アンの言葉 NO.153

ある日マリラは、隣にいるアンの方が背が高いことに気づいて、はっとした。「あらまあ、大きくなったねえ!」マリラは信じられないといった面もちで言った。そしてすぐに、ふっとため息をついた。アンが自分の背を越すほどになり、なぜだか妙に名残惜しい寂しさをおぼえたのだ。マリラに人を愛することを教えてくれた小さな子どもは、いつのまにか跡形もなく消えてしまい、そのかわり目の前には、すらりと背が高く、真剣な眼差しをした十五歳の少女が、思索的な顔つきをして、小さな頭を誇らしげにそらして立っていた。

──『赤毛のアン』(松本侑子訳・集英社文庫)第31章

★十代、二十代のころは、アンの気持ちによりそってこの物語を読みました。しかし訳者として関わった三十代からは、アンを育てるマリラの喜びと悲しみがより深く胸に迫るようになりました。

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