■ 秘宝堂 [フォトミックSB大作戦] Page 1/2

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フォトミックSB大作戦



(C) すず
F5
Ai AF Micro Nikkor 105mmf2.8
3DRGB測光


 上に鎮座されている御神機はF2フォトミックSB様である。我手にすることにようやく成功し安堵するとともに、不肖・すずのニコン道もとうとうここまで来たか、と思うと感激もひとしおである。

 ニコンユーザーとなり、ニコン信者の会(以下NSK)に入会し、ニコン様の子と認知され幾久、これまで最新式のAF機に慣れ親しんできたわたしであったが、「いつかはニコン様の儀式を行ないたい」と心中密かに思っていたのである。
 ニコン様の儀式、そう、それは非Ai機をもってしてなせる技であり、今となっては封印された危険な技でもあった。そして、今ここにあるF2フォトミックSB様は非Ai機、「我、時を得たりっ」ついに大作戦は発動されたのである。

 時は皇紀2660年12月7日、おりしも59年前のこの日、旧帝国連合艦隊の精鋭は遥か彼方の太平洋上にて、己の身を武者震いさせていたことであろう。かくなる不肖・すずも同様の思いであった。身を清め、誓いの杯を傾け、儀式にとりかかることをニコン様に宣言する。

 目の前にひかえるF2フォトミックSB様、ニコン様が誇る傑作中の傑作機である。盟友として、晴れある舞台に選ばれた御神眼はAi Nikkor 50mmf1.2S様であった。現行ニッコール様にあって最高の明るさを誇るこの御神眼こそ、儀式にふさわしいのである。
(実は爪付きレンズはこれと、もう一本GNしか持っていない(涙))。

 ボディーキャップとレンズエンドキャップを取り払い、連結部分を露とした我精鋭は、静かに作戦発動の指令を待っていた。

 「ニイタカヤマノボレ」遂に指令は発せられたのである。
 「装着準備ヨ〜シ」
 「装着準備ヨ〜〜シ!」心の中で復唱する。静かにカウントダウンしながらボディーにレンズは装着された。
 「レンズ左回転ヨ〜シ」
 「レンズ左回転ヨ〜〜シ」とまた心の中で復唱する(どうやらここらへんから声にも出ていたらしい)。レンズはゆっくりと左回転を始める。やがてカチーンという金属音とともにレンズはボディーと一体化された。ここまではAi機でも同様である。ここからが非Ai機の真価が問われるのである。

 「絞込準備ヨ〜シ」
 「絞込準備ヨ〜〜シ!」復唱は繰り返される。
 「絞込開始」
 「絞込開始しますっ!」の復唱と共に絞りリングは徐々に絞り込まれていく、連動爪がフォトミックファインダーのレバーをしっかりキャッチ、そのまま最小搾りまで絞り込む、フォトミックファインダーのレバーはそのアームを限界まで伸ばしていった。

 「絞込完了」
 「絞込完了!」ここで一息つき、いよいよ仕上げへと入る。
 「絞り開放ッ」
 「絞り開放しますっ!」の復唱と共に絞りリングは開放方向へ回された。

 右方向に移動する連動爪、そしてその動きにしっかりと追従してくるレバー。遂に絞りは開放に解き放たれたのであった!!。この瞬間に全ては決した。

 一瞬の間があった。わたしは恐る恐る絞り開放Fナンバー表示窓をのぞいてみた。そこには、ハッキリと「1.2」の数字が表示されていたのであるっ!。

 おおーーーっ!!、してやったり!!。何事にも代えられぬ感激が五体をつき抜け、五臓六腑まで染み渡った。ついに不肖・すずは、見事にニコン様の儀式をこなしたのである(BGMはロッキー愛のテーマが流れている)。

 今ここに、フォトミックファインダーDP−3様に対し、御神眼Ai Nikkor 50mmf1.2S様の絞り開放値は見事に伝達されたのであります。ボディー、ファインダー、レンズ、三位一体となったその姿は実に美しいものであった。

 かつて、宇宙(そらと読んでね)の彼方で行なわれた壮大なスカイラブ計画にも匹敵する大事業をわたしはやり遂げたのである!。

 これも、ニコン様の御加護のおかげであろう。すばらしい、なんてすばらしい一瞬であろうか!。昭和の御代に登場して以来、営々と引き継がれてきたこのメカニズムは平成の御代となった現在、西東京にある我自室で大花を開いたのであった。

