「花冷え」の主な変更点は、るいさんがお参りに行った先が水天宮から富岡八幡に変更、柳橋が大川端に、嘉助の娘の嫁ぎ先も変更されました。安産祈願だったらやっぱり水天宮の方がピッタリくるような・・・


花冷え
文庫新装版 変更点
大川端の「かわせみ」という宿の 柳橋のはずれにある→大川端
上りかまちにるいがすわって 上がり→上り
るいが足音を忍ばせて戻って入って来た。 削除
もともと、八丁堀の同心の娘だったから 与力→同心
殊に東吾訪ねて来た日には が→の
「女一人じゃないんですよ」
馴れない手つきで煙管に煙草をつめて、るいが差し出した。商売女のように器用に吸いつけるなぞという真似はとても出来ない。
削除
きまりが悪いんでしょう、きっと……」 気まり→きまり
「お嬢さん、よろしゅうございますか よろしいですか→よろしゅうございますか
お宿をお引受けしたら、から男が入って来て 外→後
番頭の嘉助が外へまわって男をみて来た。 老番頭→番頭
番頭の嘉助は、むかし、るいの父親が八丁堀で鬼同心といわれていた時代の配下の捕方に奉公していた小者である。 老番頭→番頭
与力→同心
の配下の捕方→削除
湯島聖堂で同門だった男が役目で大坂へ発つことになり 大阪→大坂
二月ももう数日で終りという日であった。 幾日→数日
尾花屋の座敷から海がよく見える。 広座敷→座敷
例によって畝源三郎と二人連れであった。川風がまだ冷たいので猪牙はやめ、どこかで辻駕籠でも拾おうという腹づもりである。 削除
「千代次が、その女なんです な→か
つくづく眺めてみたが間違いなく同一人と思えるんだ。 思えるんで、→思えるんだ
岡場所のような女を金で縛って稼がせる世界では システム→世界
「場所柄、出前が多いんです な→削除
二階が長助の住いらしい。店のほうで倅が愛想よくお辞儀をし、女房が先に立って階段を上った。 居間→住い
蕎麦屋のほうは長男が継いでいて、本来なら隠居の身分というところである。→店のほうで倅が愛想よくお辞儀をし、女房が先に立って階段を上った。
座布団と煙草盆を出して下って行く女房と入れかわりに 煙草を一服している中に→煙草盆を出して下って行く女房と入れかわりに
湯桶に入れて来た蕎麦湯を茶碗に注いでから、
「千代次のことをおたずねと申しますと……」
若い時分に女房をなくして、ずっとやもめを通したとかで、茶をいれる手つきも堂に入っている。→湯桶に入れて来た蕎麦湯を茶碗に注いでから、
うっかりやかましいことをいおうものなら 変な→やかましい
そんな話をして東吾と源三郎は外へ出た。 長助が呼びに来て、→そんな話をして
たまには義姉上とのんびりおすごしになるのも たまたま→たまには
るいが八丁堀同心の娘であった時分 与力→同心
大川端町で宿屋をしているという。 柳橋の近く→大川端町
兄が書類から眼をはなさず話しかけているのが 喋りかけて→話しかけて
水野越前守が風紀紊乱の故をもって岡場所取締りにかなり強硬な意見を持っているらしい 水野越前守が→削除
東吾は太刀を掴んで帳場へ出た。 大刀→太刀
ひきすえているのは番頭の嘉助で 老→削除
「痛えっ、腕が折れる、助けてくれ っ→削除
東吾がついて豊海橋ぎわの自身番へ追って行った。 柳橋→豊海橋
遠くから来たらしく、女の乗って来た町駕籠が橋の袂にいる。 遠くから来たらしく→削除
酔ってあばれたというだけでは、入牢の上、吟味というわけには行かない。 肉親が金を持ってもらい下げにくれば渡さないわけには行かない→入牢の上、吟味というわけには行かない
るいがおまいりに行きたいといった為である。
行った先が
富岡八幡の境内で、桜が三分咲きである。
水天宮→富岡八幡
「ここは安産の神さまなんだろう」
「そうですよ」

「お前、まさか……」
削除
老番頭の嘉助の娘が神田飯田町の木綿問屋へ嫁いでいて 日本橋の料理屋→神田飯田町の木綿問屋
社務所から白い布の包を抱えて、拝殿へ戻って行く女がいる。 授かって→抱えて
戻って→削除
木かげに東吾が立っているのも気づかず 暗闇→木かげ
半年ほど前から、千代次に通いつめて、 三月→半年
我が子が死ぬのを目前でみる気はしなかったんでしょう」 眼前→目前
そういう時のために役人にわたりをつけている こね→わたり


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