EASY84シリーズその3「フリースローマスター」(2002)

EASY84シリーズとは、PIC16F84を使って簡単な電子工作を楽しもうという企画である。



3回目はセンサーを使う。
センサーと一口に言ってもさまざまだ。
今回は、光を検出するしくみを利用する。

ところで、私はゲームセンターにあるフリースローゲームが好きである。
別にバスケットの経験があるわけではない。ただ単に放りモノが好きなのであるが。
ひたすらバスケットゴールめがけてシュートし、制限時間以内に何点決められるかという 単純ではあるが、速さと正確さがともに必要な、とても奥深い(どこが?)ゲームである。

またゲームセンターによっては高得点で景品もゲットできたりするから、さらにやる気も増す。
とはいえ、いつも今一歩のところでゲームオーバーになってしまう。
もともとうまいわけではないので、仕方ない。やはり練習しないとだめなようだ。

そこで、自宅で密かに特訓できるフリースロートレーニングマシーンを製作することにする。
これで特訓してゲームセンターで輝かしい戦果を挙げるのだ。

バスケットゴールに時間計測と得点集計のしくみを取り付けるのである。

さて、得点集計にはボールがゴールを通過したことを検出するしくみが必要である。
このしくみに光センサーを利用しようというわけだ。(やっと出てきたよ、本題が。ふぅ〜)

しくみを説明 しよう。
発光部と受光部があり、通常、発光部からの光を受光部で受けている。
ボールがこの間を通過すると、光が遮られ、受光部に光が届かなくなり、 受光部の信号が変化する。
右図の例で言えば、通常は受光部に光が当たることにより 抵抗Rに電流Iが流れ、Vo=IRとなる。(上の図)
ボールによって光が遮られると、電流が流れなくなりVo=0になる。(下の図)
この変化をPICで読み取ればよい。
ちなみに光が遮られたことを検出するので、遮光センサーといえる。




部品

バスケットゴール
バラエティショップなどで売っているものである。


光センサー発光部
高輝度赤色LEDを使用する。

光センサー受光部
フォトトランジスタを使用する。
フォトトランジスタは、トランジスタのベース電流が光に置き換わった動作をする。
光の強さによってコレクタ電流が変化するわけである。


サウンド
ゴールした時に発生するサウンドである。市販のドアチャイムを利用する。

回路図

回路図はこうである。

時間表示と得点表示にそれぞれ2桁の7SEGLEDを使用する。
これをマトリクスに接続し、ダイナミックスキャン方式で点灯する。(点灯のしくみは 「おもかるくん」の製作を 参照)。
これで11bit(RA0〜3とRB0〜6)使用。
その他、センサ検出入力(RB7)とスタート入力(RA4)で2bit。
あっ、13bit使い切ってしまった。サウンド制御ができない〜。

というわけで、サウンドはPICで制御せず、センサー信号をそのまま使うことにした。
さて、サウンド用のドアチャイムユニットであるが、スイッチ接点部分の回路を追ってみると、



これなら、簡単にインターフェースできる。
スイッチ接点Aに電源電圧を加えてやればよい。

さらにこのドアチャイムの電源は単3×3の4.5Vなので、本体回路の電源もここからとることにしよう。
これで、ドアチャイムも同じ回路内で動作させることができる。


製作

1.基板の製作
ユニバーサル基板に部品を取り付け配線する。
電源、サウンド制御、センサ信号はコネクタにする。



2.センサの取り付け
アルミパイプを短く切断し、素子(発光部はLED、受光部はフォトトランジスタ)にかぶせる。


ゴールリングの両端に穴をあけ、発光部と受光部を完全に向かい合わせになるように取り付ける。
これがずれていると正しく動作しないので、位置決めは慎重に行う。


3.サウンド部の製作
電源スイッチを取り付ける。
表示部とはリード線で接続される。


4.装置の取り付け
角材を加工して、表示とサウンド部を取り付け、バスケットゴールに固定する。


5.パネルの取り付け
LED表示が見やすいように赤色透明のアクリル板をつける。
テプラ等を使ってラベルを作り、貼り付ける。


6.完成



遊び方

1.スイッチを入れ、スタートボタンを押す。
2.時間表示が5秒前からのカウントダウンを始めるので、シュート位置まで離れて準備。
3.カウントダウン終了とともに時間表示は60秒からのカウントダウンになる。さあゲーム開始だ。
4.ゴールめがけて、打つべし!打つべし!。ゴールが決まるとサウンドとともに得点表示がカウントアップ!
5.こうして時間が0になるまでの60秒間で何点ゴールできるかを競う。 当然のことながら、制限時間内のゴールでなければ、得点カウントされないしくみになっている。(ただし、サウンドは鳴るが。)

動作のようす(サンプルムービー) (MPEG 1.16MBytes)


製作を終えて

なかなかよくできた。
しかし、リバウンドしたボールがあらぬ方へとんでいってしまうのは困りモノだ。
ワレモノを片付けてからプレイすべし。
ボールも1つだけでなく、たくさん用意したほうが楽しい。
ってたって、そんなスペース、ウチの中にあるのか?


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