 興奮さめやらぬまま、もう一度レンズを外して再度やってみる。

 ガチャガチャ! ( ̄ー ̄) ニヤリ
 もう一度
 ガチャガチャ! ( ̄ー ̄) ニヤリ
 さらに、もう一度
 ガチャガチャ!へへへへへ・・・・・・・・・(脳みそ液化現象)。

 こうして夜は更けて行くのであった。日は替わり皇紀2660年12月8日となっていた。



(C) すず
F5
Ai AF Micro Nikkor 105mmf2.8
3DRGB測光

 しかし、このフォトミックSB様は簡単に我手元に来られた訳ではない。思い返せば西暦2000年の夏にNSKオフ会での電撃的な初対面以来、この年の残りはフォトミックSB様に恋焦がれていたと言えよう。

 事の発端はNSKイメージガールであられる「ゆか」様の撮影会当日であった。この日わたしはフォトミックSB様と電撃的な出会いをすることになる。現在、わたしがF2様の師匠として崇拝しているS師匠がこの日、使われていた御神機がフォトミックSB様(黒)であった。

 恥ずかしながら不肖・すず、この日までフォトミックSB様を目の当たりにしたことが無かったのである(というよりもF2様そのものが無かった、まさしく不肖である)。さらに師匠のSB様はEEコントローラー様やMD−1様・MB−1様を身にまとい臨戦体制をとられていたのである。このような完全武装体制を見せつけられたのが決定的であった。

 幼き頃から「ゲッターロボ」・「ボルテスV(ファイブ)」・「コンバトラーV(ブイ)」などといった合体ロボに親しんできた我身にしてみれば、この時のフォトミックSB様の勇士は、正しく合体ロボのような逞しさを感じ、一気に心を奪われたのであった。

 今にして思えば、この遭遇がNSKのオフ会であったこと、ゆか様の撮影会であったことから、ニコン様のお導きに違いなかったと思わずにはいられない今日この頃である。



(C) すず
F5
Ai AF Micro Nikkor 105mmf2.8
3DRGB測光

 電撃的な遭遇から幾日か経ち、まずは相場を押さえようと近場の中古屋を見て回ることとした。NSKのエージェントたるもの中古屋チェックは日課として行なわなければならない。しかし、一軒目には・・・・・・。まあ、こんなこともあるかと思いながら2軒目の店へ・・・・やはり無い。一瞬いや〜〜〜〜〜〜〜な思いが過ぎった。3軒目の店へ向かう。いやーな思いは当たった「無い・ない・ナイ・な〜〜〜〜〜〜〜〜い」。無いのである。フォトミック様、フォトミックAs様、フォトミックA様、アイレベル様など数多の歴戦の勇姿はお見かけするものの、フォトミックSB様とは巡り会えないのである。

 いったいこれはどういうことなのか?、さては真のニコン様の子となるべく目覚めたわたしの行動を悟った、某邪教集団の策略か?それとも、フォトミックSB様の暴騰をもくろむ闇ニコン軍団の陰謀か?、いずれにせよ尋常な事態では無いと思われたので、早速情報収集にとりかかった。檄はNSK内に発っせられたのである。

 流石NSKの選りすぐられたエージェント達、次々と情報が入電され、たちまちのうちにフォトミックSB様の全容が明らかとなったのである。 それによると、F2フォトミックSB様は、シングルF様最後の非Ai機であり、発売された後、ニッコール様のAi化という大英断により、A様・As様といったAiボディーに切り替えられたため販売期間が短く出まわった台数が少ない。という実に悲観的な事実であった。

 嗚呼、なんたる絶望感!。かつて冬の八甲田で旧帝国陸軍青森五連隊もこのような絶望感に遭遇したであろう。かくも困難な試練をニコン様はわたしに与えたもうたのであります。

 時同じくして、夏すぎあたりからF2様を特集する雑誌、書籍が多数発売され出したのである。流石のわたしもこれは予想できなかった。このように雑誌、書籍で取上げられるということは、F2様の注目度が高いという事を意味している。更に雑誌、書籍で特集が組まれることにより、一層ブームを過熱する事が予想されるのである。それはすなわち中古市場の相場暴騰へと直結し、購入を検討しているわたしにとって非常に痛手となるのである。

 懸命の捜索にもかかわらずフォトミックSB様はその御姿をわたしの前に現してはくだされなかった。かくなる二重の試練に、焦りは日増しに強くなる一方であった。

 

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