第53回 第2部 シンポジウムC「食物アレルギーをめぐって」抄録

アレルギーエデュケーターの役割


大阪府済生会中津病院 林 奈津子


 平成21年度に日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会により小児アレルギーエデュケ
ーター制度が資格認定された。育成されたコメディカルスタッフが、コントロール困難な、
難治喘息・アレルギー疾患の予防、治療に医師とともに中心的な役割を果たすことを期
待されている。患者やその保護者が主体的に自己管理出来るような関わりや患者との
パートナーシップを確立して、アドヒアランス向上するような患者教育が必要であり、小児
アレルギーエデュケーターがその役割を担うのである。
 講習会や認定試験を経て、平成22年度に第一期生として小児アレルギーエデュケータ
ーと認定されたが、資格取得後も活動状況に大きな変化はなく、どのようにエデュケータ
ーとして活動するべきかと模索していることが現状であった。そんな折、近畿ブロックの
連絡協議会が立ち上げとなり、他の施設のエデュケーターの活動報告の中でも同じよう
な悩みや不安を抱えており、資格取得後の活動状況が思うように進まないという現実が
みえた。
 そこで今回、第一期生のエデュケーターにアンケートを実施し、エデュケーター資格取
得後の現状と現在の活動や取り組み、抱える問題や期待などを確認する機会を得た。
 アンケート調査を実施して分かったことは、@資格取得後、それぞれ悩みや困難を抱
えながら、エデュケーターとして活動している。Aエデュケーターとして認知度が低く、活
動に支障をきたすことがある。B色々な困難を抱えながらも、エデュケーターとして求め
られている役割は果たしたいと思っている。Cそのためには、学会、職場環境において
もエデュケーターについての認知度を高めたい。Dまた、エデュケーター同士の研修の
機会や研究会や勉強会を通してスキルアップの機会を得たいということであった。
食物アレルギー患者に対しては、外来もしくは入院をしてもらい、アレルギー負荷試験を
実施している現状である。食物負荷試験での入院は、日帰りもしくは2泊3日と入院期間
が短く、対応に追われることで充分に家族と関われていない。そのため医師や外来看護
師と連携を図り、入院前にカンファレンスを実施し対応や負荷入院の意義の確認をおこ
なったり、外来で入院時の対応ができるよう関わっている。
現在エデュケーターの活動の場所は主に病棟や外来などが多く、なかなか地域医療と
の関わりが持てない状況にある。限られた環境で、限られた患者さんにアドヒアランスの
向上を図っても、全てのアレルギー疾患に悩む患者、家族を救えるには及ばない。その
ために、エデュケーター同士が連携を図り、お互い協力し合うことが重要となる。地域の
クリニックでもエデュケーターを育成していただくと、今までよりも地域との連携がスムー
ズになり、より多くのアレルギー疾患の患者さんと継続的に関わることが可能となる。
さらに、エデュケーターの存在を少しでも多くの方に知っていただき、活動の場を広げて
いきたいと考えている。

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