コータはお腹の中でよく大運動会をしていた。
キックやヒジテツも好きだったらしく私はいつも痛い思いをしていた。
「いて、て、て、て。こら、静かにしとかんか。かあちゃんのお腹が痛いやろ」
三人目ともなると、母親業もずいぶんと慣れてくるから恐ろしい。予定日直前まで働いていた。
お盆も過ぎた頃、どんどんとお腹が下へ下がり、いつ生まれてもおかしくないような状態になっていった。
「うーん、9月の頭は棚卸でどうしても休めないのになあ。これ、大人しくして、かあちゃんがイイヨって言うまでお腹の中にいなさい!分かったね」
無事、棚卸も後の人に任せられる状態になり、「ん、もう生まれてもいいよ」って言ったら、本当に翌朝生まれてきた。なんとも親孝行な子であった。
生まれてからもむやみに泣くこともなかった。お腹がすいたときと、オシメのときぐらいで、他の子に比べてもとても育てやすかった。
ことに、泣きべそシンジの後だっただけに、その大人しさは驚くばかりだった。
しかし、人間油断大敵である。コータが大人しかったのはつかの間のことだったのだ。
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