翌朝、アンは早起きして、新しい一日を晴れやかな気持ちで迎えた。朝日は光の旗をかかげ、真珠色の空を揺さぶるように意気揚々とのぼってきた。グリーン・ゲイブルズはまばゆい朝日をさんさんと浴び、風にそよぐポプラと柳の葉陰がちらちらおどっている。小径のむこうにはハリソン氏の小麦畑が広がり、黄金色(こがねいろ)に実った麦の穂が風にゆれ、さざ波のように寄せては返していた。あたりの美しさに魅せられたようにアンは庭の門にもたれかかり、十分ばかり幸せな気持ちでうっとり見とれていた。
『アンの青春』第20章
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 日本の水田では、黄金色の稲穂が実っていますね。美しい秋の朝、さわやかな空気を吸い、ゆたかな実りの光景を、うっとりと見つめるアンです。
松本侑子
『アンの青春』(モンゴメリ著、松本侑子訳、集英社)より引用
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