■ 秘宝堂 [Nikon F50D] Page 1/3

menunext

 

なぜF50D様?

 F一桁様に代表される、高級なNikon様については、NSKを筆頭にあちこちでその偉業が語り尽くされた感があります。

 では、中級・初級のNikon様は?中級はまだしも、初級のNikon様、それも近年のAFタイプの一眼レフ入門機に関しては、ちょっと寂しい気がします。

 そこで、F50DPANORAMA様に、私は焦点を当てて見たいと思います。

 これは、私の所有した最初のNikon様であり、思い入れのある機体です。

エントリークラスのNikon様

 今でこそ、NikonU様の存在により、AFエントリークラス戦域での戦いは、それなりに順調のFマウント軍団ですが。

 ちょっと前までは、これから(一眼レフ)カメラを使おうとする人々にとって、ニコンブランドはちょっと敷居が高かったのでは無いでしょうか?それはF一桁シリーズが打ちたてた、プロ用一眼レフは『Nikon』というイメージの反動だったのでは?と思うわけです。

 もちろん、EM様等、ライトクラスの御神機は存在していました。しかし、私個人の印象としては、初心者向け軽量AF機というジャンルにおいての御神機は、高級ブランドのかげに隠れてしまっている、という気がします。

 幼少のみぎりよりNikonF様の後光を拝んでいた私が、AF一眼を手にしようと考えた時、もちろんNikon様しか念頭にありませんでした。決して、F様を使っておりました父親の所蔵するレンズを借りちゃえばレンズは買わなくてOKだな、という腹黒い考えからではありませんでした。ただ純粋に、私はNikon様に帰依したかったのです。

 その時期、手頃なお値段のNikon様として市場に君臨していたのが、F50D PANORAMA様(以下、失礼ながらF50D様と略記)でした。

 F50D様は、1994年4月に販売が開始されました。

 新品定価は、ボディのみ¥68,000-、AiAF Nikkor 35-80/4-5.6D付きで¥91,000-でした。

Fマウント普及の為に戦った不遇の戦士

 F50D様の目的は、迷える一眼レフ初心者をNikon様の元へ導く。これであったと私は思っています。お値段削減の為にか?全身は簡単な造形のプラスティック外装。お堅いイメージ打破の為か、お姉さんにもうれしいパノラマ機能も内蔵(三脚に付けると切り替えられないけど)各種設定は、当時としては斬新なドットマトリクス液晶を用いた(成書によると、世界初とか)アイコン表示を採用‥‥‥等々、親しみやすさ満載でした。

 ここまで親しみやすさ満載なら、ネーミングももちっと親しみ易くすれば良かったものを、とちょっとだけ思ったりもしますが‥‥‥

 そういう親しみやすいNikon様でしたが、レンズマウントやフィルムガイドレールはしっかり金属だったりと、押さえどころはしっかりと押さえていらっしゃいます。

 さて、このように一眼レフ初心者をターゲットとしたFマウント普及作戦という尊い目的の為、Nikon様は一大決断をしました。

 それは、Nikon様(多分)初の、ダブルブランド販売でした。なんと、F50D様は、DPEチェーンの『写真屋さん45』のプライベートブランドである、45カメラとしても販売されたのでした。

 写真屋さん45は、当時としては画期的な、フィルム無料サービスという武器をひっさげて登場したDPEチェーンでした。45カメラメンバーズ会員になると、フィルム1本現像に出すと、フィルムを1本くれるという、庶民の心をくすぐる作戦を展開してきました。会員になる為には、45カメラというカメラを購入するのが条件でした。

 はじめの頃の45カメラは、レンズ付きフィルムがちょっと立派になった位の、おもちゃのような(失礼!)製品だったのですが。いつの間にやら、ここにF50D様が加わっていたのでした。白状すれば、私の所持するF50D様も、このような出自でして。密かに45カメラ、という影の顔も持ってらっしゃいます。但し、F50D様のどこにも『写真屋さん45』を臭わせる印字やロゴは無いので、言わなければわかりません。

 このダブルブランド販売が、さて、Nikon様からの話しなのか写真屋さん45からの話しなのかは見当つきません。が、そうやって二つの主君に仕えたF50D様は、Fマウント普及の為にがんばっていらっしゃったのだろうと、私は思います。

 さて、では、このダブルブランド作戦は成功したのか?

 それは正直わかりません。

 ただ、その後写真屋さん45の45カメララインナップ(一眼レフ)にはCanonも加わり、かなり賑わいました。つまり、写真屋さん45側としては、多分、成功だったのでしょう。

 では、Nikon様としては?

 正直、F50D様を使っている人を見かける事は少なかったと記憶しています。デザイン自由度の大きそうなプラスティック外装を採用したのに、色は黒一色、形はオーソドックス。ネーミングは数字とアルファベットのみ。パノラマ機能は付いているものの、それはあんまり表に出ず。という事で、爆発的ヒット作‥‥‥にはなれなかったと思います(販売台数とかを調べたわけでなく、あくまで私の主観での感想ですが)後述するように、機能としては十分以上のものを持っているのですが‥‥‥とっつきやすさ、という初心者向けでの重要な部分で、苦戦したのではないでしょうか。

 1998年に、F60D様が発売されます。それまでの4年間、F50D様は頑張った、と私は思います。

 

■ 秘宝堂 [Nikon F50D] Page 1/3

menunext