アンの青春の明日が輝く言葉−第78回
松本侑子ホームページ
アンとミス・ラヴェンダーは、話し疲れると、暖炉の前の敷物(ラグ)に腰をおろした。暖炉の火が客間を柔らかに、ぼんやりと照らしている。炉棚(マントルピース)には、ミス・ラヴェンダーが作った薔薇のポプリが置かれ、ふたを開けた器から、うっとりするような芳香が漂っていた。しかし外は風がひゅうひゅうとうなり声をあげ、軒先を吹きすぎていく。雪はどさっどさっと窓にあたり、嵐の精たちが中へ入れてくれと窓ガラスを叩いているようだった。
ミス・ラヴェンダーのこだま荘にて
『アンの青春』第23章
外は凍えるような吹雪でも、家のなかは暖かく、ミス・ラヴェンダーが初夏につんだ薔薇で作ったポプリが、甘い香りを放っています。暖炉の熱でポプリが温められて、なおさら香りが部屋中に広がったのでしょう。
冬の雲がたれこめ、天気が悪くて気持ちが沈みがちなら、さああなたも、春や夏の匂いのするすてきなものを、部屋に飾ってみましょう。あるいは、あなた自身を、芳しく香らせましょう。
松本侑子
『アンの青春』(モンゴメリ著、松本侑子訳、集英社)より引用
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