アンの青春の明日が輝く言葉 第143回
結局は、アンのように、「想像力と非凡な能力」にめぐまれているほうが、いいのだろう。それは人が授けることも奪うこともできない生まれつきの才能であり、人生が神々しい姿に変わって見えたり、また人生の真の姿があらわに見えたりする。その才能を通して物事を見れば、すべてが天国のような光できらめいて見え、輝きと新鮮さ(栄光とみずみずしさ)に包まれるのだ。それはマリラやシャーロッタ四世のように、平凡にしか物事を見られない人たちには見えないのである。──『アンの青春』第29章
第29章は、「詩のように見る人、散文のように(平凡に)見る人」という章題です。
マリラは、人には2種類あるのだと、悟ります。
アンのように、物ごとを詩的に見る「想像力と非凡な才能」に恵まれている人。
もう一つは、マリラのように、物ごとを散文的に平凡に見る人……。
アンのように詩的に見る人は、何を見ても、すべてに輝きと新鮮さがそなわって見えます。しかし、マリラには、ありきたりの風景にしか見えないのです。
モンゴメリはこの一段落のなかに、詩人ワーズワースの2つの詩から美しい一節を引用しています。『イクスカーション』と『幼い日を思い返し、不死を知る頌』です。
さあ、あなたも、世界を、輝きと新鮮さをもって、見つめてください。(松本侑子)
※訳注つき全文訳『赤毛のアン』(集英社文庫、840円)の第3刷が発行されます。
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