アンケートにご参加ありがとうございました。
皆様が考える「かわせみ、その後」是非お楽しみ下さい。

投稿順(敬称略)
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 こでまり
ある秋の日、るいはお吉と出かけた先で、気分を悪くした初老の女を助ける。
茶店で女を休ませ、多めの心づけを茶店の主に渡して、大川端に帰っていく。

師走のある日、千春や花世、畝家のお千代のお年玉にと、かねて注文していた手鏡を受け取りに、るいはお吉と共になじみの店へ出向いた。子供の手に合わせた小さな手鏡は、美しく漆で仕上げられて、小さな手毬の蒔絵がほどこされている。出来栄えを喜ぶ二人に声をかけたのは、いつか助けた女だった。礼をしたいという女の申し出を受け、るいとお吉はそのまま女と一緒に店を後にする。

場所を変えて、女は改めて手をつき、押上村に住むそのと名のる。るいとお吉も名を名のり、元気そうなそのとの再会を喜ぶ。話の中で、先ほどの店でそのが買ったものにお吉が興味を示す。たしなめるるいの前に、そのは持っていた桐の箱を開けて見せる。そこには見事な蒔絵をほどこした小さな印籠が入っていた。
そのは、以前さる屋敷に奉公していて、その屋敷のご子息へのお年玉にこの印籠を贈ると言う。お年玉にしては立派過ぎるといぶかるお吉の言葉に、そのの話は続く。奉公していた屋敷から暇をとった後、その主が亡くなり、忘れ形見のご子息は今、理由あって伯父夫婦の養子となっている。幸い新しい養父母は我が子のようにご子息を愛しんでくれていて、ご子息も新しい暮らしに馴染んでいるらしい。それだけに養父母の手前、会いに行きたい気持ちを抑えてきた。けれど先日のように倒れてみると、いつまた会えるかと不安になる。しかも、るいたちに助けられたあの日は、亡くなった主の命日で、墓に参った帰りのことだった。そこで思い切ってこのような印籠をあつらえ、今の屋敷を訪ねてみることにしたと言う。自分のようなものがこのようにお年玉を贈るのは、分不相応なこととわかっている。しかし、このようにでもしなければ、今のお屋敷を訪ねるきっかけがないと言うそのに、きっとご子息は喜ばれますよと、励ましの言葉をかける、るいとお吉。

千春を伴い東吾とともに神林家に新年の挨拶に出かけると、ちょうど麻生家からも宗太郎、七重夫婦と花世、小太郎が来ていた。にわかに賑やかになる神林家。楽しいはずのその席で、るいの心は次第に沈んでいく。自分でもわからない胸騒ぎにつつまれていくるい。何かを見ているのに、それが何かわからない。賑やかに会話を交わす大人たち、無心に遊ぶ子供たち、それらをぼんやりと眺めるるいの目が、一つの物から離れられなくなる。それは麻太郎が身につけていた印籠であった。なぜ、そのが主の忘れ形見のためにあつらえた印籠を麻太郎が・・・、主はすでに亡くなって・・・、今は伯父夫婦の養子となり・・・、まるで兄妹のように似ている麻太郎と千春・・・、それらを頭の中で繰り返し、自分をつつみこむ不安の源に至った時、るいは思わず手にしていた湯呑みを落としてしまう。取り乱するいの周りに、心配した子供たちが駆け寄る。麻太郎に差し出された手ぬぐいを、とっさに振り払ってしまうるい。戸惑う麻太郎の目。静まり返る部屋。叔母様はご気分がすぐれぬようじゃ、次は東吾と凧揚げでもてに参れ、と言う通之進の言葉に救われる一同。不調法を詫び、惨めな気持ちを抱いてるいは、宗太郎、七重夫婦に送られ大川端へと帰る。

七草を終えて、東吾は航海に出かける。自分の気持ちの中に沸いたことを誰にも打ち明けられず、るいは一人悶々とした日々を送る。そんなある日、神林家から使いが来る。千春の誕生日の祝いを用意したので、一度訪ねてもらいたいとの話。ちょうど居合わせた宗太郎が、これから一緒に出かけようとるいを誘う。東吾は当分帰ってこない。正月のことを思うと、とても一人で行けないるいは、宗太郎の言葉に従う。

