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「初春の客」の主な変更点は、まず場所の訂正。「かわせみ」の場所は当初柳橋となっていたのが大川端町に訂正されました。次にるいさんの年齢。二十五歳から二十二歳に若返りました。またるいさんの父上庄司源右衛門が与力となっていたのが同心に訂正。あとは登場人物達の言葉遣いが、それぞれのキャラクターに合わせたように訂正。また年代を特定出来る事柄は削除されています。 |
初春の客 | |
文庫新装版 | 変更点 |
南町奉行所の吟味方与力をつとめている兄の屋敷は | 北町奉行所→南町奉行所 |
屋敷を出る時から、心のどこかで、今夜は大川端町の、るいの許へ行くつもりがある。 | 柳橋→大川端町 |
豊海橋の袂から少しはずれて「御宿かわせみ」と小さな行燈が夜霧の中に浮んでみえる。 | 柳橋の紅燈→豊海橋 |
「それが、びっくりしたんですよ」 | しちゃったんですよ→したんですよ |
老番頭の嘉助が表戸の桟を下した。 | 嘉助を追加 |
そうじゃありませんけど、東吾さま、ごらんになったでしょ。 | さん→さま |
二年前までは八丁堀で鬼同心といわれた男の娘である。 | 与力→同心 父親→男 |
以前の奉公人が |
よく→削除 |
今年の初春で二十二になった筈のるいであった。 | 二十五→二十二 |
黙って、すわっていた嘉助が口をはさんだ。 | 老番頭→嘉助 |
まあ町家のかけおち者か、媾曳かでしょうが・・・・・・。 | 逢引→媾曳 |
「仕様がないでしょう、泊めちまったんだから」 | ないわ→ないでしょう |
もう、夜の仕度が出来ていた。 | いる→いた |
かすかな物音が、その時、頭上でした。 | 頭上に→頭上で |
三年ほど前、長崎に出張を命ぜられた兄嫁の父、目付役麻生源右衛門について、 | 兄→兄嫁の父、目付役麻生源右衛門 |
帳場で不寝番をしていた嘉助が | 帳場に→帳場で |
「しまった |
ッ→削除 |
「 |
申しわけございません→削除 |
「こんなこと…… |
困っているなら→削除 |
子供の時から、学問も剣術も同門の親友で | 剣道→剣術 |
「昨夜は町廻りでしてね、誰かさんのように、朝帰りでした」 | な→ね さん追加 |
さるお方のお忍びがありましてね | な→ね |
黒い犬をつれて逃げたという話がありましたよ | な→よ |
昨夜四ツ(午後十時)頃に寮から人が出て | 四ツ追加 |
その二人が、やがて、大川端町のかわせみに現われた | 柳橋→大川端町 |
キャプテン・イワノフ→削除 | |
舟はゆっくり、豊海橋の袂に着く。 | 柳橋近く→豊海橋の袂 |
源三郎はそこで、東吾と別れた。 | だけを下ろした→と別れた |
兄嫁の香苗はいつもの調子でおっとりと笑っている。 | 嫂→兄嫁 |
どこへ参るのもよいが、 | 出かける→参る |
東吾が兄嫁の父親と共に長崎へ行っている間に | 兄→兄嫁の父親 |
「ろくな噂とは、なんですか、義姉上……」 | 噂って→噂とは |
「源三郎の手伝いはよいが無茶はならぬぞ」 | 「どこへ行くのもよいが、行く先を香苗にいって行け・・・・・・馬鹿・・・・・・」 |
兄の声を背中にきいて、東吾は屋敷をとび出した。 |
削除 |
「 |
遺体を→削除 |
これから、もう一度、現場 |
検証→削除 |
昨夜、丑の刻(午前二時)近くになって | 追加 |
廻船御用達→削除 | |
納戸や台所 |
、風呂場→削除 |
「これは、おきよめ |
料→削除 |
「いいってことよ」→削除 | |
源三郎になにかささやき、返事を聞いて又、ひき返して行く。 | 追加 |
「忠助っていう白鼠が、東吾さんのことを訊いたそうです」 | あんた→東吾さん そうだ→そうです |
町奉行所の同心の殆どが世襲であった。 | 八丁堀→町奉行所 |
老中を招待してなにを企むのか |
・・・・・・を削除 |
公然と袖の下を受取りに行く | 受け取り→受取り |
「それも、町役人のお手当の中に入っているということですか」 | 八丁堀→町役人 な→か |
おえらいさんはなにを考えているのだ | か→だ |
ここ数年、露国船がしばしば樺太を侵し | ロシア→露国 |
幕府は |
削除 |
町奉行所の一同心も冷飯食いの次男坊でさえも | 八丁堀→町奉行所 |
用人にうながされて、 | 追加 |
「こうして飲むのは、東吾が長崎から帰って以来か」 | 追加 |
昨年の冬発熱し、半月ほど病床に親しんで以来 | 長崎から帰って→昨年の冬 |
「義父上からうかがったが、長崎滞在中、 | わしが長崎にいた時→変更 |
兄嫁がまじめな顔できいている。 | 嫂→兄嫁 |
「では、義父上はどうなのですか。 |
兄上→義父上 削除 |
兄嫁が赤くなった。 | 嫂→兄嫁 |
「かわせみ」へ出かけてその話をした。 | るいの宿→「かわせみ」 |
阿蘭陀さんのあいのこさんじゃありませんか」 | ないかしら→ありませんか |
流石に、鬼同心の娘で、 | 与力→同心 |
長崎から上方へ、上方から江戸へ、 | 大阪→上方 |
るいは眉を寄せた。 | 怒らせた→寄せた |
たしか金座・銀座の招待に | 金銀座→金座・銀座 |
麻生源右衛門が長崎で | 兄→麻生源右衛門 |
東吾は大胆にるいを抱き |
削除 |
「どこでどうしているんでしょう。 |
世の中、上をみたらきりがないし、下をみてもきりがないって本当ですのね→かわいそうな人たち・・・・・・ |
「与力の女房にゃなりたくないのか」 | 奥方→女房 |
「かわせみ」まで戻ってくると、本当に雪になった。 | 柳橋→「かわせみ」 |
ものもらいが祠の縁の下にひそんでいるのだと、 | 乞食→ものもらい |
あたしはあなたが泊った宿の者ですよ。 | あんた→あなた、です追加 |
小ざっぱりした嘉助の着物を着せられて | 客→嘉助 |
日本語はたどたどしいが話せて、 | たどたどしく喋れて→たどたどしいが話せて |
ここを出て品川へ行く途中、 | 大川端→品川 |
「女の居場所がわかりました……」 | わかった→わかりました |
「明日、雪見の会が催されることになっています」 | なった→なっています |
降りしきる雪をみての俄かな発案という。 | 計画→発案 |
蔵前の札差、守田屋小右衛門の別宅が、 | 峯岸→守田屋 |
これは、南北の奉行にそれだけの決心と実力がありさえすれば、大捕物になるべき筋のものであった。 | これは大捕物になるべき筋のものであった。 南北の奉行にそれだけの決心と実力がありさえすれば、→変更 |
削除 | |
東吾が太刀を掴んで立ち上った。 | 大刀→太刀 |
だが、半刻近く走り続けて、 | 一刻→半刻 |
夜が明けかけた品川の浜であった。 | 追加 |