ベーコンを食べて「おお!薫製!」と言いたいあなたに
−作り方編−


大体、毎年、夏頃にベーコンは仕込みます。
薫製は風乾といいまして、数日陰干しにして薫製にする物の表面を
乾かすので、実際は寒い季節の方が作りやすいのですが、
自宅で煙をぼんぼん出すのは
やはりためらわれるマンション族ですので、大概はキャンプに合わせて夏に作るのです。
でも、今年は客人が多かったためか、ベーコンの消費が早かった。
そして、今週末には相方の会社同僚が大挙してやってくる。
しかも、なぜかその同僚達、自作ベーコンの話を聞き込んでいて
それらを楽しみにやってくるというから、さあ大変。
んじゃあ、まぁ、家でやっちゃいますかということで、
今回のベーコン製作に至ったわけであります。



1.
まずは、豚バラ購入。
折角作るなら大量に、と、某有名業務用スーパーにて
豚バラを4キロ余り購入。塊肉です。「豚!」って感じです。
今回は自家製パンチェッタの作り方のサイトも見つけてやる気満々ですので
3分の1弱をパンチェッタ用にとりわけ、正味3キロのベーコンづくり。


2.
まずは豚バラの表面にフォークで親の敵とばかりに穴を空けます。
穴が空いたら、肉を漬け込みます。 私の場合は非常に適当ですが、肉1キロくらいに塩大さじ2・砂糖大さじ1。
こしょう、香辛料はお好みで。
今回(いつもだが)は、こしょうたっぷり、ローズマリーの枝数本、タイムの枝数本
ベイリーフ数枚。
これらを、バラ肉に手でぐいぐいとこすりつけます。
今回は3キロの肉がボウルにあふれんばかりでかなり苦労しました。
肉が少ない時はビニール袋に肉と香辛料を全て入れて
ビニールごと揉み込んでしまうのが楽です。
(このへんの写真はありません。HPに載せるか、と思い立ったのが遅かったので・・すいません)


3.
全体に香辛料が回ったらジップロックなどの袋に入れて
空気を抜くようにして密閉してください。
これを冷蔵庫に入れます。
野菜室などで1週間から10日ほど。
日に一回ほどは上下を返してあげてください。

今回、肉の量が多すぎて、入るジップロックが家になく・・。
ビニール袋二枚重ねです。お恥ずかしい。



4.
肉を塩抜きします。
今回、デジカメを会社に忘れたのでちょっと逆フライングで
塩漬け期間が10日以上・・。あぁ、塩漬けは一週間にしてくれ派の相方に怒られる。
(相方はつまみに食べたいので、塩辛すぎない方がいいらしい。)

肉を出したところ。ベイリーフとローズマリーが見えます。
粉末と違ってフレッシュを丸のままの場合、もう少し多めに入れる方が
いいのかもしれません。(実際はよくわかっていない)


肉が浸かるようなボールに水を張り、始めは10分ほどで水を換え、
そのあと数回それを繰り返した後に、水道から水を細く出しながら
2〜3時間塩抜きをします。
塩抜きの目安は端っこを少し切ってみて、フライパンで焼いた物を
食べてみてください。

だから、肉の量が多すぎて、全部入るボールが無いんですってば。
これは我が家で一番大きい鍋。今回は塩漬け期間が長かったし
相方に怒られたくないしで、水抜きはかなり長目。



5.
肉を水から引き上げ、水分を拭き取ります。

新聞紙にペーパータオルを重ねて肉を並べているところ。
脂の白さが「白デブ」って感じで嫌悪感を誘います。



6.
表面の水分をとったら、日の当たらないところで、乾かします。
期間は2日ほど。
薫製は表面の乾いたところに煙がよく付くようです。
燻った味をしっかりつけるには、ここでしっかり乾かすことが成功の秘訣です。
私の場合は、北側ベランダにネットに入れて二日間風乾しましたが
暑い季節や、外で干す用意が無い方はぴちっとシートなどの
脱水シートを使って冷蔵庫で脱水するのも手です。

私愛用のネット。アウトドア用品や魚釣具屋で売っています。
何かと便利なので、手作り好きな私のような人にはひとつ持っておくことをお勧めします。


−脱線−
さて、ここで脱線。
今回何気なくレシピを復習していたら、ケーシングの機械が無くても出来るサラミの
レシピを発見してしまいまして、居ても立っても居られなくなり、
横浜まで出て豚腸を買って参りました。
豚バラ、牛切り落とし、塩、スパイス等を刻んで混ぜて豚腸(太めのやつです)
にスプーンなどで詰めるということだったので、嬉々としてチャレンジしたのですが
いやあ。これが大変で大変で。
肉を腸に詰めるだけで2時間以上かかりました。
でも。
今回試行錯誤の末、自分なりのやり方を発見したので
又作るでしょうね。きっと。でも、他の方には勧めません。
見合わない労力を強いられますゆえ。

肉を練ります。サラミなので、脂が多め。


苦心惨憺、肉を詰めているところ。
もう、シンクが脂で、白光りしております。手も何もかもがねっちょねちょ。
ちなみに私はスプーンは使いませんでした。絞り出し袋利用。



