アンの青春の明日が輝く言葉−第79回                 松本侑子ホームページ

「デイヴィはまだ小さくてわからないのよ」と言ってから、アンは恥ずかしく思った。アン自身、幼いころ、いつも大人から同じように軽くあしらわれたのが、胸の痛む思い出になっていたのだ。だからどんな子どもにも、まだ小さいからわからない、などとは決して言うまいと堅く誓ったのではなかったか。それなのに、今、言ってしまった。

                        
『アンの青春』第18章

 忙しいと、つい子どもと正面から向きあう気持ちの余裕がなくなって、「子どもだからまだわからないの」とか、「子どもだから知らなくていいの」などと言い捨てて、軽くあしらってしまいがちですね。
 でもどんなに小さな子どもでも、そんなふうに軽んじられたことを、きっと悲しく感じていると思います。それをアンのように、頭ではわかっていても、なかなか暮らしのなかでは理屈通りには実行できませんが、心がけたいですね。そして大人の家族にも、話しかけられたら、きちんと答えたいと思います。

松本侑子 


『アンの青春』(モンゴメリ著、松本侑子訳、集英社)より引用
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