オケラのくりごと  得の日

 昨日は定休日。 万両の種を80の小さなビニールポットに蒔いた。 昨年暮に頂戴した万両が、赤い実を一杯に着けたまま春を越し、その上の段の白い花が満開になる今頃まで頑張って落ちずに店頭を飾って来た。 このままでは新しい実の実りが悪いのではないかと心配だったが、取ってポイと捨てるのも可哀相だし、勘定してみると96粒残っている。 これだけあれば得の日プレゼントに使える。 と言うわけでこれを店頭で五ヵ月間育て、うまく行けば12月19日にお客様に配ることになる。 掛かった費用は約千円也。 種代と手間を抜きにすれば一鉢12円50銭である。 当日お持ち帰り用の袋を考えなければならないが、一回の得の日の費用としてはまァまァだと思う。 育てている間、揃って伸びる80の若芽が店頭を飾ることになるし、話題にもなることだろう。 何年か前の二月、然したる理由も思いつかないのに売上げが突如前年比大幅に落ち込んだ。 驚き且つ店の活力減を心配したオケラは、当時本部が提唱し始めた得の日と、オケラが独自に企画した毎月五日のたまご(05)の日を、手遅れにならぬ内にと次の月から始めることにした。 それから何回やっただろうか。 六日が五日になることはないし、十九日が二日続くことはあり得ないと、休業日にぶつかっても共に延期はしないから、夫々年に十回程度だが、様々なことをやった。 たまごの日は生卵食べ放題で、行事としては単純。 これがきっかけでジャワの玉入りが病みつきになった人や、しゃけごはんの卵かけが好きになった方もおられるが、大抵はオーソドックスに熱いうどんに入れる。 食べ放題と言っても、行事の定着化に伴い、二個以上を要求する方はいなくなったし、生卵の嫌いな方が割に多いことも判った。 一方、得の日プレゼントは、野菜サラダ、殻付きピーナッツ、ひとめぼれで炊いたご飯、スイートコーン、ゆで卵等、飲食物の場合は、夏の盛りのアイスクリームやトッピングの時を除いて、セルフサービスの飲み放題・食べ放題が原則。 四月の花の種や、十一月の百円うどん等恒例になったものもあり、ヤクルトや雪印から宣伝を兼ねて提供を受けたこともある。 この七月の予定は、オレンジジュース、コーラ、ウーロン茶等の飲み放題。 今度は何にしてやろうかな、と考えるのは、アイデアの勝負と共に、浪費の喜びに一脈通じる所があるようで、同じ‘月に一回’でも、この原稿やその他のことと違い、結構楽しいものである。 この効果? オケラの店ではこれで上げる力よりも、この他の下げる力の方が強いみたい。 それにしても、今度は29日が期待されているらしいのには弱っちゃうネ。

−−−−−−−−−−1993.07記


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