アンの青春の明日が輝く言葉−第107回 松本侑子ホームページ
しかしそのおかげで、家の飾りつけやご馳走のしたくに気をとられることなく、モーガン夫人と、深い会話をすることができたのです。 私たちは、人をお招きすると、とかく掃除やお出しする料理にばかり気を使って、肝心なこと……お客さんとじっくり話をする、よく話を聞いてあげる……が、なおざりになりがちです。 「おもてなしにやきもきする」は、新約聖書「ルカによる福音書」にある一節です。イエスがある家を訪ねたとき、一人の女性は「おもてなしにやきもきして」忙しく立ち働き、イエスの話をよく聞きませんでした。しかしもう一人の女性は、何もしないで座り、イエスの話にじっと耳を傾けました。 おもてなしも優しい心づかいですが、お客さんの気持ちとのふれあいが二の次にならないように、という意味をこめて、モンゴメリはこの文章を書いています。 松本侑子
『アンの青春』(モンゴメリ著、松本侑子訳、集英社)より引用 著作権保護のため、無断転載を厳禁します |