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フィルムマガジン(カセット)

 2000年12月、私の恐れていた事がついに現実となってしまった。S様の頃から連綿とニコン様にお仕えしていたアクセサリーの家系が、とふとふ途絶えて(在庫払底「ざいこふってい」、とも言ふ)しまわれたのだ。

 そのアクセサリー御一家とは「フィルムマガジン」家である。最後のお方はMZ−2様であられた。合掌。

 お〜い、おいおい、大井(泣)。

注)MZ−2って、F2様用の750フィルムバックMF−2用のフィルムマガジンなんですね。なんと100フィートの長尺フィルムがそのまま入ってしまう、というとんでもないもの(@_@)。もっと驚きは、そんなアクセサリーがF2様の生産終了から20年後迄残っていたって事でしょう(^^;。

F、F2様用フィルムマガジン

 とは言っても、250フィルムバックとか750フィルムバック用のMZ−1様、MZ−2様の様な高貴なお方にはとんと御縁がないので、もうちょっと庶民的な普通のパトローネサイズのフィルムマガジンの物語。

 左側はF2様用のフィルムマガジンAM−1とそのケース。右側はF様のアクセサリーに典型的な、型番無しのフィルムマガジンとそのケース。

 ちょっとここでF様用のマガジンのロゴをよ〜く見て頂きたい。な、なんと記念すべきニコン様初のカメラ、ニコンI様からS2様迄使われていた、アールヌーヴォー書体ではないか!。

 S様の頃から変わってないのぉ〜っ?。

 事実、記録に残る最初のフィルムマガジンは、S、S2様用であられた。その後、S3、SP様がご登場された際、僅かな変更を受けたとの事であるが、それはそのままF様にもお仕えする事が可能であったのだ!。

 残った部品をそのまま流用しただけなのか、はたまた刻印を変更するまでもない、と考えたのか?。今となっては知る由もないが、「CI」なんて考えの無かった時代、恐らく、深く考えずに、そのまま使っただけなのだろう。

注)写真のF様用マガジンの下部に、ローマ数字で「II」とあるのは、フィルムマガジンを見分ける為に、昔、自分で書き込んだものですぅ(^^;。今だったら、こんな畏れ多いこと出来んなぁ。

三位一体

 マガジンの構成は至って簡単。左から内筒、スプール、外筒となっている。

 「なんでマガジンなんかが必要なのぉ?」、ってこのマガジンの歴史は、ほぼ35mm版カメラの歴史と言っても差し支えないのだ(ほんとかいな?)。

 御存知の様に、35mm版のカメラの元祖はもちろんコダック(ポケモンとは関係ない)で、最初にパトローネ入りの35mm版フィルムを作って、「誰か使わんかい〜?。」なんて始めたわけではない。どこぞの、誰かさんが映画用のフィルムを転用して、お手軽カメラを作ったのが始まりだ。というわけで、お手軽に使えるフィルムの入れ物も必要となった。

 明るいところで、ダークバッグを使わずにフィルムを交換出来るようにするためには、なんらかの密閉された入れ物が必要であった。これは誰が発明したのだろう。やっぱりどこぞの誰かさん?。その後、パトローネ入りのフィルムも出回るようになるのだが、数は少ないし、やっぱり割高。元の映画用長尺フィルムから適当な長さに切って使うのが一番安上がり。な〜んて理由だったかどうかは定かではないが、兎に角そんな具合にフィルムマガジンが考案されたと思われる。

 ところでこのフィルムマガジンという名称だが、実はニコン様においての公式名称なのかどうか不明なのだ。まずF様用だが、元箱には確かに「FILM MAGAZINE」と印刷されている。しかし取り説(英語併記)には単に「マガジン」。さらに奇妙なのは、英語では「FILM CASETTE」となっているではないか。F2様用におかれては、外箱と英文取り説には「Film casette」、日本語ではやはり「マガジン」。カタログにも「マガジン」なんですけどね。

 え〜い、一体どれが本当なのぉ〜っ?。

バージョン違い

 F2様用のフィルムマガジンは一種類だけだったようだ。しかし、F様用には少なくとも2種類が存在する。外筒の底の部分に何やら100、200、400などと数字が書いてある。「フィルムの感度に関係することだな。」とはすぐに判る。そう、装填したフィルムの感度の覚えだ。

 これに2種類あって、一番右のF様用初期型では、数字が10(ASA10なんてあったのぉ?)から始まっており、32迄は赤字、以降は黒地で400迄。後期型は全部黒字で全部高感度側にシフトしており、25から始まって1600迄。さらに「E」というのが追加された。英語の"empty"の略だろう。

 取り説には、「黒白フィルムのときは白点指標に、カラーフィルムのときは赤点指標に数字を合わせます。Eの文字は空(カラ)のときのものです。」とある。「えぇ〜っ、じゃあ黒白かカラーか忘れたらどうするのぉ?」って疑問がでるだろう。これがまぁ、実にうまい間隔になっていて、片一方を数字にきっちり設定すれば、もう片一方は普通フィルムにはない中途半端な数字になるので大丈夫なのだ。もっとも、カラーでISO64の場合、白黒ISO100ととれないこともないではないが・・・。実のところ、この機能は、文字盤が回しにくいこともあって、私はほとんど使ってなかったが。

 

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