 緊張して入った座敷には、あたたかな笑顔の通之進が待っていた。先日の不調法を詫びようとするるいの前に、「少し、痩せたのではないか。」と言葉をかけながら、通之進は一通の手紙を出す。それは多度津から江戸へ帰る清水琴江が、まさかの時のために通之進に宛てた手紙であった。促がされて読むるい。読み終えて気がつくと、香苗、宗太郎が、るいを守るように座っている。改めて琴江の幼い時の不幸な出来事を話す宗太郎。
「東吾には、その時が来たら、わしからるいに話すと厳命しておいた。もう少し先のことと思うていたが、るいは気がついていたのだな。」
何も答えられず、うなずくるい。
「るいには辛い思いをさせてしまったな。」
「いえ、そのような・・・。」
「香苗の前だが、わしも東吾の立場なら、同じことをしたと思うぞ。」
「姉上の前ですが、私も東吾さんの立場なら、やはり同じことをしたと思います。」
それが言葉どおりとは思わないが、そう言ってくれる気持ちに、心の中の塊がとけていく思いのする、るい。
「男の勝手と思うかもしれぬが、東吾はるいを裏切ってはおらぬぞ。それは信じてやってくれ。このとおりだ」と手をつこうとする通之進。驚いて押しとどめようとしてるいは、通之進の目が潤んでいることに気づく。香苗の目も、そして宗太郎も。
「私が、浅はかでございました。東吾様に裏切られ、自分ひとりが何も知らされず、のけ者にされていると思い込んでおりました。でも皆様すべてご承知の上で、私のために、時を待っていて下さったのですね。それなのに私はあのように取り乱し、麻太郎様を傷つけてしまいました。本当に、申し訳ございません。」
「おるい様は、何も悪くないのですよ。麻太郎も今は何も知りません。いずれ時を見て、旦那様がお話下さることでしょう。でも、そうなっても、麻太郎は私どもの子供です。ですから、今すぐでなくてよろしいから、いつかおるい様も、麻太郎の本当の叔母様になってあげて下さいましね。」
「姉上様・・・。」それだけ言うのがやっとで、あとは涙を止めることのできないるい。
「さあ、涙をふいて、千春ちゃんが待っていますよ。」と言って、祝いの品を渡す香苗。
「このように、お心遣いを頂きまして・・・。」
「こうでもしなければ、おるい様にこちらにお出で頂けないと、宗太郎様がお知恵を出して下さったのですよ。」
改めて、兄夫婦、宗太郎の心配りに感謝する、るい。
「子は大人が思う以上に敏感なもの。千春も口にださずとも、心配していたことであろう。早く帰って、るいの笑顔を見せてやってくれ。」
「はい。」

航海から帰った東吾を、どんな顔で迎えればよいのか不安がないわけではない。でも今は、少しでも早く千春を抱きしめたくて、宗太郎に送られ大川端へと急ぐるいだった。

 
今後の展開・・・と言うより突拍子も無い想像(希望)です。
実際の女医さんの歴史はよく知りませんし、知っていてもここでは敢えて無視させていただく事にします。 花世ちゃんに、父親である宗太郎さんの跡を継いでいただき、女医さんになったらおもしろいなと思います。父娘医者で評判をとる、なかなかいいと思いませんか?
とても行動的なお嬢ちゃまですし、先見の明を持っている人たちに囲まれているのですから、何か大きい事をしなければもったいないと思うんですよね。花世ちゃん活躍による、捕物、犯人探しが見てみたいですね。

 紫陽花
東吾は、将軍上洛にともない、軍艦乗組仕官を勤める。
大政奉還、その後の将軍慶喜の行動に幕府の終わりを感じた東吾は戊辰戦争、五稜郭の戦いには参加せず、操練所の仲間からは非難される。
新政府が樹立すると神林家は武士を捨て平民として生きる道を選んだ。
東吾は自ら選んだとはいえ幕臣でありながら戦争に参加しなかった事、武士を捨てた事、畝源三郎が江戸を去った事などが重なり落ち込むことが多かった。
るいとしては自分たちを選んでくれたうれしさはあるもののそんな東吾の姿を見るのはつらかった。
源三郎は妻が実家の仕事をたたむこともあり、静岡藩に移住する事になった。
旧幕臣たちは牧之原台地を開拓し茶を植え、今につながる。平成の世まで続くのは、源三郎が植えた茶と、長寿庵のそば。本所の医院は昭和の戦争の空襲で焼失、跡取の戦死で終る。
「かわせみ」の東吾は新政府から出仕を命じられ再び軍艦に乗るが、海の事故で亡くなる事になる。るいは東吾亡き後も「かわせみ」を続けたが、千春が政府の役人のもとに嫁ぎ、孫が生まれた後「かわせみ」を閉じる。
晩年のるいは千春夫婦の離れに住み孫たちに囲まれ安らかな最後をむかえる。
明治*年 夏
「お加減はいかがですか」
このところ病がちで寝付いているるいのもとに七重が見舞いに訪れる。るいは体を起こし、せみの鳴く庭をながめる。
「先ほど宿屋をやっていた頃の夢をみました」
「それは懐かしゅうございますね。東吾様はいらしゃいましたか?」
「いえ、いたのは犬のシロだけで…でも、楽しゅうございました。…本当に…」
るいが亡くなったのはそれから数日たった明け方。庭の朝顔は今を咲けとばかりにいくつもの花を咲かせていた。 るい享年78歳。

 あん
るいさんには ずーと 御宿かわせみを続けてほしいものです。
東吾さんには上との意見の相違から役目を辞し 維新を迎えてほしいものです。戊辰戦争にはかかわらずに。
源さんには 捕り物を続けて欲しいのですが維新後は無理と思うし性格的にもやらないと思うけど。
東吾さんと源さんには悪いことには立ち向かい人を助け人と共に生きていってほしい。

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