小説集『引き潮』(幻冬舎刊 1365円 2004年9月)
あの日、人生の潮の流れが変わった……。
実らなかった恋、許されない恋、若すぎた恋、忘れられない恋
すぎ去った日々を追憶する甘く切ない小説9編

各作品の内容
「赤萩の家」──結婚式を1か月後にひかえた夏の夕方、散歩に出かけた25歳の「わたし」は、夕立にあい、古い農家で雨宿りをしたところ……。

「帰郷」──雪国の冬休み、大晦日からお正月を家族とすごしている12歳の歌子のもとへ、同級生の佐々木君がやって来た。彼は3学期から転校して行くという……。

「お湯が入るまで」(書き下ろし)──銀座のふぐ屋に入った辻田治は、ふと思い出す。初めてふぐちりを食べたのは、25年前の大阪、大学1年の時だった。連れて行ってくれたのは、バイト先の美しい女社長だった……。遠ざかっていく青春を回想する40代の男のほろ苦い感慨と現在が交差する短編小説。

「ツバメ」(書き下ろし)──離婚して沈んだ心をかかえた「わたし」は、大阪環状線に乗りこみ、二人の娘の会話をふと漏れ聞いた……。ささやかな日常にほのかに光る一瞬を切りとったスケッチ掌編。

「男の厄年」──会社員の良介は、同期入社の邦夫に出世で先を越され、どうも職場では今ひとつウダツがあがらない。妻も子どももいるけれど、若い女性にも大いに興味があって……。厄年の男の心と体の揺れ惑いを描く、ユーモア小説。」(次へ)

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