本書の巻末「あとがきにかえて」より抜粋

『文学紀行の楽しさは、憧れの物語の土地へ行くことです。 愛読してきた小説の土地を旅することは、いつも、わくわくする胸のときめきに満ちていました。
「本で読んで、ずっと空想していた土地に、今、立っているのだ」という感激、そして「本に書いてあった○○は、これだったのか!」という発見、理解が深まっていく喜び……。
小説にしても、映画にしても、その物語を知らない人には、ただ通りすぎてしまう何気ない風景かもしれません。
けれど、ひとたびその土地にちなんで書かれた物語に夢中になった人にとっては、何気ない田舎町が、ただの港が、心を揺さぶるようなロマンや、美しい叙情、ドラマチックな感慨が漂う夢の王国になるのです。それが物語の舞台をたずねる喜びの一つではないでしょうか。
本書の取材も、イタリア、スペイン、ドイツ、ベルギーと、それぞれすてきな思い出の残る旅をしました。……』
カバーのイラストは、実家の父に描いてもらいました。趣味で油絵、水彩画、水墨画を50年以上描いています。
このイラストは、ローマのスペイン階段です。
第2章に取りあげた映画「ローマの休日」で、オードリー・ヘップバーン扮するアン王女が、イタリアン・ジェラート(アイスクリーム)を食べながら、グレゴリー・ペック扮するアメリカの通信社の記者ジョーと一緒に、のぼっていく階段です。
この階段をのぼっていくと、視界がひらけて、ローマの街並みが一望できます。人気の観光地です。
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