の子であった。
水売り文三
東吾は回向院の門前で水売りの文三を見かけた。文三は子供の頃生き別れになった兄を探していた。
あちゃという娘
東吾が兄の代理で出かけた柳橋巴川の隠居彦兵衛は心を病んでいた。その巴川の女中頭の娘あちゃが彦兵衛の世話をするようになった。
冬の桜
宗太郎の弟宗三郎が赤ん坊連れの女を助けた。その女は名前も住んでいるところも憶えていなかった。



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