「湯の宿」では、後半かなり文章を変えています。また源さんと東吾さんを坊っちゃまと若様と入れ替えたのは何故でしょうね。


湯の宿
変更点
その年の江戸は二月になってから大雪が三度もあり、大方の家が屋根を傷めたり、床下の根太がゆるんだりしたが 傷め→傷めたり
ゆるんだが→ゆるんだりしたが
嫁にいって二男一女に恵まれたところで、亭主に先立たれた。 一男→二男
八つになっていた長男の武一というのを、塔の沢で宿屋をしている兄夫婦に子供がなかったので養子にやり、三つだった次男の幸吉は結城の知人にもらってもらい、自分は五つになったお吉を連れたまま、 三つだった次男の幸吉は結城の知人にもらってもらい→追加
三つ→五つ
「ちょうど、かわせみは休みですし、 『かわせみ』→かわせみ
(以後同じ訂正)
二人が他人でなくなってから、十日も別れ別れになっていたことは滅多になかったからで、 かつて→滅多に
るいは眼を閉じて、せつなげに繰り返していた 叫んでいた→繰り返していた
たまに同心から貰う金もが知れている。 多寡→高
「婆さんの話だと、教えたようです ようだ→ようです
「おそらく、仕返しでしょう。盗人の逆怨みという奴ですかね……」 だろう→でしょう
だが→ですかね
「治助を見殺しには出来ません 出来ん→出来ません
兄のところへ帰ってみると、義姉の香苗が旅袴や手甲脚絆まで用意して待っていた。 屋敷→ところ
「大方、東吾がお出かけになるだろうから仕度をしておくようにと、 どの→様
香苗の差し出したには路銀から旅の通行切手まで入っている。 包み→包
陽気のいいのにまかせて、夜旅をかけ箱根へ着いたのは翌々日の午すぎであった。 削除
翌日→翌々日
あの子の前では、治助の昔を、どうぞお話しになりませんようにお願い申します 願います→お願い申します
娘の年齢は十四か五か、治助が江戸を去ったのが今から十五年前とすると、その前後に誕生したと思われる。 娘の年齢は十四か五のあと改行削除
「これは、畝の旦那の坊っちゃまでございますね。そちらは、もしや、神林様の弟の若様ではございませんか」 若様→坊っちゃま
坊っちゃま→若様
流石に勘がよいと、東吾も源三郎も舌を巻いた。 切れる→勘がよい
仁吉のような極悪人にも、こうした可愛い娘が誕生したことを思いますと……」 削除
泉屋の隠居であるお吉の母が行火を持って来たのは、五ツ(午後八時)すぎで、 九ツ→五ツ(午後八時)
二人とも、旅の疲れが出て、忽ち健康な鼾を立てた。 夜旅をかけた→旅の
女の着物は脱衣所にあって、それは浴衣だが 岩滝が客に出している浴衣と丹前→浴衣
それにしても不思議なのは、財布に金が殆どなかったことである。 それにしては→それにしても
「女中には疲れたから早寝するといて、五ツ(午後八時)前に布団に入ったようでございます」 九ツ→五ツ(午後八時)
夜具→布団
子細らしく指を折る者の出てくる。 子供→子細
(これは文庫のミスプリと思われます)
斜面がみえた。林の中で人が争っている。女三人と男二人である。るいがお信をかばっていた。男二人は脇差を抜いている。 るいが小太刀を抜いていた。男二人も刃物を持っている→変更
「治助、よくも騙したな。 よく→よくも
治助の手に山刀があった。 脇差→山刀
叫びながら、もう一人が治助にむかって白刃をひらめかす。東吾が小柄を投げ、それは男の肩にささった。 東吾より先に、るいがその刀を横に払った→変更
治助を諦めて、お信へ向った男に、お吉が横から体当りをする。 るい→お信
「いい子ですねえ。血は水よりも濃いなんて、誰がいったか嘘っぱち……」 嘘っ八→嘘っぱち
充分すぎる見舞金を残したるいに、何度も礼をいい、 多額→充分すぎる
陽炎が燃えている、おだやかな東海道であった。 陽光→陽炎


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