■ 秘宝堂 [フォトミックSB大作戦] Page 2/2

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(C) すず
F5
Ai AF Micro Nikkor 105mmf2.8
3DRGB測光

 やがて季節は夏から秋へと移り変わったがフォトミックSB様とは出会えないままであった。

 そんなある日、ヨーロッパのNSKエージェントから入電。流石我NSK、WWな活動範囲である。NSKの情報収集ネットワークが世界的であり死角無しと世間で恐れられているのも納得である。発進元はかつての同盟国ドイツであった。それには、「フォトミックエスビーサマハッケンセリ」とあった。暗号を解読した結果、某ネットオークション上にフォトミックSB様が出現されたとのありがたい情報であったのだ。わたしは早速そのフォトミックSB様を拝見した。

 我NSKエージェントの情報は迅速かつ正確である。確かにそこにはフォトミックSB様の御姿があった。ん・・?あることはあったがそれを見たわたしは、驚愕したっ!

 フォトミックSB様はEEコントローラー様、モードラ様が装着され、在りし日のSB様の勇姿を彷彿させるものであったが、さらに凄い物を御身にまとわれておられた。なんと250フィルムマガジン様である。かようなものまで装着されていたその御姿は、F2様の完全体とも呼べるものであり、宇宙(そら)の彼方まで飛んで行かれそうな感じであった。

 まさしく超弩級の風貌である。我連合艦隊旗艦にふさわしい姿であった。

 そのような完全な姿であるフォトミックSB様のお値段は¥○○○,○○○である。桁が・・・桁がーー・・・。値段も超弩級であったのだ。

 当時、F3HP様生産中止の報を受けて「すわっ一大事!」「いざ!、鎌倉」ならぬ「いざ!Yバシ」と東京西部の某市にあるYバシカメラへ馳せ参じ、その日のうちにF3HP様をお迎えしたばかりの我身には、とてもとても払える金額ではなかった。貴重なNSKエージェントの情報に答えられない我身を呪いながらも結局このSB様は諦めることとなる。まさしく断腸の思いであった。が、この情報収集の過程でF2アイレベル様(黒)を購入する事を忘れなかった。フォトミックSB様入手の暁にはアイレベル様にもおいでいただこうと企てていたので順序が逆となってしまったが、いい感じに使い込まれたアイレベル様なので思わず購入してしまったのである。

 しかし、ここでアイレベル様を購入したことにより懐は更に疲弊し、この年のニコン様購入活動プランは打ちきられる事となり、NSK内にも高らかに本年のニコン様購入活動終了を宣言したのである。これは、事実上の年内作戦停止を意味していた。ここで、英気を養い年明けとともに再び破竹の進撃をする所存であった。



(C) すず
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 やがて季節は秋から冬へと移り変わった。

 この年のニコン様購入活動終止宣言をしていたわたしは、我家のコタツの中で女房と向き合いながら「年を越すための米、味噌、醤油、お餅などを買わなきゃいけないねえ。」「子供達に新しいおべべも買ってあげないといかんねえ。」「今週末ユニク○に行こうかー。」などと、なんとものどかな会話をし、ささやかな正月を迎えるべく準備にとりかかろうとしていた。

 だが、戦士に休息は無いのである。ある日、またまたヨーロッパのNSKエージェントから入電!、自宅に備え付けられている非常警報がけたたましく鳴り響いた。ニコン様購入活動終止宣言が出ているにもかかわらずである・・・・・・。しかしNSK・F会員たるもの、いかなる時もそれに応じなければならない。

 おりしも今は昔、皇紀2601年のこの頃、旧帝国連合艦隊が極秘裏のうちに太平洋上へ繰り出し、来るべき決戦に備えていた時期である。このようなときにのほほーーんと平和に浸っていた我身が情けない。

 さもありなんと情報をキャッチした。

 その情報は、「某ネットオークション上にフォトミックSB様が出現された」というありがたい情報であった。しかも、かなりリーズナブルとのオマケ付きである。疲弊した我懐をやさしく包み込む情報であった。早速そのフォトミックSB様を拝見する。そこにいらっしゃったのはシンプルなフォトミックSB様であった。お値段¥○○,○○○。おおおーー、前回のものより桁が一つ少ない、しかも片手以内ではないか!。「これはいける!」といきり立つ。

 しかし、こともあろうにわたしは今年のニコン様購入活動終止宣言をしているのである。日本男子たるもの一度誓ったことはあくまでも守るべし。我家の代々の家訓である。しばしの間悩む・・・。

 そんな時ニコン様が道を開かれたのである。「汝、我にお布施するは購入とせず!」。ありがたやー、ありがたや!、まさしく天の声である。ニコン様のお許しが出たからにはなにもためらう事は無い、ユニク○の¥1,980のフリースはまだまだ高いと思うが、ニコン様へお布施する¥○○,○○○は安いと思うわたしである。すかさず手はキーボードのテンキーの上を走っていた。サイは投げられたのである。あとは天命を待つのみであった。

 オークションはまさかの一発終了であった。わたしはここでもニコン様の奇跡を見たのである。早速電文を打つ「トラ・トラ・トラッ!」「我、奇襲に成功せり!」この情報は全世界に衝撃をあたえたのであった。

 やがてフォトミックSB様は我手中に御降臨され、こうして秘宝として奉られるのであった。

 数日後、東京西部の某市のユニク○で衣類を買い込む我家の姿があったが、その買い物篭の中にわたしの衣類は一切入っていなかった。しかし、リーズナブルなフォトミックSB様の御価格により、正月の米、味噌、醤油、お餅はなんとか工面できそうな見通しが立ったのである。

(2001/1/27 F40 すず)

 

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