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199. 本人GO 20160726

評判になっているスマホゲームをダウンロードしてみる。

自分のドッペルゲンガーを探してとらえるゲームである。アプリを立ち上げると実際の地形を元にしたAR空間が表示される。ドッペルゲンガーは自分であるから、自分が行きそうな店や場所には出現する可能性が高い。画面にはドッペルレーダーが表示され、自分とよく似た人の居場所が常時される。プレイヤーはスマホ片手に街をさまよい、出現したドッペルゲンガーにドッペルボールを投げつけて捕獲する。いろんなタイプの自分を揃えて自分図鑑を完成させるのがアプリの目的である。

平日であればもよりの駅には必ず社畜タイプの自分が出現すると言われている。しかしながら出勤サラリーマンの大波に流されてしまうので、駅のホームでの待ち伏せするのはよい作戦とは言えない。かといって線路上で待ち伏せするのはさらによくない。高架下で待つのがよい。人が多いのでボールが他の人に当たってしまうとトラブルのもととなるのでお勧めできない。

書店やブックオフでは読書タイプのドッペルゲンガーが出現しやすい。立ち読みに熱中しているところにボールを投げつけるのがよい。素早く投げつけないと捕獲前に黒ポロシャツの店員に片づけられてしまう。

飲食店には食いしん坊タイプの自分が出現しやすい。しかし好き嫌いなく何でも食べるので店を特定しずらい。高級料理店には出入りしないので、高級料理店の探索は無駄である。また自分を発見した場合でも早食いなのですぐに姿を消してしまう。飲食店よりもその付近の喫煙所で待ち伏せ、食後の喫煙に来たところを捕獲するのがよい。

コンビニエンスストアも出現すると言われている。ドッペルボールを投げつけていると強盗と勘違いした店員がペイントボールを投げつけてくることがある。体中が黄色くなると子供がピカチュウと間違えてモンスターボールを投げつけてくる。妖怪ウオッチのことはよく知らないので憶測だが地場霊を投げつけてくる。その他ドラゴンボールなどが投げ つけられる。神龍が出現して望みをかなえてやろうと言われて自分を見つけたいのですと口走るとゲームが終了してしまうので注意されたい。

運河や川べりでは水タイプの自分が出現しやすい。彼らの指の間には水かきがあり、頭の上の皿が乾いてしまうまでは怪力を発する。河の魚や鴨を覗き込んでいる子供たちを見つけると奇声を発して襲い掛かり川に引きずり込んで尻子玉を抜く。さっさとドッペルボールで捕獲しないと怒り狂った親が射殺しにくる。

工場廃墟や鉄塔の根本では電気仕掛けの自分が出現しやすい。錆びた躰をギギギガガガと鳴らしながら、自分を錆びさせた水分を憎むあまり、水分を多く含む哺乳類を抹殺しようと迫ってくる。早くドッペルボールで捕獲しないと怒り狂った親が射殺しにくる。

山にはそこにいるタイプの自分が出現しやすい。猟師が射殺しにくる。

昔からドッペルゲンガーを見かけてしまった自分は数日のうちに死んでしまうと言われている。死んでしまわないためには、自分は自分本体ではなく、何処かにいる自分のドッペルゲンガーであることを認める必要がある。したがってゲームの中盤以降はドッペルゲンガーではない自分本体を探す旅に出ることとなる。本当の自分自身は超レアキャラであるので世界中を探し回っても見つけることは困難と言われているが、諦めて自分の家に戻ってみると自宅に本当の自分が居たりするものです。世界の果てから帰ってきた余所者のあなたは家に入れてもらえませんが。

捕えてしまったドッペルゲンガーは条件が揃うと進化する。うかつに進化させてしまうと人類であることをやめ、神や悪魔やその類いのものになってしまい、人類を滅ぼしてしまう可能性があるので進化させることは禁止されている。

ドッペルボールが飛んでくる時の特徴的な音が、自分の後ろから迫ってくることがある。それは自分が自分自身ではなくドッペルゲンガーであり、したがって数日のちに死んでしまう運命ではないことを告げる音だから安心してよい。このゲームの続きはドッペルボールの中で遊べばよかろう。くれぐれも進化してしまって愚かなる人類に絶望するあまり、この世界を滅ぼしたりはしないようにお願いします。それが無理なら、できれば勇者に世界の半分を渡すくらいの暴挙程度に留めておいてください。


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