106. 素適(20071225)


 素適なアコースティック編の日 ギター。シの音に外れていたものだった。

 あの日、フォークギターを買ったは良いけれども、安物だったせいかすぐにネックが曲がって、どうしてもチューニングが合わない。ドとレとミとファとソとラとシの音が合わない。特にシの音が合わない。今度の競技会の素材として使用するあの素適な曲を録音するつもりだったが、困った。どうしよう、今度のコンペ。伊藤君がギター持っていたような気がするから借りようか。

 貸してくれたのはいいけれど、伊藤くんのギターはエレキギターだった。さあ、録音しよう……って、アンプがない。伊藤くんはもうどこかに出かけちゃって借りられないぞ。急いでアンプを買出しに行ってきて。特売品のアンプでいいから。いやいや1ロットなんてまとめ買いじゃなくて、バラ売りでいいから。特売品のバラ売りのアンプ。特売品のバラ売りのアンプ。特品バラ売りのアンプ。とっぴんぱらりのぷう


第八回雑文祭 参加作品

■書き出し: ○○は、机の引出しの奥に忘れていたものだった。
■縛り: 金平糖を文章のどこかに入れる。
■結び: とっぴんぱらりのぷう。
■追加縛り: 素適


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