詰め終わりました。実は長いのを一本作ろうと思っていたのですが
詰めている間に途中から破れたりなんだりで大騒ぎ。
でも、結果オーライでした。このサイズが薫製しやすかった。



7.
薫製の用意をします。
我が家には「いぶすくん」というスモーカーもあるのですが
いぶすくんは小さくて、庫内の温度が上がりすぎるのと、
一遍に薫製出来る量が限られてくるので
家でやる時は中華鍋と段ボールですることにしています。
まずは、中華鍋にアルミホイルを敷き詰めます。
そして、その中央にチップを置くわけですが、
私は、アルミホイルで皿状のモノを作り、そこにチップを入れています。
ベーコンは脂が大量に落ちるので、その脂がチップを浸してしまうと
旨く煙がでなくなったりするので、それを防止するため。
以前、鍋底を脂まみれにし、見事な蒸し豚を作り上げた経験から得た
高い勉強料の末の工夫だったりします。

そうそう。スモークチップの代わりに、茶殻と粗目砂糖でも代用できるようです。
私の母はそうしていましたが、私作のベーコンを見た時に「あんたの方が色艶がいい!」
と言って、次の日に彼女もチップを買いに走っていました。
この辺は好みでしょうか。
ただ、思い立ったら家にある物でも出来るというのは非常に良い。

見にくいですが、中央のチップは
アルミホイルの皿に入っています。



8.肉を並べます。
準備をした中華鍋に網を置きます。
先ほどの工夫が無駄にならないよう、肉はチップの真上には置かないように。
チップの真上は空けて、煙が庫内によくこもるようにしましょう。

これで3キロの半分のバラ肉。隣には吊しながら燻す予定のサラミ。


9.
スモーカーの部分は、酒屋でもらってきた段ボールです。
中華鍋のサイズに合ったものをもらってきました。
庫内をなるべく広くしたかったので、底と蓋部分も延ばして
高さを出しています。
蓋は、別の段ボールで作りました。
中華鍋に触れる下の部分は、熱で焦げたり発火する虞もありますので
アルミホイルで覆ってください。
私は横着して下部分数十センチにしかアルミホイルを貼りませんが
うちの母は、内部全面をアルミホイルで覆っていました。
でも、そこまでしなくても平気です。全然平気。

こんな感じ。見た目は最悪ですが、使い捨てなのでこんなもんです。


10.
ちなみにサラミは蓋に穴を空け、凧糸を通して、その凧糸にぶらさげています。
本当はベーコンもこのようにしてぶら下げる方が熱が通り過ぎず
(網の上に置く方法は、熱源に近い分、熱が伝わりやすく、
温度管理に気を遣わないと焦げる可能性があります。)
全面に燻るので良いのですが、スペースや重さの関係もあり、今回はサラミだけを
こうして吊しました。

手は私の。子供みたいな手って言うな。


11.
まずは、鍋を熱して煙がチップから立ってきたら、段ボールをかぶせ、火を弱めます。
段ボールと鍋の隙間から煙が出てきますので、その隙間は適当に
アルミホイルなどでふさいで下さい。
煙の感じは経験なので、なんとも説明しにくいのですが、小さい隙間からは
ちょっと勢いよく煙があふれるくらい。
でも、煙だらけと言う感じではないくらい。(すごくわかりづらい)
たまに、蓋をすこーしずらして煙の様子を見てください。

匂いも気になるし、面倒ではありますが、
慣れるまでは途中で蓋を開けて様子を見ることを
お勧めします。
1時間くらいで一旦火を止めて、煙がおさまってから蓋を開けてみてください。
ベーコンの色が燻されて茶色になっていれば、そのまま続行OKでしょう。
あと、チップが足りなくなっていないかどうかも。
始めの頃はこの辺の加減も難しい。
(私は未だに・・・・)


12.
だいたいこの調子で3時間位燻していきます。
このページを書くために改めてネット検索したところ、
ほとんどの方が5.6時間燻されているようでした。あれ?
私も次回はそうしてみようと思います。
燻し終えたら、火を止めてしばらくそのままにしておき、
あら熱がとれたら一つづつラップで包んで保存します。
燻したては不思議な酸味がありますので
食べるのは翌日からが美味しいです。

薫製前・薫製後。ここまで色が違います。脂も落ちて締まっています。

上記の説明では、燻したては美味しくないと言っていますが、
毎回、そのときの出来が知りたくて、出来たてを少し食べてしまいます。
今回はやはり塩がきつめではありましたが、しっかり燻されていて
「おお、薫製!」感は非常に満喫できるものでありました。

今日はこれで野菜炒めです。
ベイクドポテトも捨てがたい。

サラミも美味でありました。
トースターなどでちりちりっと炙ったのを酒の肴に最高であります。
唐辛子やコチュジャンを入れるのも良さそう。

さて。作りたくなった方は是非、豚バラを買いに走ってください。
私は「安さが勝負!」で選んでしまいましたが、新鮮な良い肉を使えば
更に美味しいそうですよ。

蛇足ですけど、吊して薫製したサラミ。
当初あんなに曲がっていたのに、出来上がりは真っ直ぐでした。
更正させたい方が居る場合には薫製にしてみるのはいかがでしょう。


モドル




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