首輪物語
瀧澤ニャー
ホビット県、ホビット郡、ホビット村、字ホビットで暮らすホビット(小人)の風呂奴(ふろど)の元を「灰色の魔女」と呼ばれる魔法使いガンダルフ子(贋田流布子)が訪れた。
ガンダルフ子 「大変なことが分かったぞ」
風呂奴 「な、なんですか。やぶからぼうに」
ガンダルフ子 「お前のしているその首輪! それが恐ろしいアイテムであることが分かったのだ」
風呂奴 「これがですか?」
風呂奴は、自分の首にはまった首輪を指差す。
ガンダルフ子 「そうだ。ちょっと見てみろ」
ガンダルフ子は風呂奴の首根っこを掴んで、暖炉の炎に近付けた。
風呂奴 「アチチ」
ガンダルフ子 「見ろ、首輪に文字が浮かんでいるだろう。読めるか?」
風呂奴 「…いえ、読めません、ていうか見えません」
ガンダルフ子 「そうだろう。悪の国モルドールの言葉だからな」
風呂奴 「…そうですか」
ガンダルフ子「お前には、この首輪の恐ろしさが分かっていないようだな」
風呂奴 「はあ」
ガンダルフ子 「この首輪はかつて魔王サウロンが作り出した、強力な力を秘めた首輪なのだ。この首輪をはめている者は、いずれは魔王の奴隷と化してしまうのだ」
風呂奴はきょとんとして、ガンダルフ子を見返す。
風呂奴 「…それは、別に今と変わりませんですね、女王様」